
天皇皇后両陛下は6月9日、ご成婚29年を迎えられました。これまでの両陛下の歩みには、さまざまな出来事がありました。そこで、ご夫婦が過ごされた29年を印象的なシーンとともに振り返ります。
1993年1月|新浜鴨場でのプロポーズを経てご婚約会見
1993年1月、東宮仮御所で行われた天皇陛下(当時は皇太子)と、外務省に務めていた雅子さまのご婚約会見。雅子さまは陛下から「一生、全力でお守りします」との言葉を受けたことを明かされました。
雅子さまは、光沢のあるレモンイエローのワンピースに「ベル・モード」のカクテルハット、白い手袋という晴れやかな装いでした。

おふたりが出会われたのは1986年10月、東宮御所で開かれたスペイン王女の歓迎パーティーでした。外交官試験に合格したばかりの雅子さまも関係者にすすめられ、参加されていました。その後、自然な形で交流されてきたおふたりでしたが、雅子さまの英国留学などで交流は途絶える形に。

しかし、1992年8月に再会。同年10月、千葉県市川市の新浜鴨場で陛下がプロポーズされました。そして、雅子さまは同年12月、「私がもし殿下のお力になれるのであれば、謹んでお受けします」と陛下に気持ちをお伝えになりました。
1993年6月|日本中が沸いた笑顔輝くご成婚パレード
出会いから約7年の歳月を経て、天皇陛下(当時は皇太子)と雅子さまはご成婚。


雅子さまがお召しになったローブ・デコルテのデザインは、森英恵さんが手がけたということも当時話題に。ご成婚パレードでは、皇居から東宮仮御所まで約4.2kmにわたり、手を振り続けられていました。沿道には約19万の人々が駆けつけ、当時のテレビ中継視聴率は30%を超えるほど、国民の視線を釘付けに。
パレードでは、雅子さまは白&金の花びらを思わせるラッフルをあしらった半袖ジャケットを重ね、その圧倒的な美しさで沿道に集まった人々のみならず日本中を魅了しました。

2001年5月|ご懐妊発表後、雅子さまが初めてメディアの前に
2001年5月、東宮御所にてイギリスにご出発される天皇陛下(当時は皇太子)を笑顔でお見送りされる雅子さま。これが、ご懐妊発表後、車越しではなくメディアの前に初めて登場された瞬間でした。

ジャケットの襟に沿うように、レースが胸元で重なり合う繊細なトップスを合わせられた雅子さま。シンプルな白ジャケットも格段にロマンチックな雰囲気に。ご出産に向けられてか、ショートヘアにされた髪型との甘辛バランスも絶妙でした。
2001年12月|愛子さまがご誕生し、初めてのスリーショットをご披露
2001年12月1日に愛子さまがご誕生に。その1週間後、天皇陛下(当時は皇太子)は小さな愛子さまを大事そうに抱きかかえられる雅子さまと一緒に宮内庁病院の前で、お幸せそうな笑顔を見せられていました。

後日行われた会見で雅子さまは、生まれたばかりの愛子さまを初めて目にしたときのことを語られました。「本当に生まれてきてありがとう、という気持ちでいっぱいになりました。今でも、その光景は目に焼き付いています」と、思わず涙ぐむ雅子さまの背に、陛下がそっと手を差しのべられたお姿が印象的でした。
2004年5月|“人格否定発言”が大きな波紋を
大きな波紋を広げたのは、天皇陛下(当時は皇太子)による”人格否定発言”でした。この頃、雅子さまは適応障害と診断され、療養に入っている時期でした。2004年5月10日、ヨーロッパご訪問を前に会見に出席された陛下。

雅子さまの療養生活について「雅子にはこの10年、自分を一生懸命、皇室の環境に適応させようと思いつつ努力してきましたが、私が見るところ、そのことで疲れ切ってしまっているように見えます」と述べられたあと、こう続けられました。
「雅子のキャリアや、そのことに基づいた雅子の人格を否定するような動きがあったことも事実です」
上皇陛下が同年12月の記者会見で「まだ十分に理解し切れぬところがある」と困惑の言葉を漏らされるなど、大きな影響を与えたご発言となりました。
2006年4月|愛子さまの入園式にご夫婦そろってご出席
2006年4月、天皇陛下(当時は皇太子)と雅子さまは、愛子さまの学習院幼稚園の入園式にそろってご出席。



愛子さまの手には雅子さま手作りの刺しゅう入り手提げバッグが。雅子さまと手をつないで元気に登園されている姿が印象的でした。
雅子さまは、形のきれいな白のワンピースに同じ白のジャケットをコーディネート。ジャケットの襟や裾、袖口には縁取りのデザインが施されていてさりげなく華やかさが香る佇まい。靴とバッグは黒、胸元にはパールのネックレスを合わせられ、シンプルながらも上品さをキープ。陛下は、ダブルボタンのジャケットに赤いチーフを添えられ、愛子さまの制服に寄せていらっしゃるようで微笑ましい装いでした。
2008年4月|愛子さまの小学校入学式 在学中は“付き添い登校”も
2008年4月、愛子さまの学習院初等科の入学式に臨まれた天皇陛下(当時は皇太子)と雅子さま。このときも雅子さまは“白“をセレクト、陛下は愛子さまの制服とリンクしたコーディネートでした。



雅子さまは、すっきりスタンドカラーに近いノーカラーのジャケットと膝下丈のタイトスカートという白のセットアップでお出まし。小物は、小ぶりな黒のバッグとパンプス、ヘアスタイルはハーフアップで、パールのイヤリングや指輪を合わせられ、キリッとしたメリハリのあるコーディネートでした。陛下は、このときも愛子さまの制服と同じようなカラーのスーツをお召しになり、愛子さまのスカーフと同じお色のチーフを胸元に添えていらっしゃいました。
愛子さまは初等科2年生のときに、学校に行くのが怖いと漏らされ、不登校になられたことが大きく報じられました。雅子さまは不安を感じられる愛子さまの登下校に1年7か月にわたって付き添われました。“母子密着”などと批判されながらも、愛子さまを支える姿勢を貫かれました。
2013年4月|11年ぶりに夫婦水入らずで外国ご訪問
2013年4月、国王の即位式に合わせて、オランダをご訪問。適応障害で療養を続けられていた雅子さまにとっては、11年ぶりの外国への公式訪問となりました。長時間のフライトによる体調への負担が心配されましたが、雅子さまは天皇陛下(当時は皇太子)とともに笑顔でタラップを下りられ、出迎えたオランダ政府関係者らに手を振っておられました。



夫婦水入らずの外国訪問としても久しぶりのこと。陛下は黒のえんび服姿に身を包まれ、クリーム色のローブ・モンタントをお召しの雅子さまが隣に寄り添われました。雅子さまの右胸には、上皇后美智子さまから受け継がれたブローチが添えられ、笑顔とともに輝いていらっしゃいました。
2018年6月|銀婚式をお迎えに「銀メダル」「感謝状」のやりとりが話題に
2018年6月、銀婚式を迎えられ、それに合わせて公開されたお写真では、愛犬と戯れられるおふたりの仲睦まじいお姿が印象的でした。



雅子さまは、淡いピンクのロング丈のアンサンブルに白のパンツ、アンサンブルのピンクに合わせたピンクの花柄のスカーフをポイントにしたコーディネートでした。天皇陛下(当時は皇太子)は、ジャケットなしのワイシャツにスラックスで、通常のご公務と違い、愛犬とともにリラックスした雰囲気でした。
陛下は結婚10年目のとき、雅子さまに「『努力賞』と『感謝賞』のダブル受賞」との言葉を送られましたが、銀婚式では「加えて、銀婚式に因んで銀メダルも贈りたい」と述べられ、雅子さまは陛下に「感謝状を差し上げてもよろしいものでしょうか…」と応じられました。微笑ましいやりとりが大きな話題に。
2019年11月|日本中の視線を集めた即位パレードで雅子さまの涙
2019年11月の即位パレードでは、新しい天皇、皇后となられたおふたりが、沿道に集まったたくさんの人々に、オープンカーから絶えず笑顔で応えられていました。



平成から令和という新時代のスタートに、日本中が歓喜のムードに包まれた瞬間でした。勲章をつけたえんび服姿の陛下と、隣に座られた純白のドレス姿の雅子さまに多くの人がご成婚パレードを思い起こしたことでしょう。雅子さまは、フリルが重なったデコラティブなドレスをお召しになり、その美しいお姿は、日本中の視線を釘付けにしました。


パレード中、雅子さまが涙ぐむお姿も。その翌月、56歳になられた雅子さまは、即位関連行事を振り返り、「各地で出会った沢山の笑顔がかけがえのない思い出として心に残り、これからの歩みを進めていく上で、大きな支え」などと綴られました。
2022年1月|愛子さまがローブ・デコルテ姿で初ご公務
2022年元日には、天皇皇后両陛下が新年の挨拶を受けられる「新年祝賀の儀」が行われました。この日、愛子さまは、初めての公務としてご参列。成年行事と同じく、上質なシルクで仕立てられた純白のローブ・デコルテを着用され、麗しいお姿を披露されていました。



その日の午後、両陛下と愛子さまはおそろいで、皇居・乾門を出発し、上皇上皇后両陛下が住む仙洞仮御所へ。両陛下の間に座られた愛子さまはやわらかい表情で沿道に集まった人々に手を振られていました。愛子さまを挟んでの親子スリーショットは、とても新鮮で貴重な光景でした。

2022年3月には、愛子さまの会見が行われました。成年迎えられ天皇皇后両陛下に伝えたいことを問われ、愛子さまが述べられた言葉は多くの人の心を震わせました。
「母の『生まれてきてくれてありがとう』という言葉に掛けて、私も『生んでくれてありがとう』と伝えたいと思います」