
これからの季節は熱中症対策も大切。そこで今回は、浅田真央さんや錦織圭さんの管理栄養士を務めた経験もある管理栄養士に、たんぱく質をたっぷり摂れるコンビニのおすすめランチを教えてもらいました。
ダイエットも美容もたんぱく質なくして成立なし
一流アスリートの食事管理を何度も務め上げた管理栄養士の細野恵美さん。そんな細野さんがたんぱく質を豊富に含む食事をすすめる理由を教えてくれました。
「コンビニで食事を選ぶ際は、たんぱく質が豊富に含まれる商品を選んでほしいです。ヒトの体は、60%が水分で20%がたんぱく質で構成されており、水分を除いた部分の約半分をたんぱく質が占めています。たんぱく質は、筋肉や臓器を構成するだけではなく、血漿(しょう)成分など重要な働き手であり、血液中で酸素を運ぶヘモグロビンもたんぱく質でできています。
美肌を保つ成分として知られるコラーゲンもたんぱく質。皮膚だけでなく、血管やじん帯や軟骨などの組織を構成しています。また、髪の美しさを保つキューティクルや健康的な爪、女性特有のトラブルや美に関わる女性ホルモンもすべてたんぱく質でできています。それ故、女性が気になる美容面でもたんぱく質は欠かせません。
さらに、“たんぱく質といえば筋肉”と言われるほど、代表格である筋肉は、基礎代謝をあげてダイエットをサポートしています。たんぱく質は、日々壊されては作られ、新陳代謝を繰り返しています。いくら運動をしても、材料となるたんぱく質が不足していると筋肉が十分に作られません。適度な筋肉を維持していくためにも、意識して摂取する必要があります」(細野さん・以下同)
偏った“○○だけ”の食事は不調の原因に
細野さんがランチでコンビニなどを利用するときは、“糖質だけランチ”にならないようにしているそうです。
「忙しいとつい『おにぎりとお茶』、『サンドイッチとコーヒー』など、糖質だけランチになりがちです。ダイエットを意識しすぎた栄養のない“○○だけ”ランチも避けたいところ。たんぱく質不足によるさまざまな不調を防ぐためにも、糖質とたんぱく質を一緒に摂取する必要があります。おにぎりを選ぶ際も梅や昆布ではなく、鮭や明太子、サンドイッチならハムや卵がはいっているものなど、たんぱく質補給ができる具材を選ぶのがベストです」
1食あたりのたんぱく質は20~35gが目安
最近ではパッケージにたんぱく質量が大きく表示されているものもあるので、必要な量のたんぱく質を計算するのも難しくありません。
「1食でたんぱく質20~30gが目標なので、たんぱく質系のおにぎりやサンドイッチで10g程度摂り、サイドディッシュでもたんぱく質が10g以上はいったものをプラスしたいところです。『糖質+プロ10in』と覚えて、サイドディッシュは、『食事らしさ』が出るものを意識します。
温かいスープやシューマイ、卵焼きなどを添えると、心の満足も生まれます。忙しく、どうしても時間が取れないときは、『豆腐バー』やサラダチキンなど、手軽なレトルトパウチの食材を利用してたんぱく質補給を欠かさないようにしましょう」
では、実際、コンビニでランチを選ぶとき、どんな組み合わせにするといいのでしょうか? 具体的な商品をあげてもらいました。
『たまごサンド』(ローソン)+『きちんとチキン 鶏だし白湯スープ』(ポッカサッポロ)

『たまごサンド』は、すっきり感はありながらもたまご感、コクを感じるたまごサラダのサンドイッチ。342kcal。たんぱく質は10.1g含まれる。現在は新発売の『たまご+たまごサンド』279円(税込)に代わっていて、そちらもたんぱく質は13.3g含まれる。
『きちんとチキン 鶏だし白湯スープ』は、鶏のうま味が溶け込む鶏だし白湯スープに、独自開発したやわらかな鶏ムネ肉などの具材がごろごろとはいっている。お湯を注ぐだけで、手軽にたんぱく質を補給が可能。1食85kcal。たんぱく質は12.5g含まれる。
あっさりサンドイッチに具だくさんスープで満足度を底上げ
「このカップスープはたんぱく質を手軽にたっぷり摂れるのでおすすめです。具だくさんのスープなので、食事として満足感が増しますし、なんといっても体が温まります。体が冷えると自律神経が乱れて消化吸収にも影響を与えるので、たんぱく質の具がはいった温かいスープは積極的に取り入れたいです。サンドイッチはたまごのコクがあり満足感が得られますし、たんぱく質も10g取れるのでベストな組み合わせ」
『手巻 紅しゃけ』(ファミリーマート)+『切れてる厚焼玉子』(ローソン)

『手巻 紅しゃけ』は、天然の紅鮭を3種の塩でうま味を引き出して包んだおむすび。1つ174kcal。たんぱく質は4.8g含まれる。
『切れてる厚焼玉子』は、本枯節(かつお節)のだしをきかせた、ほどよい甘さのジューシーな厚焼玉子。1食(100g)あたり168kcal。たんぱく質は10.2g含まれる。
ほっこり心が和む和食ランチ
「おにぎりなどの糖質に添えるサイドディッシュとして適しているのが玉子焼き。これだけでたんぱく質10.2g摂ることができるので、おにぎりに加えれば和食ランチとして“食事らしさ”も増します。たんぱく質20gを目指すなら、おにぎりは2個に」
『手巻 辛子明太子』(ファミリーマート)+『肉汁たっぷり 肉シュウマイ』(ファミリーマート)

『手巻 辛子明太子』は、辛味のある唐辛子と香り高い唐辛子を使用し、より唐辛子の風味を感じる辛子明太子おむすび。1つ187kcal。たんぱく質は4.4g含まれる。『肉汁たっぷり 肉シュウマイ』は、鶏肉と豚肉を使い、ホタテエキスとオイスターソースのうま味が広がる、ご飯にもお酒にも合う味付け。6個入りで470kcal。たんぱく質は18g含まれる。
ガッツリ食べたいときの鶏肉入り焼売とおにぎりのコンビ
「大きめサイズのシュウマイが6個もはいっていてこれだけでも食べ応えがあります。でも鶏肉もはいったシュウマイなので、たんぱく質は18gも摂ることができ、サイドディッシュのたんぱく質量として十分です。電子レンジで温めておにぎりなどのご飯と一緒に食べれば、お手軽でありながらもとても満足感のある1食が完成します」
『かき揚げ自慢の二八そば』(セブン-イレブン)+『たんぱく質が摂れる豆乳茶碗蒸し』(セブン-イレブン)

『かき揚げ自慢の二八そば』はその名の通り、大きなかき揚げがドンとのったそば。見た目にも満足感がある。1食573kcal。たんぱく質は19.9g、食物繊維は6.6g含まれる。
『たんぱく質が摂れる豆乳茶碗蒸し』は、卵のコクやだしの風味、味わいを感じられる茶碗蒸し。具材には香り箱、三つ葉、鶏むね肉を使用。1食157kcal。たんぱく質は19.1g含まれる。
たんぱく質は40g近くも摂れてお腹も心も満足
「セブン-イレブンの『たんぱく質が摂れる』シリーズは毎回要チェック。この茶碗蒸し1品でたんぱく質が20g近く摂ることができます。そばも合わせてどちらも温かくして食べるので、心も体も満足でき、これからの時期は冷房による体の冷えから守れます」
番外編:『たんぱく質の10gの豆腐バー』(セブン-イレブン)

独自製法で木綿豆腐の2倍、1本で10gのたんぱく質を含む豆腐バー。『和風だし』は、昆布とかつおの和風だしで味付けし香料は不使用。『柚子胡椒風味』は、これからの時期にさわやかな柚子胡椒風味で味付けしてある。どちらも1本あたり111kcal。『枝豆とひじき』は、枝豆とひじきの具材がはいっていて、ほんのり甘い煮物の風味。枝豆やひじきの食感が楽しく、食べごたえもある。1本163kcal。
「時間がない」「たんぱく質が足りない」を救うピンチヒッター
「どうしても時間が取れないときは、手軽にたんぱく質10gが摂れる商品もおすすめです。たんぱく質が10g含まれているので、計算もしやすく、たんぱく質不足を補うのに便利な商品です」
◆教えてくれたのは:管理栄養士・細野恵美さん

2005年から2010年まで千葉ロッテマリーンズにおいて選手の栄養管理を手がけ、チームは日本一を2度達成。その後、森永製菓ウィダートレーニングラボに入社、浅田真央、錦織圭らの管理栄養士として、選手の躍進を支えた。現在はフリーランスとして活躍中。著書に『一流アスリートの食事 勝負メシの作り方』(三五館)、『スポめし賢く食べて結果を出す!』(朝日出版新聞)、『強く美しくなる食事』(大和書房)などがある。