連日の猛暑で、熱中症対策にも冷房を使っている人は多いでしょう。ただし、何も考えずに冷房を使い続けていると、無駄に電力を消費し、翌月の電気代を見てびっくり…という事態になりかねません。そこで家電ライターの田中真紀子さんに、エアコンの冷房はどう使うと節電になるか、Q&A形式で教えていただきました。
Q:エアコンは「つけっぱなし」VS「こまめに消す」、どちらがお得?
A:30分以内の外出ならつけっぱなしでOK
まずは、多くの人が気になるこの問題から。一般的に家電製品はこまめに電源を切る方が節電になると言われていますが、エアコンの場合はどうなのでしょうか?
「“使っていない部屋の電気はこまめに消す”というのが節電の鉄則ですが、エアコンは少し違います。エアコンは、外気温と設定温度の差が大きいほど電力を多く使うため、気温が高い今の時期において、もっとも多くの電力を使うのは立ち上げ時。その後、徐々に室温が下がって室温が安定すると、少ない電力で運転できるようになります。
そのため、せっかく部屋が冷えているのに電源を切ると、また室温が上がってしまい、不在時間によっては、つけっぱなしにして室温を上げないほうが、電気代を抑えられる場合もあるのです。ダイキン工業の調査(※)によると、外気温の高い日中9時~18時の間、30分程度外出する場合、つけっぱなしの方が消費電力は少なかった。つまりお得ということ。それ以上不在にする場合は、一旦切りましょう」(田中さん・以下同)
※実験日は2016年8月5日、最高気温36.3℃、エアコン設定は冷房26℃、風量は自動設定。
https://www.daikin.co.jp/air/life/issue/mission05
Q:エアコンの風向きは「水平」VS「下向き」、どちらがお得?
A:水平(もしくは上向き)にすると冷房効率がUP
エアコンの風向きは、人にひんやりした風が当たるように下向きあるいは斜め下向きに設定しがちですが――。
「迷ったときは、冷たい空気がどこに溜まりやすいかと考えるとわかりやすいです。よく『足元が冷える』と言いますが、冷たい空気は足元に溜まり、暖かい空気は天井付近に溜まります。するとエアコン付近はいつまで経っても暑いままになり、エアコンは一生懸命冷やし続けて電力をたくさん使います。
そのため、まずはフラップを水平、または上向きにして、冷たい空気を天井付近に送り出しましょう。すると空気は対面の壁に当たって下がり、床面に流れてくる、という空気の流れ(循環)を作り出します。この空気の循環が温度ムラを減らし、冷房効率が上がって電気代が抑えられるというわけです。もちろん、部屋の形や置いてある家具などにより空気の流れは変わりますので、今回は空気の流れを大きく遮るものがないという前提です」