薄毛や白髪、髪のハリ、ツヤ、コシがなくなる…これらの老けて見える髪のトラブルは、現代ならではの生活様式が原因になっている可能性があると、『「髪が増えるしくみ」から考案 頭皮が蘇るすごいマッサージ』(アスコム)の著者で管理理容師・理容師・ヘッドスパ経営者の辻敦哉さんは話します。そこで、できるだけ回避したい髪のトラブルと解決策について紹介します。
現代ならではの髪のトラブルとは?
辻さんによると、筋肉のこわばりや、ストレス、脳疲労、自律神経の乱れ、顔の筋肉のたるみが起こると、血液が滞って、頭皮が硬くなります。それが、薄毛や白髪、ハリ、コシ、ツヤのない、老けて見える髪になる原因になってしまうそうです。
「昔と比べ、パソコンやスマホの使用など生活スタイルの変化によって、現代人ならではの髪トラブルが起こりやすくなっています。長時間パソコンやタブレットで仕事をしたり、寝る前に動画やSNSを見たりしていませんか? このような生活習慣が老けて見える髪へと導いていることがあるのです」(辻さん・以下同)
スマホやパソコンの姿勢によって白髪や薄毛に
現代ならではの、老け髪を引き起こす原因と解決策を教えてもらいました。
頭皮に栄養が届かないストレートネック
パソコンに向かって作業をしているとき、前かがみになっていたり、ひと息つくときにスマホを見てうつむいていたりしませんか? このとき、首は本来あるべき肩からの延長線上のラインではなく、肩よりも前の位置に出てしまっています。最近聞くようになった、ストレートネックやスマホ首と呼ばれる、首のカーブが失われた姿勢です。これが髪にも影響を及ぼしているそうです。
「成人の頭は5kgほどあると言われていますが、頭の重さが5度傾くごとに5kgずつ首に負荷がかかるそうです。大きな負荷がかかることで、肩だけでなく首にもコリが発生します。頭部に血液やリンパ液を運ぶには、必ず首を通ります。コリにより流れが滞っていると、栄養を含んだ血液が頭皮まで十分に届かなくなるんです」
コリによる血流の停滞で“スマホハゲ”の可能性も
傷みや不調を感じにくい首のコリのSOSは薄毛や白髪という形で体から発信されています。首のコリを放置してしまうと、頭皮への血流が滞って“スマホ白髪”に、さらに自律神経の乱れにつながります。自律神経が乱れると頭皮が硬くなり、血流が滞り、“スマホハゲ”となってしまう恐れもあると、辻さんはいいます。
「もし心当たりがある人は、首のコリ対策をしましょう。パソコンのモニターを目の高さと同じ位置に設置したり、枕の高さを低くしたり、『胸鎖乳突筋・僧帽筋ほぐし』(後述)を定期的に行ったりすると改善されますよ」
「胸鎖乳突筋・僧帽筋ほぐし」のやり方
【1】両手は体の横に下ろしたまま、頭を前に倒し、そのまま時計回りに1周します。頭が前にもどったら、反時計回りにもう1周。手を使って伸ばしたり、ポキポキと音を鳴らしたりせずに、頭の重さを使ってゆっくりと首の筋を伸ばすイメージでストレッチしましょう。このとき、1周30秒を目安に時間をかけて行うのがおすすめです。
【2】テーブルに左ひじをつき、左の首と頭蓋骨の付け根に左手の親指をあて、頭の重みを利用して富士山ラインのくぼみに沿ってマッサージをしましょう。滞った“疲労物質”を押し流すイメージで、痛気持ちいいくらいの強さで押します。1分間マッサージしたら、右側も同様に行いましょう。