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「生きがいなんていらない」薄井シンシアさんがそう語る理由と、社長を務めたホテルの退職そしてこれから

情熱がなくても仕事はできる

生きがいがないこと自体は、苦しみではないと私は思います。生きがいがなくて苦しいと思っている人のほとんどは、生きがいがないとダメだと思い込んで、自分の実情や本音とのギャップで苦しんでいるんじゃないでしょうか。私は実際、「生きがいを見つけよう!」という言説を見るたびにストレスを感じていました。

生きがいはあったらあったでいいし、なければないで困らないし、この高齢化社会ですから過去にあって今はないという人もたくさんいるはずで、そうであったって悲しまなくていいと思います。

薄井シンシアさん
次に何をしようか、思いを巡らせているという
写真8枚

社会や人間への好奇心は消えていない

私には生きがいがない。だけど、全てに無気力ということでもありません。それに、情熱を持たないままでも働けます。私はプロとしてやると決めたことは徹底してやるので、情熱があってもなくても関係ない。

目の前に、私にぴったりの仕事を持っている人がいたら「それやりましょうか」と申し出るし、自分の後ろを歩いてきているように見える女性が目の前に現れたら、「よければ少し手助けしましょうか」と言ってみる。社会や人間への関心、好奇心が消えてしまったわけではないのです。

今は本当に自由に、次に何をしようか、思いを巡らせています。特にワクワクしてはいませんが(笑い)、時が来て仕事が決まれば、それを真面目にやるでしょう。そんなふうにも、人は生きられます。

◆薄井シンシアさん

薄井シンシアさん
薄井シンシアさん
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1959年、フィリピンの華僑の家に生まれる。結婚後、30歳で出産し、専業主婦に。47歳で再就職。娘が通う大学のカフェテリアで仕事を始め、日本に帰国後は、時給1300円の電話受付の仕事を経てANAインターコンチネンタルホテル東京に入社。3年で営業開発担当副支配人になり、シャングリ・ラ 東京に転職。2018年、日本コカ・コーラ社に入社し、オリンピックホスピタリティー担当就任するも五輪延期により失職。2021年5月から2022年7月までLOF Hotel Management 日本法人社長を務める。近著に『人生は、もっと、自分で決めていい』(日経BP)。@UsuiCynthia

撮影/黒石あみ 構成/赤坂麻実、編集部

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