圧倒的な制作費の違いやキャスティング文化の違いも
とはいえ韓国ドラマのリメイクには、尺の違い、圧倒的な制作費の違い、キャスティング文化の違いなどによる課題が多いのも事実。
最近は比較的尺の短い作品も増えてきましたが、依然、韓国ドラマは日本のドラマよりずっと長いのです。この尺の違いにより、日本版の展開は駆け足で、エピソード、ディテールなどはあちこちをつまんだ感じが否めません。韓国ドラマの持ち味である「サブキャストの人生をも生き生きと描く」点などは、圧倒的に薄くならざるを得ないのです。
また現在、日本でヒットしている韓国ドラマの多くが、Netflixやディズニープラス、Apple TV+などとの業務提携による潤沢な制作資金をもとに作られているのに対し、日本の制作費は低下の一途にあるため、韓国ドラマの壮大な世界観を再現するには予算的に太刀打ちできず、こぢんまりとした作りになりがちです。
そして韓国では、俳優自体の人気よりも、作品の世界観にあったキャスティングと俳優の高い演技力が高視聴率につながります。例えば『ペントハウス』(2020年/最高視聴率31.1%)や『夫婦の世界』(2020年/最高視聴率28.4%)のように、一見地味なキャスティングでも、内容さえよければ社会現象になるほどのヒット作となりうるのです。
その点、日本のドラマは人気俳優ありきのキャスティングが優先され、韓国ドラマのリメイク作でもそうしたキャスティングが行われてきました。しかし、“人気”というだけで行われる安易なキャスティングは韓国ドラマ自体の価値をも下げてしまう危険をはらんでいます。