ニーズをつかむ方法は傾聴だけじゃない、観察も大事
一方、中学生や高校生は、小学生ほど無邪気に食べたいものを教えてくれません。そもそもカフェテリアの利用率も小学生ほど高くない。どうしてなのか、高校生がどう過ごしているのかを観察したところ、高校生たちは14時に学校が終わったら、すぐにスターバックスコーヒーに行くことが分かったんです。
そこのインターンの高校生は、スタバが大好きなんですよ。スタバでたむろしているのが楽しいらしい。その感覚も分からなくないけど、親御さんからしたら、自分たちが監視できないところで子供たちがたむろすることはあまり歓迎できないことですよね。
そこで、スタバのような子供たちが楽しめる場所を作ってみたらと考え、スタバみたいにゆったりコーヒーやカフェラテが飲める場所を校内に作って、スタバより安い値段で商品を提供してみました。そうすると狙い通り、子供たちは学校のカフェテリアで過ごしてくれるようになりました。親御さんにとっても安心できることですし、もちろん食堂の売り上げアップにもつながります。
データだけではなく相手の行動に目を配る
子供たちの言葉に耳を傾けるのと同じぐらい、“見る”ことも大切なんですよね。それも、見方があります。普通なら売り上げ実績を確認するのかもしれません。でもそれだけでは足りません。
商品を買ったあと、子供たちがどうしているか、買ったのに残して捨てているものがあるとしたら何か、それを見るんです。おいしそうだと思って買ったけど、ちょっと食べてみて気に入らなくて残したとしたら、その商品は今後売れなくなっていく。改良するか、仕入れを減らすかしなくてはいけません。もし売り上げだけを見ていたら、仕入れを増やして損失が出てしまいますよね。
食べたあとに子供たちが何をしているかにも注目していました。ランチタイムは40分ありますが、子供たちは10~15分で食べ終わって時間が余っています。お小遣いは十分にもらっていて、食べ盛りの子供たちです。
だからスタッフには、高校生たちが押し寄せる時間は、ここが勝負と心得て、とにかく素早く料理を提供しようと話しました。そうすれば高校生は余った時間でデザートやコーヒーを買ってくれるからです。