ナスはカロリーが少ないのに、栄養が豊富な野菜です。とくに立秋（2022年は8月7日）を過ぎてから育つ秋ナスは、甘みがあり、実が引き締まっていると野菜ソムリエプロの福島玲子さんはいいます。そこで、ナスに含まれている栄養やおすすめの調理法などについて教えてもらいました。
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低カロリーで美容＆リラックス効果が期待できる
ナスは100gあたり18kcalと、低カロリーな野菜です。実の90%は水分なのに、たくさんの栄養成分を含んでいます。栄養成分については夏ナスも秋ナスもほぼ変わりません。
ポリフェノールによる強い抗酸化力が特徴
ナスの皮の濃い紫色は、ナスニンと呼ばれるポリフェノールの一種によるものです。これはアントシアニン系の色素で、強い抗酸化力があり、がんや生活習慣病のもとになる活性酸素を抑える力が強く、コレステロールの吸収を抑える作用もあるそうです。日々の健康づくりや、美容を意識しているかたにはうれしい栄養素です。
他にも、むくみの改善や予防効果が期待できるカリウム、貧血予防効果があるモリブデンなども豊富。ビタミン類はバランスよく含まれていますよ。
血圧上昇抑制＆リラックス効果のある栄養も豊富！
あまり知られていませんが、ナスには一般的な他の野菜に比べて1000倍以上のコリンエステルという栄養が含まれています。信州大学農学部の中村浩蔵准教授を中心とする共同研究事業体「ナス高機能化コンソーシアム」によって、コリンエステルは神経系の働きを調節して、血圧の改善や気分をよくするリラックス効果があることが明らかとなりました。
中でも、高知県でハウス栽培される冬春ナス「高知なす」には、特に多くコリンエステルが含まれているのだそうです。2021年には、生鮮品の「高知なす」に血圧改善効果があるとして機能性表示が認められています。
料理のポイント＆「秋ナスは嫁に食わすな」は本当？
秋ナスをおいしく召し上がっていただくために、料理のポイントを野菜ソムリエ目線でお話しします。また、なぜ「秋ナスは嫁に食わすな」と言われるようになったのか、という豆知識も紹介します。
油を吸収しやすいナスを調理するときのコツ
低カロリーなナスですが、油を吸収しやすいので、炒め調理をするとカロリーが上乗せされてしまいがちです。炒めるときは皮を下にして焼き始めると、油の吸収が抑えられます。
ナスの油の吸収が気になるかたには、電子レンジ調理のサラダもおすすめです。ナスを縦にカットしてから、水分が抜けないようにラップで包んで600Wで3～4分加熱します。氷水で急速に冷やしてから、サラダの具材としてノンオイルドレッシングやめんつゆなどで和えると、低カロリーな一品の完成です。素材の味・食感をそのままおいしくいただける調理法です。
「秋ナスは嫁に食わすな」は体を冷やすから？
「秋ナスは嫁に食わすな」ということわざがありますよね。これは、“秋ナスは嫁に食わすにはもったいないほどおいしい”というほかに、ナスには体を冷やす作用があるため、嫁の体を思えばこそ、冷えないように食べさせるなという説もあるんです。
ナスが体を冷やすのは、利尿作用のあるカリウムが含まれていることが原因だと考えられています。尿が排出されるときに、体の内側の熱を排出するのです。また、カリウムは体から過剰な塩分を排出し細胞内の浸透圧を維持するので、血圧を安定させる作用があります。血圧が下がると全身の血液の流れがゆっくりになって、体温が上がりにくくなると言われているので、暑い日の体温調節におすすめの野菜ですね。
◆教えてくれたのは：野菜ソムリエプロ・福島玲子さん
ふくしま・れいこ。野菜ソムリエプロのほか、アスリートフードマイスター2級、ジュニア食育マイスター、食の検定1級、ベジフルカッティングスペシャリスト、エコクッキングナビゲーターなど多数の資格を持ち、日本野菜ソムリエ協会創立 20 周年記念事業『野菜ソムリエ名鑑 vol.1』に掲載されている。現在は、“野菜や果物から健康に”との考えを大切に講演・セミナー講師、イベント・セミナー運営サポート、コラム、料理教室、レシピ開発や監修・ジュニアアスリートの栄養指導・など、多岐にわたって活動中。https://ryufrei.com/
構成／イワイユウ