
鶏肉はダイエッターの強い味方。手軽に食べられるサラダチキンは、今やコンビニやスーパーの主力商品として扱われています。鶏肉がダイエットにおすすめであることはすでによく知られていますが、1万人の栄養指導に携わってきた管理栄養士の菊池真由子さんに、ダイエットにつながる鶏肉の効果と食べ方について改めて教えてもらいました。
豊富なビタミンB群が太りにくい体を作る
「食事をしたあと、体が温かくなることはありませんか? 食べ物には、食べたカロリーを体温として発散させる食事誘発性熱産生という働きがあります。
食事誘発性熱産生で消費するエネルギーは栄養素の種類によって異なりますが、脂質のみを摂った場合は摂取カロリーの約4%、糖質のみの場合は約6%、対して、たんぱく質のみの場合はなんと約30%(食事誘発性熱産生率は『厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト』より・以下同)。このエネルギー代謝の高さが、たんぱく質がやせる栄養素といわれる理由の1つです。
通常の食事はさまざまな栄養素が混在していますので、食事誘発性熱産生は約10%程度ですが、たんぱく質をしっかり摂った方がやせやすくなるのは確実です」(菊池さん・以下同)

毎日の食事にビタミンB群を取り入れる
さらに、たんぱく質は適度にインスリンの分泌を促して血糖値の上昇を抑えるとともに、食欲抑制ホルモンの分泌を促してくれます。

「たんぱく質の中でもいちおしなのが、高たんぱく低カロリー、そしてビタミンB群が豊富な鶏肉です。ビタミンB群の主要な働きは、糖質、脂質、たんぱく質の分解や燃焼を促して体を動かすエネルギー源にする。つまり、毎日の食事にビタミンB群を取り入れることで、食べたものをしっかり消費し、太りにくい体になることができます。特に、これからダイエットを始めようという人には取り入れてほしい食材。リバウンドもしづらくなりますよ」
逆に、ビタミンB群が不足すると、糖質、脂質、たんぱく質の代謝が落ち、余分な脂肪が体に蓄積しやすくなります。
脂肪の多い皮をとれば部位にこだわらず食べてOK
では、1日にどれくらい食べればいいのでしょうか?
「鶏肉の100gあたりのカロリーは、ささみ98kcal、もも肉皮なし113kcal、胸肉皮なし105kcal、もも肉皮付き190kcal、胸肉皮付き133kcal(100gあたりのカロリーは『八訂 食品成分表2022』より)といずれも低めです。どの部位もダイエットにおすすめです。1食で1/2~1枚(約200~300g)を食べても問題ありません」
一口に鶏料理と言ってもさまざまな種類がありますが、どんな食べ方がダイエットには効果的なのでしょうか?

「一番好ましいのは、照り焼きや焼き鳥などのシンプルな料理です。よりダイエット効果を求めるなら、脂肪とコレステロールの高い皮の部分は取りましょう。ただし、皮には旨みも多いので、調理のときは皮を付けたままで調理し、食べるときに皮を取る。そうすると、身に旨みがしみこんで、おいしく食べられます。
一方、から揚げやチキンカツなどの揚げ物は、脂肪を摂りすぎてしまうので要注意」
週に1~2回程度、鶏以外の肉も満遍なくとる
鶏肉はダイエット向きのたんぱく質ですが、毎日食べなくてもいいといいます。
「週に1~2回に程度でOK。鶏肉以外にも、牛肉、豚肉、魚、卵など鶏肉では得られない栄養素をもつたんぱく質があります。鶏肉に偏ることなく、さまざまな種類の栄養素を体に取り込むことも、ダイエットには不可欠です。
さらに、鶏肉に足りないビタミンや食物繊維は、生野菜サラダを一緒に食べて補えばベスト! サラダでも、脂肪の多いマヨネーズを使ったポテトサラダ類は控えましょう」

健康的なダイエットには、良質なたんぱく質を含む鶏肉を食べるのが近道といえそうです
◆教えてくれたのは:管理栄養士・菊池真由子さん

管理栄養士。健康運動指導士。NR・サプリメントアドバイザー。日本オンラインカウンセリング協会認定上級オンラインカウンセラー。大阪大学健康体育部(現・保健センター)、阪神タイガース、国立循環器病センター集団検診部(現・予防検診部)を経て、厚生労働省認定健康増進施設などで栄養アドバイザーを務める。ダイエットや生活習慣病の予防対策など、のべ1万人の栄養指導に携わる。新刊『食べて、やせる! おうちdeダイエット』(三笠書房・以下同)が2.5万部超えのヒット。10万部超えの『食べても食べても太らない法』などダイエットや美容に役立つ食事について解説した本がベストセラーに。https://www.diet-class.com/
取材・文/佐々木めぐみ