
目の下のクマは、老けて見えたり、疲れて見えたりして、せっかくメイクをしても気分が上がらない、なんてことも。そこで、クマのタイプやそれぞれの対策について医師で薬剤師の金城里美さんに教えてもらいました。
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目の下のクマは大きく3タイプ
目の下のクマは大きく3タイプに分けられます。それぞれ対策が異なるので、自分のタイプを知ることが改善への第一歩になります。
茶クマタイプ
茶クマは、くすみや色素沈着などで肌自体の色が濃くなっているのが原因です。くすみは加齢やメイクを落としきれていないこと、色素沈着は目をこすることや日焼けによって起こります。また、スキンケアや紫外線ケアが不十分な場合もあります。
青クマタイプ
青クマは、目の周りの血行不良によるものです。毛細血管の血行の流れがよければ目立ちにくいですが、睡眠不足や疲れ、栄養不足、冷え性、生活の乱れなどで血行が悪くなると目立つようになります。なぜなら、目周りの肌はほかの部位よりも薄く、肌の下にある毛細血管の色が見えやすいのです。

黒クマタイプ
黒クマは、たるみやむくみなどによって生じる目の下の凹凸によるものです。前述したとおり、目の下は肌が薄い部位のため、加齢により肌のハリが失われるとたるみが起こりやすくなります。また、むくみもあらわれやすい部位です。
目の下のクマを食生活で改善しよう
クマのタイプ別に必要な栄養素は異なります。そこでそれぞれのケアに必要な栄養素と食材について紹介します。
茶クマに効果的な食材
くすみや色素沈着が原因の茶クマは、肌のターンオーバー(古い肌が垢となり新しい肌に生え変わる代謝の周期)を改善するのが有効です。

ターンオーバーを促進するには、抗酸化作用のあるビタミンCを摂ることが有効です。パプリカやキャベツ、いちご、キウイに多く含まれているので積極的にとりましょう。なお、ビタミンCは熱に弱いため、生で食べることがおすすめです。
青クマに効果的な食材
血行不良が原因の青クマには、血行をよくするビタミンEを積極的に摂りましょう。

ナッツ類や大豆、アボカド、かぼちゃ、うなぎに含まれているビタミンEは、毛細血管を広げて血行を改善させるほか、ビタミンCと同様に抗酸化作用もあります。ビタミンEは脂溶性ですので、炒めもの、揚げもの、ドレッシングなど油を使った調理がおすすめです。
黒クマに効果的な食材
黒クマは、たるみやむくみを引き起こす、パソコンやスマホの長時間使用などで目を酷使しすぎないように、生活習慣を振り返ってみましょう。また、塩分や糖分の摂りすぎもむくみの原因になります。

目の疲れの改善には、目や肌の粘膜を健康に保つ働きを持つビタミンAが効果的です。豚や鶏のレバー、うなぎ、焼きのり、にんじんなどに含まれています。ビタミンAも脂溶性ビタミンですので、炒めもの、揚げもの、ドレッシングなど油を使った調理がおすすめです。
目の下のクマには漢方によるケアもおすすめ
クマがなかなか改善しない場合、漢方で体の内側から整えるのもおすすめです。
クマの改善には、血流を改善して肌に栄養を届けることで色素沈着やくすみを改善する作用や、水分の巡りを改善して目の下の肌にハリや潤いをもたらす作用を持つ漢方薬を選びます。

目の下のクマにおすすめの漢方薬2つ
・桂枝茯苓丸加薏苡仁(けいしぶくりょうがんかよくいにん)
比較的体力があり、下腹部痛、肩こり、頭重、めまい、のぼせて足冷えなどがある人の、にきび、シミ、手足の荒れ、月経不順、血の道症(月経時、更年期、産後などの女性に見られる頭痛、めまい、のぼせ、肩こり、疲労感、月経異常などの諸症状)に効果的です。
全身の組織に栄養を供給する「血(けつ)」の巡りが悪いと、肌のシミ、色素沈着、肌荒れなどが起こりやすくなります。桂枝茯苓丸加薏苡仁は「血」の巡りをよくするので、血行改善、シミや色素沈着の改善の効果が期待できます。
・当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
体力虚弱で冷え性、貧血の傾向があり、疲れやすい人に処方します。下腹部痛、頭重、めまい、肩こり、耳鳴り、動悸などがある人の月経不順、更年期障害、めまい、立ち眩み、頭重、肩こり、冷え性、むくみ、シミに効果的な漢方薬です。
当帰芍薬散は「血」の量が少なくなっているときに「血」を補充するとともに、「血」の巡りを改善させます。血行やシミ、色素沈着、むくみの改善効果が期待できます。
漢方を服用する際の注意点
なお、漢方薬はその人の体質に合っていないと、よい効果が見込めないだけでなく、副作用が起こる場合もあります。自分に合う漢方薬を見つけるためにも、服用の際は漢方に詳しい医師や薬剤師に相談するのが安心です。
◆教えてくれたのは:皮膚科医・金城里美さん

かねしろ・さとみ。皮膚科医。薬剤師。東京大学薬学部卒業後、医師を目指して、東京医科歯科大学医学部に入学。体、精神とも関わって多様に現れる皮膚の病態に興味を持ち、皮膚科医の道を選ぶ。卒業後、大学病院、総合病院、クリニックでの皮膚科勤務を経て、一般皮膚科から美容皮膚科まで皮膚科領域の診療を幅広く行う。 現在、総合病院の皮膚科常勤医として勤務。今までの経験をいかし 、「あんしん漢方」(https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/)などで情報発信している。