健康・医療

1年で24kg減量した専門家がダイエットに役立つ「PFCバランス」について解説

ダイエットに役立つ「PFCバランス」
ダイエットに役立つ「PFCバランス」とは?(Ph/イメージマート)
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外食時でも、自炊をするときも「PFCバランス」を上手にコントロールすることで、痩せやすい体質を目指せるそうです。そもそもPFCバランスとは? 何の略? そんなかたも多いはず。そこで、体重78kgから1年間で24kgのダイエットに成功し、その後トータルダイエットカウンセラーとして活動、今はヘルスフードサイエンス研究家の大西ひとみさんに、ダイエットや体型維持にとても役立つ「PFCバランス」について教えてもらいます。

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PFCって何の略?

PFCとはP=(Protein)たんぱく質、F=(Fat)脂質・脂肪、C=(Carbohydrate)炭水化物のことを示し、私たちが摂取する栄養素でカロリーとなるものであり、三大栄養素と呼ばれる栄養素で私たちが健康に生きていくために必要な栄養素です。

24㎏減量に成功した大西ひとみさん
24㎏減量に成功した大西ひとみさん
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この三大栄養素の摂取カロリーのバランス「PFCバランス」を考えて食事をすることがダイエットや健康維持の指標の一つとして活用できるのです。

それぞれの栄養素の役割

まず、それぞれの栄養素の体への役割とカロリーを簡単に知っておきましょう。

たんぱく質は1g4kcalあり、身体を作る主要栄養素になります。たんぱく質が充分に補給されないと、消化・吸収などの内臓機能の低下、代謝の低下、免疫力の低下、筋肉量の減少や肌・髪のトラブルなどにつながると言われています。たんぱく質は肉、魚、卵など動物性のものに多く含まれていますが、大豆などにも含まれています。

プロテイン
たんぱく質は肉、魚、卵など動物性のものに多く含まれていますが、大豆などにも含まれている(Ph/イメージマート)
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脂質は、1gで9kcalあり、体内でエネルギー源となるだけでなく、細胞膜を構成する成分でもあり、体のクッションになる皮下脂肪、ホルモンや遺伝子の材料、栄養素の吸収や運搬、体温調整、栄養素の合成や貯蔵などさまざまな役割を持っています。脂質は一番イメージしやすいかと思いますが、肉や魚の脂身をはじめ、オリーブオイルや米油など油物全般に含まれています。

炭水化物は1gで4calあり、体内でエネルギー源となる栄養素で、消化吸収が三大栄養素の中で最も早い栄養素になります。水分を多く保持する力が強く、血糖値の上昇をさせやすく、摂取することで脂肪が合成を早め、皮下脂肪や内臓脂肪として蓄積されやすい特徴を持っています。米、パン、麺類などの穀物や野菜、フルーツなどの植物に多く含まれています。また、炭水化物には食物繊維も含まれています。

PFCバランスはどうして重要?

ダイエットや体型維持をする際、ただ摂取カロリーだけを意識されるかたを多く見てきました。しかし、それぞれの栄養素にそれぞれの役割があるように、どれぐらいのバランスで栄養を摂取するかで、仮に減量に成功したとしても体型に大きな違いが出てきます。

極端な例になりますが、同じカロリー摂取量でも、スナック菓子ばかり食べてダイエットした場合と栄養バランスを考えた食事をした場合では明らかに見た目が変わりますし、仮に同じ体重を減量できたとしても、その後のリバウンド率は大きく変わります。PFCバランスは、上手にダイエットや体型時するために極めて重要な指標になるのです。

PFCバランスはダイエットや体型維持にどうやって活用するの?

厚生労働省では「エネルギー産生栄養素バランス」として、生活習慣病の予防・改善の指標となる三大栄養素の目標量を30~49歳の女性で、たんぱく質:13~20%、脂質:20~30%(飽和脂肪酸は7%以下とする)炭水化物:50~65%としています(日本人の食事摂取基準〈2020年版〉より)が、これは前述のとおり、ダイエットや体型維持を目的としている指標ではありません(ここで示している%は総摂取カロリーに対する各栄養素の目標接種カロリーです)。

食材
理想のPFCバランスとは?(Ph/イメージマート)
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カロリーだけにとらわれないように

私がおすすめするダイエットや体型維持の理想のPFCバランスは、たんぱく質30~40%、脂質20%、炭水化物40~50%。ただし、同じ栄養素でもどんな食材から摂取するのか、どんなタイミングで摂取するのかで体重の変動に差が出てきたり、体質やライフスタイルの違いなどでも差は出てきますので、ここでのバランスはあくまでも目安としてください。

実際に細かく自分に最適なPFCバランスを知るためには、まずは基礎代謝を計算し、その上で日々の活動量を考えた目標摂取カロリーを導き出す必要があります。その上で、ダイエットする場合は目標摂取カロリーに対して少なめ、体型維持の場合は目標摂取カロリーと同じくらいを摂取する食事メニューを考えなければなりません。

カロリーにとらわれてしまうのは継続して実行するには現実的ではないですし、理想の体型を手に入れる近道ではないと私は考えています。リバウンドにもつながる可能性を高めてしまいます。

プレート内の見た目の量で判断する方法

私は、1枚のプレート皿の全体サイズ対して、60%がお野菜を十分に含む炭水化物(例:ご飯と野菜の煮物、パスタとラタトゥイユ、パンとサラダなど)、40%がたんぱく質(例:肉、魚、卵、チーズ、豆類など)にするようにしています。脂質は調理時の油などから摂取していると考えます。見た目の量で考えているので、カロリーのバランスとは異なりますが、これぐらいざっくり考えたほうが続けやすいと思います。

ダイエットや体型維持は、「継続すること」が一番大事です。何事もまずは自分自身に続けられるかどうかを問う必要があります。細い設定を設けたダイエットは続かないだけでなくリバウンドにつながりやすくなります。焦りは禁物! ある程度はいい意味で大ざっぱに、そして心にゆとりを持って楽しみながら自分磨きをすることが一番のダイエットや体型維持の近道だと思います。

◆教えてくれたのは:ヘルスフードサイエンス研究家・大西ひとみさん

ヘルスフードサイエンス研究家・大西ひとみさん
ヘルスフードサイエンス研究家・大西ひとみさん
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9年間、米ロサンゼルスでパーソナルトレーナーとして活動後帰国。トータルダイエットカウンセラーとして7冊の本を出版、ダイエット商品・食品の商品開発の監修などをはじめさまざまなメディアで活動。2017年に自身のギルトフリースイーツブランド「h+diet(エイチプラスダイエット)」(https://h-plusdiet.com/)を立ち上げ、現在は東京・武蔵小山で『h+diet laboratory』をオープン。野菜を使い、甘味料・人工甘味料不使用、グルテンフリーの「栄養学から考えるオーガニックスイーツ」を販売、他社の商品監修などに携わるなどヘルスフードサイエンス研究家としても活動。

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