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薄井シンシアさんが語る転職の考え方「リスクは避けずに計算する」「人からどう思われても痛くもかゆくもない」

多様な考えに自分から触れにいく

――バイアスの問題でいうと最近は、自分のコミュニティーの中にある情報を信じやすくて、外にあるものは軽視する傾向が強まっているかなと思います。

シンシアさん:だから多様性が大切なんですよ。この前、大手企業の人事部門の相談に乗りました。女性の復職支援のプログラムを設計するという話で。ただ、詳しくは言えませんが、制度がニーズに即していないのではないかと疑問に思う点がいくつかあって、私からはそこを指摘させてもらいました。

なぜ、聡明な人たちがそういうまずさに気づけなかったかというと、自分たちと同じようなバリキャリを作ろうと考えていたからなんです。みんなが同じライフスタイル、働き方を志向するわけじゃないという前提を飲み込めていないと感じました。怖いことなんですよ。自分の周りに自分と同じような人たちばかりがいる環境って。

井上真理子さん、薄井シンシアさん
「多様な考えに自分から触れにいく」のが大事。後ろに飾ってるのは真理子さんが描いた絵
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真理子さん:そうですよね。先ほどはSNSの負の面について話しましたが、私がSNSをやっぱり大事にしているのは多様な考えに触れたいからなんです。物理的に距離があったり、あるいは業種や環境が違ったりする人ともつながれるのがSNSのいいところだと思います。SNS上での交流もできましたし、実際に何人かのかたとはお目にもかかれましたし。病院を辞めて企業でのお仕事を経験したり、フリーランスとして働いたりしたのもよかったと思っています。

人と話すことで自分の中からも新しい言葉や新しい考えが生まれる

シンシアさん:私も、いろんな人と話すようにしています。例えば、シンポジウムに登壇することになったら、開会から閉会まで全てのセッションを聴きますし、懇親会にも出ます。忙しいからといって、自分の出番の直前に来て、講演したらすぐ帰るようなことはありません。聞く耳を持たないと。

真理子さん:会社の知名度や規模、役職、SNSならフォロワー数だとか、そういうものに権威性を感じて、フィルターをかけて見てしまう人が多いので、それに浴してしまう人もまた増えるんでしょうね。私も少なからずそういう面を持っていると思うので、気を付けたいなと思います。

シンシアさん:この取材も、こうやって対談形式にしてほしいと言ったのは、人から学びたいからなんです。一方的に自分の話をしたってつまらないでしょう。人と話すのは面白いし、人と話すことで私の中からも新しい言葉が出てくる。新しい考えが生まれる。それを大事にしたいと思っています。

真理子さん:私はシンシアさんに対しても、“企業の経営トップ”というフィルターをかけてしまっていたと思うんですが、こうして初めて対面してシンシアさんという人間をちゃんと見たら、やっぱり私がフィルターを通して見たシンシアさんではなくて。今日、お話しできて本当に楽しかったです。ありがとうございました。

シンシアさん:こちらこそ楽しかった! ありがとうございます。

◆薄井シンシアさん&井上真理子さん

薄井シンシアさん、井上真理子さん
薄井シンシアさん&井上真理子さん
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薄井シンシアさん/1959年、フィリピンの華僑の家に生まれる。結婚後、30歳で出産し、専業主婦に。47歳で再就職。娘が通う大学のカフェテリアで仕事を始め、日本に帰国後は、時給1300円の電話受付の仕事を経てANAインターコンチネンタルホテル東京に入社。3年で営業開発担当副支配人になり、シャングリ・ラ 東京に転職。2018年、日本コカ・コーラ社に入社し、オリンピックホスピタリティー担当就任するも五輪延期により失職20215月から20227月までLOF Hotel Management 日本法人社長を務める。近著に『人生は、もっと、自分で決めていい』(日経BP@UsuiCynthia

井上真理子さん/大学卒業後看護師としてキャリアをスタートさせ、看護師経験10年を経て美容業界に転身。美容専門学校教員、ヘアメイク講師、フリーランスヘアメイク、エステサロン受付、注文住宅営業、製薬会社プロジェクト立ち上げ等経験。現在はフリーランスとして経営者の業務サポートや、マネジメント、企画・運営などを担当。

撮影/黒石あみ 構成/赤坂麻実、編集部

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