“値上げの夏”を迎え、猛暑下でもエアコンの節電を心掛けている人は多いでしょう。ただ、忘れてはならないのが、実は室外機のお手入れ。「これをするかしないかで、冷房効率は変わってきます」とは、家電ライターの田中真紀子さん。そもそも室外機はどのような役割で、お手入れは何をすべきなのでしょうか? 解説してもらいました。
室外機の状態によって冷房の効きが変わってくる
「エアコンというと、どうしても室内機の性能ばかり注目されがちですが、実はエアコンの心臓部は室外機にあります。エアコンは冷房時、室内機が室内の空気を吸い込むことで、室内の熱を取り除いて冷えた空気を部屋に戻しています。そして室内から吸い込んだ熱は、室内機と室外機をつなぐパイプ内で、『冷媒』というガスによって室外機に運ばれ、外に捨てられます。
ですから室外機が適切な状態にないと、エアコンの効きが悪くなり、電気代が高くなってしまうこともあるんです」(田中さん・以下同)
室外機のお手入れはいつ、どの部分を行う?
そこで田中さんは、適宜、室外機の状態をチェックし、お手入れをすることをすすめます。
「室外機をお手入れするベストタイミングは冷房運転と暖房運転を使い始めるタイミングがベストですが、いつもより運転音が大きく感じるときや、どうにも冷房の効きが悪いときなども、室外機の状態をチェックしましょう」
特に見るべき場所は、室外機の裏側についている薄い金属板のフィン(熱交換器)。
「ここにホコリなどのゴミが詰まっていないか、確認を。フィンにホコリやゴミが詰まっていると、熱をうまく排出できません。掃除機やハンディクリーナーにブラシヘッドをつけて、大きめのホコリなどを吸引しましょう。それから歯ブラシなどの小型のブラシで金属板に詰まっている細かい汚れをかき出します。汚れがこびりついている場合は、軽く水で洗い流してもOK。室外機まわりに枯れ葉が溜まっていたら、それも除去を。
異音がする場合は、フィンに詰まった汚れで空気の流れが悪くなっていて、必要以上のパワーで運転している場合があります。フィンを掃除したのに異音がする、あるいは、機械的な異音がする場合は、経年劣化でガタがきている可能性も。購入して年月が経っている場合は買い替えどきかもしれません」
なお、室外機内部のお手入れは、素人が行うと故障の原因に。必ずエアコンクリーニングなどの業者に任せましょう。
エアコンの室外機カバーは必要?
一方、日常的に気を付けておきたいのが、室外機の周りに物を置かないこと。中には、汚れやサビから守るために室外機にカバーを付ける人もいますが、田中さんは「あまりおすすめできない」と言います。
「室外機は背面から空気を吸い込み、正面から吹き出す構造。そのため、周囲に物を置いて囲んでしまうと空気のやり取りがうまくいかず、冷房効率は下がります。また正面から出た熱が室外機周囲に留まると、再び吸ってしまうことになり、やはり効率ダウンや故障の原因に。室外機専用のカバーであれば通気も配慮されていると思いますが、冷房効率を最大限によくしようと思うなら、カバーはない方がいいでしょう」
中には室外機の上に観葉植物を置いたり、サイドにスプレーのフックを引っかけたりする人もいますが――。
「室外機は設置に空間を開ける必要はありますが、天面や左右には空気の出入りがないため、スプレーを引っかけたりするくらいなら大きな影響はないでしょう。最も注意すべきは、周囲に熱や空気がこもる状況になっていないか、です」
よしずなどで室外機周辺の温度を下げる
さらに冷房効率を上げたいなら、室外機周辺の温度を下げること。
「もし室外機に直射日光が当たっている場合は、よしずなどを立てかけ、風通しを確保しつつ日陰を作りましょう。また背面のフィンに水をかけたり、周囲に打ち水をすることも室外機周辺の温度を下げるためには有効です。ただし内部に水がはいり込まないよう気をつけてください」
メーカーによっては、室外機に特徴があるところも。次の2社のエアコンが、その例です。