
おしゃれ迷子のオトナ女性は、71歳の現役スタイリストが上梓したファッション指南本『ドラマスタイリスト西ゆり子の服を変えれば、人生が変わる』(主婦と生活社)でヒントが見つかるかもしれません。多くのドラマで衣装を手がけ、ヒロインたちの魅力を服で引き出してきた著者の西ゆり子さんに、50代女性がすぐに試せておしゃれに見えるコーディネートのコツを教えてもらいました。 【全5回の第5回】
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ファッションに悩むオトナ女性にアドバイス
スタイリストとして45年以上のキャリアを持つ西さんは、業界のトップランナーとして今も走り続けている。そのかたわら、60代からはドラマや映画の衣装担当として培ってきたノウハウを一般向けに教える「CoCo Styling Lesson」や、無料でスタイリングの知識を得られる「着る学校」というコミュニティーも展開。
年齢による変化でファッションに悩む生徒たちに、もう一度、心からおしゃれを楽しんでもらいたいと、アドバイスを続けている。

レッスン1|流行の服で時代の風を取り入れる
流行の服には旬のパワーがあると西さんは熱く語る。
「ドラマのヒロインの服を選ぶときには、キャラクターを引き立たせることに加えて、どこかに“今”を感じさせるトレンドを取り入れるようにしています。どんなに美しい女優さんでも、ひと昔前の服だと“過去の人”に見えてしまいますから、“今を生きる”パワーを感じさせるために流行のデザインの服が必要なんです。
流行の服は若い人のものと思われがちですが、そんなことはありません。オトナ世代の女性も、気軽に着てほしい。トレンドの着こなしもマネしてみればいいんです。その上で“しっくりこない”ならやめればいいし、”意外にイケる”と思ったらどんどん取り入れて。そんなトライ&エラーを繰り返すうちに、自分らしい着こなしへとアップデートされていくのです。時代のパワーをまとえば、おしゃれに自信が戻ってきますよ」(西さん・以下同)
西さんが教える、次の3つのポイントを意識して、トレンドをコーディネートに取り入れてみてほしい。
1 パワーショルダー:衿を抜いて、ビッグなコーデをスッキリ見せる

「肩にボリューム感があるパワーショルダーのブラウスは、衿を抜いて袖をまくって肌を見せる部分を多くするとスッキリ見えます。トップスの裾をウエストインしてワイドパンツと合わせてもいいですよ」
2 ボリューミーな袖:ボトムスをコンパクトにまとめて、トレンドの袖をアピール

「たっぷりした袖のトップスは、ボトムスをコンパクトにまとめると抵抗感なく着られます。ブラウスと靴の色を統一すれば、トータルのバランスも◎」
3 ライン入りパンツ:上下の色を揃えておしゃれに

「ライン入りパンツは上下の色がバラバラだと、やぼったく見えるので注意が必要。トップスはコンパクトかつ、色をボトムと揃えるのがおしゃれに見せるコツ」
レッスン2|持っていると役立つおしゃれな定番アイテム
「若い女性と大人世代では、似合う小物も変わってきます」と西さん。では、50代がファッションに取り入れるとおしゃれに見えるアイテムや使い方のコツとは?
1 アクセサリーはボリューミーに

「指輪やブレスレットなど、若い人は華奢なデザインが似合いますが、人生経験を積んだオトナ女性は、ボリューミーで存在感のあるものの方がよく似合います。チェーンのブレスレットも、オトナ女性は2連に。ブローチをダブルでつけるのも、ゴージャス!」
2 パールは最強
「顔色をパッと明るくしてくれるパールは、大人世代の強い味方。とくにピアスやイヤリングは、顔のすぐ横にあるのでハイライト効果も。“プチプラ”アクセも大いに活用して」
3 長めのショールが大活躍

「年齢を重ねるにつれて、お腹がポッコリしてくるのは多くの女性に共通する悩み。でも、心配ご無用。長めのショールやスカーフで縦長のIラインを作ると、お腹が目立たず全身がスッキリ見えます。ゆらゆらと揺れる裾にお腹への視線をそらす効果がありますよ。体形が目立ちやすいニットのロングワンピースなどに合わせたり、ジャケットの裾からスカーフをのぞかせるのもおすすめです」
今日着る服は今日選んで自己プロデュースを!
西さんが生徒たちに繰り返し伝えていることがある。「今日着る服は、今日選ぶ」というアドバイスだ。
「着る服は前日のうちに決めておくことが多いですよね。でも、翌朝に天気予報や自分の気分も変わっていたりする。そんなとき、気分じゃないコーディネートで出かけてもちっとも心がときめきません。
だから、今日着る服は今日選びましょう。『今日、自分は何をするのか、誰と過ごすのか、そのためにどんな服を着たいのか』。毎朝真剣に考えて自分のプロデュースをすると、ファッションや人生がより素敵に変化していくはずです。洋服は誰かのためではなく、自分のために着るもの。自分なりのおしゃれを楽しみながら、いくつになっても“なりたい自分”になりましょう」
◆スタイリスト・西ゆり子さん

にし・ゆりこ。スタイリスト。テレビ番組におけるスタイリストの草分け的存在で、ドラマスタイリストとしてテレビドラマと映画およそ200作品を手がける。2019年度「日本女性放送者懇談会50周年特別賞」受賞。現在は、一般個人向けに「CoCo Styling Lesson」や、無料でスタイリングの知識を得られる「着る学校」(https://www.stylingschool.org)というコミュニティも展開。近著に『ドラマスタイリスト西ゆり子の 服を変えれば、人生が変わる』(主婦と生活社)。
撮影/五十嵐美弥 取材・文/森冬生