
春になるとパステルカラーに目が行きますが、大人女性にとってパステルカラーは、難易度高め。そこで、皇后雅子さまがこれまでお召しになったパステルカラーファッションとその着こなしを、スタイリストの横山麻里さんとともに振り返ります。
大人女性は、水彩色のようなパステルカラーで顔映えよく!
パステルカラーは、「派手」という印象を持っている人も多いかもしれませんが、横山さんはこう解説します。
「明るく若々しい印象もありますが、パキッとしたパステルカラーを顔周りに持ってくると、かえって、顔のくすみが目立ってしまう危険も。でも正しく選べば大人の洗練されたムードを保ちつつ、若見えもします。大人女性なら、白の混じったペールカラーが、顔映えよく、派手さも軽減されるため、おすすめです。
さらに、パステルカラーの服ならデザインはシンプルなものがベター。理由は、パステルカラー自体が甘さを持つので、デザインも甘めだと、やや幼く、あるいは、若作りな印象になってしまうこともあるので、気をつけたいところです。逆に、パステルカラーのテーラードジャケットなどは、甘さと辛さを兼ね備えているので、大人女性にとって好バランスです」
ペールブルーにシルバーやパールアクセを合わせて抜け感をプラス
2003年9月、1歳の愛子さまと一緒に、ご実家を訪問された雅子さまは、淡いブルーのスーツをお召しに。白いお洋服を着た愛子さまと相まって、さわやかな印象です。



「ペールブルーは、派手すぎず、清々しい雰囲気を演出してくれます。カラー服が苦手な人も取り入れやすい色のひとつ。雅子さまのように、ジュエリーには、ホワイトのパールやシルバーのものを合わせることで、抜け感が出て、さらに涼しげな雰囲気にまとまります。
ペールブルーのトップスは、どんなベーシックカラーのボトムとも相性抜群。今季は、明るいカラーのワントーンコーディネートがトレンドなので、ペールブルーからネイビーのグラデーションカラーでまとめたさわやかな着こなしは、チャレンジしやすいと思います」

スタンドカラー×ブルーが知的な印象
2005年5月、ノルウェーから帰国された上皇上皇后両陛下(当時は天皇皇后両陛下)をお迎えに空港へ向かわれた際は、スタンドカラーがスタイリッシュブルーのスーツをお召しになった雅子さま。




「明るいブルーのスーツは、凛としたなかにも、女性らしさが感じられるスタイル。さらに、スタンドカラーが知的な印象を与えます。また、帽子やグローブ、パールのジュエリーの白を散らばせているのがポイント。顔周りに白があることで、明るい表情が際立ちます。靴とバッグのカラーを黒で統一させることで、大人っぽい雰囲気にまとまっています。
大人女性が明るいパステルブルーのトップスを着るなら、同系色の淡いカラーのデニムを合わせたワントーンコーディネートは、すぐにマネできて、清涼感も感じられるカジュアルスタイルです」
甘めピンクもタイトめのスカートで大人な印象に
2008年10月英国のチャールズ皇太子夫妻を招いてのプライベート・ディナーでは、淡いピンクのスーツをお召しになった雅子さま。



「淡いピンクのスカートスーツは、ジャケットのパイピングがポイント。パイピングが華やかな印象なので、雅子さまのようにダウンのストレートヘアがとても上品ですね。ピンクでフレアのスカートですと、甘さ倍増ですが、タイトめのスカートにすることで、Iラインが強調され、大人っぽくまとまります。そして、胸元にボリュームのあるジュエリーをプラスすることで、ピンクの幼い印象を軽減できます。
クール系がお好みのかたは、パステル服にボリュームのあるアクセサリーを合わせるだけで、甘辛MIXコーディネートになるので、チャレンジしてみてください。特に、これからの季節、手元が露出され、視線が集まるので、ボリュームのあるバングルはおすすめです。また、小物をダークカラーでまとめることで、パステルカラーもグッと引き締まったスタイルになります」
ツヤ感を帯びたパステルカラーで女性らしさを底上げ
2011年6月、ドイツを公式訪問する天皇陛下(当時は皇太子)をお見送りされる雅子さまがお召しになっていたのはさわやかなアイスブルーのスーツでした。



「メンズライクなイメージのテーラードジャケットもパステルカラーをセレクトすることで、女性らしい印象にまとまります。ほんのり光沢感があるので、くすみ防止効果も。ジュエリーは白でまとめられていて、とても清楚な印象です。
光沢感のあるサテン素材など、取り入れるだけで女性らしさがアップし、ツヤ感がプラスされるので、大人女性にはぜひ取り入れてほしいアイテムです。デイリー服なら、Tシャツにツヤ感のあるパステルカラーのスカートやパンツを合わせれば、それだけでトレンド感も出ます」

淡いグリーンにナチュラルカラーで軽やかな佇まい
2018年4月、来日していたスウェーデン国王夫妻と昼食をともにされた天皇陛下(当時は皇太子)と雅子さま。この日は、若草色のジャケットと、同色の光沢のあるワンピースというコーディネートでした。



「若草カラーは、ともすれば地味な印象にもなりますが、雅子さまのように素材感をMIXさせることで、より華やかな印象になります。小物もライトベージュでまとめることで、パステルカラーと調和。ダークカラーで引き締めると甘さが軽減させますが、ナチュラルな色でなじませると全体の統一感が強調され、明るい雰囲気にまとまります。
特にベージュやグレージュ小物は、どんなカラーにも合わせやすく、上品に仕上がるので、大人女性には必須のカラーアイテムです」

サックスブルーと白の配色が華やかさとさわやかさを両立
2019年6月、マクロン仏大統領夫妻と会談した際の雅子さまはサックスブルーの華やかなスーツでお出ましに。




「織りのはいったジャケットは存在感がありますが、雅子さまのように、デザイン性のあるバイカラーのパンプスを合わせて、全体をまとめているのは、上級者の着こなしです。ジュエリーをシンプルなパールでまとめることで、華やかな装いの中にも、上品さの溢れた品のある着こなしに。
カラーONカラーや柄×柄のコーディネートも定番となった今、シンプルにまとめすぎず、少し冒険したコーディネートにチャレンジしておしゃれを楽しむのも、余裕のあるアラフィフの着こなしの見せどころ。カラーONカラーであれば、ピンク×赤、ブルー×グリーンなど、同系色同士を合わせると比較的、取り入れやすいと思います」
グリーンのワントーンコーデはツイード素材やチェック柄を入れてメリハリを
2022年4月18日に行われた、「みどりの式典」では、若草色のスーツをお召しになった雅子さま。



「全体をパステルグリーンでまとめた着こなしは、春夏の気分を高めてくれます。雅子さまのように、ツイード調の生地や同色のチェック柄の小物使いで、単調にならずにまとまっています。その他のジュエリーは白を基調にすることで、マスク姿でも明るい印象に。
全体を同色でまとめるときは、素材感の違いをつけるとメリハリがつきます。パステル服を着るときは、顔周りがくすまないように、白のジュエリーや小物を合わせると、ハイライト効果で安心です。パステルコーディネートには、これからの季節、ラフィア素材の小物を合わせると、抜け感が出るうえに、全体がなじむのでおすすめです」

●皇后雅子さま、「みどりの式典」で見せられた春らしいグリーンスーツの着こなし術