食事で太る原因には、過食や糖質や脂肪の多い食事などを思い浮かべますが、管理栄養士の菊池真由子さんは、実は太っている人ほど「デブ味覚」になっているといいます。菊池さんにデブ味覚とは何かとその改善方法を教えてもらいました。
濃い味は食欲を招く
辛い味(塩味、しょうゆ味、みそ味)や甘い味などの濃い味つけを好む人は、デブ味覚になっている、もしくは予備軍だと菊池さんはいいます。
「タレのたっぷりかかった焼き肉を食べれば白米がすすむ、塩味のきいたスナック菓子は手が止まらない、お腹いっぱいでも複数のスイーツを食べてしまう、つまり濃い味は余分な食欲を招くのです。そして、濃い味に慣れてしまうと、より濃い味を求めるようになる。どんどん進む食欲に連動して体重も加速します」(菊池さん・以下同)
辛い味の料理を食べればご飯もおかずも増えて結果的に全体量が多くなりますし、甘いものは糖質や脂質の塊ですから食べた分だけ体につきやすいのです。
調味料を控えたもの足りなさは、だしの旨みで補う
では、こうしたデブ味覚を改善する方法はあるのでしょうか?
「改善できます。とはいえ、これまで蓄積してきた味覚をリセットするのですから、段階が必要です。辛い味つけの改善には、塩やしょうゆなどの調味料を減らしてだしを使う。だしには旨みがありますから、調味料を減らした味のもの足りなさをカバーしてくれます。
昆布やかつおなど食材でとっただしを使うのがベストですが、手間がかかりますからだしの素、中華だしの素、ガラスープの素、コンソメなどの顆粒や固形のインスタントでOK。インスタントのだしに塩分がはいっていても、塩やしょうゆなどの調味料に含まれる塩分に比べれば少量ですから、全体的な塩分量は減らせます。
また、ある研究報告によれば、一般的な汁物に味の素(グルタミン酸ナトリウム=MSG)を使った場合、塩分を減らした方がおいしいと評価された、というデータもあります」
MSGを入れない汁物の塩分を100%とした場合、MSGを使用すれば塩分は約40%に抑えた状態でもおいしく感じた人が多かったという結果が出ています(出典:早渕仁美ら講演発表『食塩摂取低減を目的とした汁物適正塩分濃度の検討』 第41回日本高血圧学会総会2018より)。