傷跡をきれいに治すには漢方もおすすめ
傷跡への内側からのアプローチには、自然由来の生薬で構成され、一般的に副作用が少ないとされる漢方薬もおすすめです。漢方医学では全身に栄養を行き渡らせることで皮膚疾患を改善していきます。にきび、しみ、やけど、ひび、湿疹・皮膚炎などに効果がある漢方薬は皮膚科でも使われています。
原因となっている体質を改善することで症状を治していくというのが漢方の考え方です。
体質改善のために毎日運動する、食生活を変える、となるとハードルが高いと感じる人でも、毎日のむだけの漢方薬なら気軽にとり組めると思います。
傷跡に悩む人におすすめの漢方薬
・柴苓湯(さいれいとう)
炎症をおさえる作用のある「小柴胡湯(しょうさいことう)」と、余分な水分をとり除く作用のある「五苓散(ごれいさん)」を合わせた漢方薬です。肝疾患、腎疾患による尿量の減少、むくみ、口渇、吐き気などの症状に用いられますが、やけどや傷跡の治療にも用いられています。
・桂枝茯苓丸加薏苡仁(けいしぶくりょうがんかよくいにん)
しみ、にきび、手足の皮膚炎などに効果的な「桂枝茯苓丸」と、いぼや皮膚の荒れに効果的な「ヨクイニン」を合わせた漢方薬です。
漢方で各器官に栄養を届けると考えられている「血(けつ)」の巡りが滞ると、各器官への栄養が不足し、しみ、にきび、皮膚炎などのトラブルが生じます。桂枝茯苓丸加薏苡仁は「血」の巡りを改善させることで皮膚のトラブルを改善させる効果があります。
漢方薬を始めるときの注意点
漢方薬はその人の体質に合っていないと、よい効果が見込めないだけでなく、副作用が起こる場合もあります。自分に合う漢方薬を見つけるためにも、服用の際は漢方に詳しい医師や薬剤師に相談するのが安心です。
また、傷跡・ケロイドの症状が気になる場合は、セルフケアに加えて、皮膚科、もしくは、形成外科の受診をおすすめします。とくに、ケロイドの場合はのみ薬、塗り薬、貼り薬に加えて手術やレーザー治療などの選択肢もあります。治療法について相談してみましょう。
◆教えてくれたのは:皮膚科医・金城里美さん
かねしろ・さとみ。皮膚科医。薬剤師 東京大学薬学部卒業後、医師を目指して、東京医科歯科大学医学部に入学。体、精神とも関わって多様に現れる皮膚の病態に興味を持ち、皮膚科医の道を選ぶ。卒業後、大学病院、総合病院、クリニックでの皮膚科勤務を経て、一般皮膚科から美容皮膚科まで皮膚科領域の診療を幅広く行う。 現在、総合病院の皮膚科常勤医として勤務。今までの経験をいかし 、「あんしん漢方」(https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/ )などで情報発信している。