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『六本木クラス』も話題に!『グッド・ドクター』など日本で高評価を受けた韓国ドラマのリメイク作3選

『梨泰院クラス』場面写真
『梨泰院クラス』は日本で『六本木クラス』としてリメイク(Ph/AFLO)
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2020年の大ヒット韓国ドラマ『梨泰院クラス』のリメイク作として、大きな話題を集めている『六本木クラス』(テレビ朝日系)。韓国ドラマのリメイクで高評価を得るのは簡単ではないですが、日本でのヒットを勝ち得た作品もあります。日本でヒットした韓国ドラマのリメイク良作を、韓国エンタメライター・田名部知子さんに紹介してもらいました。

自閉症の青年医師役を山崎賢人が好演

『グッド・ドクター』(韓国同タイトル/2013年)
フジテレビ系/2018年。主演:山崎賢人、上野樹里(韓国版:チュウォン、ムン・チェウォン)。

『グッド・ドクター』
山崎賢人が主演した『グッド・ドクター』(フジテレビHPより)
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自閉症でサヴァン症候群の新堂湊(山崎賢人)が、周囲の偏見や反発にさらされながらも小児外科医として子供たちと共に成長していく姿を描いたヒューマンラブストーリーで、平均11.2%と高視聴率をマークしました。日本版で山崎賢人、上野樹里が演じた主演カップルを、韓国オリジナル版では、『製パン王 キム・タック』のチュウォンと『悪の花』のムン・チェウォンが演じており、最高視聴率21.5%を記録しています。

ムン・チェウォン
韓国版で主演を務めたチュウォン(Ph/AFLO)
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韓国ドラマのリメイクは、キャストのシンクロ率がヒットの要因のひとつですが、本作はそのシンクロ率がないにもかかわらず、日韓それぞれのカップリングがとても素晴らしく、人気につながりました。自閉症の青年医師という難しい役柄を演じるチュウォンと山崎のリアルでな演技は透明感にあふれ、視聴者の感情を揺さぶりました。

日本版は新堂の医師としての成長に重点を置いていますが、韓国版では、主人公2人の恋愛の要素も色濃く描かれている点が異なります。それぞれの国の文化や医療事情もうまく反映させたリメイク作品の成功例で、アメリカやトルコでもリメイクされている点を見ても、強い作品力を感じます。

ドラマ、映画共に主題歌を担当したのはBTS

『シグナル 長期未解決事件捜査班』(韓国タイトルは『シグナル』/2016年)
フジテレビ系/2018年。主演:坂口健太郎、吉瀬美智子、北村一輝(韓国版:イ・ジェフン、キム・ヘス 、チョ・ジヌン)

『劇場版シグナル 長期未解決事件捜査班』公式サイト
坂口健太郎が主演した『劇場版シグナル 長期未解決事件捜査班』(フジテレビ公式HPより)
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プロファイラーの刑事・三枝(坂口健太郎)が、壊れた無線機から聞こえてくる刑事・大山(北村一輝)の声を通して、15年前の未解決事件に挑むヒューマンミステリー。2人は無線機を通じて協力し合い未解決事件に立ち向かいますが、大山は過去を生きている人間だったのです。そして三枝が所属する未解決事件捜査班の班長・桜井(吉瀬美智子)は、かつては大山の部下で、長い間大山の行方を捜していました。

イ・ジェフン
イ・ジェフン(Ph/AFLO)
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日本版はオリジナルの内容になぞらえ、韓国版同様、張り巡らされた伏線をひとつずつひも解いていく楽しみがあります。韓国版の主演3人は日本ではなじみの薄い俳優陣ですが、過去と現在が交差する難しい設定の中、緊迫感のある演技はとても見応えがあります。日本ではドラマの人気により、2021年にはスペシャルドラマと映画が公開され、本作と映画版ではBTSが主題歌を担当したことでも話題になりました。

第2次韓流ブームをけん引したレジェンド作

『美男<イケメン>ですね』(韓国同タイトル/2009年)
TBS系/2011年。主演:瀧本美織、玉森裕太・藤ヶ谷太輔/Kis-My-Ft2、八乙女光/Hey! Say! JUMP(韓国版:チャン・グンソク、パク・シネ、ジョン・ヨンファ/CNBLUE、イ・ホンギ/FTISLAND)

修道院でシスターの修行をしている美子(瀧本美織)のところにある日、国民的人気のイケメンバンド「A.N.JELL」のマネージャーが訪ねてきます。そして美子は、「A.N.JELL」のメンバーで美子の双子の兄・美男の代役を頼まれ、ほかのメンバーにも内緒で引き受けることに…。

韓国版でチャン・グンソクが演じた役をKis-My-Ft2の玉森裕太が演じ、同・藤ヶ谷太輔、Hey! Say! JUMPの八乙女光など、ジャニーズファンにはたまらないキャスティングが話題に。さらに「アイドルとの恋愛」という夢のような設定で、多くの女性ファンを歓喜させました。

『美男<イケメン>ですね』キャスト
オリジナル版キャスト(Ph/AFLO)
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内容は、韓ドラお得意のドタバタラブコメディーですが、日本版、韓国版ともバンドメンバーのキャラクターが明確で魅力的、善悪もはっきりしているので、最初は「そんなわけないでしょ」と斜めに見ていても、「気がついたらどっぷりハマっていた」という韓国ドラマ特有の魅力をもった作品です。

チャン・グンソク
チャン・グンソク(Ph/AFLO)
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韓国版は日本での第2次韓流ブームとチャン・グンソクブームのきっかけとなった作品で、日韓いずれも現役の人気アイドルを上手に起用した点が功を奏したケースです。

Netflixからはこの夏も、スペインの人気シリーズのリメイク版『ペーパー・ハウス・コリア: 統一通貨を奪え』や、『恋慕』のパク・ウンビン主演の『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』、『空から降る一億の星』のソ・イングク主演の『美男堂の事件手帳』など、たくさんの注目作品が始まり、日本版の『六本木クラス』の動向からも目が離せません。そして時間のある夏休みには、今回ご紹介した作品などで、日本のリメイク文化にも触れて、新たな韓国ドラマの楽しみ方を見つけてみてはいかがでしょうか。

◆韓国エンタメライター・田名部知子

田名部知子
韓国エンタメライター・田名部知子さん
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『冬のソナタ』の時代から18年、K-POP、韓国ドラマを追いかけるオタク記者。女性週刊誌やエンタメ誌を中心に執筆し、取材やプライベートで渡韓回数は100回超え。韓国の食や文化についても発信中。2018年に韓国の名門・梨花女子大学に短期語学留学し、人生2度目の女子大生を経験。twitter.com/t7joshi

●『六本木クラス』の注目ポイントは?韓国ドラマのリメイク作が抱える「埋められない課題」

●韓国ドラマが日本版でタイトル変更される事情|ラブコメ要素を強めたり、元々ない副題がつくことも