
フレッシュな果物が店頭に並ぶ季節ですが、糖質が多いからと控えているダイエッターも多いのでは? 果物も正しく選べば太らないと管理栄養士の菊池真由子さん。ダイエット向きの果物と適量について教えてもらいました。
太りにくい果物の筆頭はブルーベリー
ハーバード大学公衆衛生大学院の研究チームは、米国人約13万人を対象に、野菜と果物の種類による体重への影響の有無を10~20年間追跡調査しました(参考資料:『HEALTH RULES 病気のリスクを劇的に下げる健康習慣』津川友介著)。
上位のランキングは、1位 大豆、2位 ブルーベリー、3位 プルーン、4位 りんご、5位 西洋なしです。
「2~5位にはすべて果物がランクインしています。果物には果糖をはじめとする糖質が多く含まれているため、ダイエットには不向きだとされがちです。ところが、この研究で果物を食べていても体型を維持できることが実証されました。ですから、一概に果物を食べれば太るという認識は正しくないということです。
ほとんどの果物には、腸の動きを活発にする食物繊維がたっぷり含まれています。便がスムーズに出れば老廃物もたまらずボディラインもスッキリ。やせたい人ほど果物を食べるべきです」(菊池さん・以下同)

この研究結果は生の果物を食べた場合。フレッシュでも、ジュース、スムージー、ドライフルーツ、さらに、糖類を添加している缶詰やジャムなどの加工品は除外されます。
上位の果物はカロリーも糖質も低め
では、5位までにランキングしている4つの果物を、糖質が高いとされる代表格のバナナ(93kcal、糖質15.5g)と比較してみました(100gあたりのカロリーと糖質は『八訂 食品成分表 2022』より、以下同)。
「まず、2位のブルーベリーは48kcal、糖質8.6g。カロリー、糖質ともにバナナの半分ですから食べても太りにくいと言えます。また、抗酸化作用のあるβ-カロテンやビタミンEが豊富な点もダイエット向きです。酸化は老化の原因の1つ。酸化すると体内のさまざまな細胞や器官が衰えるため、本来の機能が働かず代謝も落ちて太りやすくなります。

続いて、3位のプルーンは49kcal、糖質10.8g。こちらもカロリーはバナナの約半分、糖質も低めですね。日本では生のプルーンは手に入りづらいかもしれませんが、冷凍でもOK。
4位はりんごで56kcal、糖質12.6g。カロリー、糖質ともに上位3つの果物より多めですが、水溶性食物繊維のペクチンと不溶性食物繊維のリグニンが含まれています。水に溶けてジェル状になる水溶性は、小腸や大腸にはりついて糖質やコレステロールの吸収スピードを遅らせる。
一方、不溶性は胃や腸の水分を吸収して膨らみ、腸のぜん動運動を活発にして便通をスムーズにします。いずれもやせる体作りには有効です。食物繊維は皮に多く含まれているので皮ごと食べましょう。さらに、体内の活性酸素を抑えて老化のスピードを遅らせる働きをもつアントシアニンとビタミンCも豊富です。
5位の西洋なしは48kcal、糖質9.1g。カロリー、糖質ともにブルーベリー同様の低さです。84.9%が水分ですから、食べれば満足感が持続して腹持ちがよく、無駄な食欲が起こりにくいのもダイエットには有効です」

1日に食べる量目安は100g
また、2019年に世界195か国を対象に、食習慣と死因を分析した世界規模の研究結果でも、果物が関係していました。
「この研究は、どんな食習慣で死亡しているのかを国ごと、食習慣ごとに推定していますが、日本人における死亡の原因は、1位 食塩過剰、2位 全粒穀物不足、3位 果物不足(参考資料:GBD 2017 Diet Collaborators. Health effects of dietary risk in 195 countries, 1990-2017: a systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2017.Lancet 2019;393(10184): 1958-72.)でした。

2位と3位の結果から、毎日の食事にビタミン、食物繊維が足りていないということがわかります。私の相談者さんにも言えますが、果物は他の食材に比べて、食べている人と食べない人が分かれる食材です。糖質を気にするため、やせようと思っている人ほど果物を食べていません」
では、1日どれくらいの量を食べるのが適正なのでしょう?
「1日100gが適量です。食べ慣れていない人は、少しずつでもいいので毎日食べるようにしましょう。ただし、おいしいからといって食べすぎれば当然太ります。ご注意を!」

今が旬のブルーベリーをはじめ、これからの季節はおいしい時期を迎える果物ばかり。「毎日100gの果物を食べる」を新食習慣にしましょう!
◆教えてくれたのは:管理栄養士・菊池真由子さん

管理栄養士。健康運動指導士。NR・サプリメントアドバイザー。日本オンラインカウンセリング協会認定上級オンラインカウンセラー。大阪大学健康体育部(現・保健センター)、阪神タイガース、国立循環器病センター集団検診部(現・予防検診部)を経て、厚生労働省認定健康増進施設などで栄養アドバイザーを務める。ダイエットや生活習慣病の予防対策など、のべ1万人の栄養指導に携わる。新刊『食べて、やせる! おうちdeダイエット』(三笠書房・以下同)が2.5万部超えのヒット。10万部超えの『食べても食べても太らない法』などダイエットや美容に役立つ食事について解説した本がベストセラーに。https://www.diet-class.com/
取材・文/佐々木めぐみ