年中売り場に並んでいるアスパラガスも、旬は春。旬のものは、甘みだけでなく、栄養もより多く摂ることができます。そんなアスパラガスの栄養効果や調理のポイントを、野菜ソムリエプロの福島玲子さんに教えてもらいました。
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アスパラガスは疲労回復や美容・健康におすすめ
アスパラガスにはビタミンやミネラルがたくさん含まれています。さらに、他の野菜には少ない栄養素も多く摂ることができる、うれしい食材なんです。
“疲労回復成分”のアスパラギン酸がたっぷり
アスパラに含まれる栄養素としてまず挙げられるのが、疲労回復やスタミナ増強に効果が期待できるアミノ酸の一種、アスパラギン酸です。アスパラガスからこの成分が見つかったことが、名前の由来になっています。
アスパラギン酸には、体に蓄積されたアンモニア成分を“解毒”したり、運動によって溜まった疲れを抑制したりと、エネルギー代謝を活発にする効果があります。
美容や健康に効果的なルチンも豊富
ポリフェノールの一種であるルチンもアスパラにふんだんに含まれています。毛細血管を丈夫にして血流を改善し、高血圧や動脈硬化、脳卒中などの生活習慣病の予防に効果があるといわれる栄養素です。さらに、たんぱく質が筋肉になる働きをサポートするといわれています。ルチンは、特に穂先に多く含まれています。
ビタミンCの吸収を促進する働きもあり、抗酸化作用も期待できるので、アンチエイジングにも有効です。
ほかにも、βカロテン、ビタミンA、ビタミンC、食物繊維や、カリウムなどミネラルをバランスよく含み、おいしいだけでなく体にもうれしい効果がたくさん期待できます。
アスパラガスを調理するときのポイント&豆知識
最後に、アスパラガスをいただくときのちょっとしたポイントをお話しします。知っておくと便利ですよ。
調理のワンポイント
調理する際、最初に切り口をカットすると思います。根に近いほうの皮は厚いので、大きく切ってしまいがちですが、まず1cm程度包丁で切って、繊維質が多いまわりの部分をピーラーでけずるのがおすすめです。
茎にあるはかまは、取ったほうが口当たりがよくなりほのかな苦みも取れますが、血圧の上昇を抑える働きのあるアスパラプチンも含まれているので気にならなければ取らなくてもOKです。
根っこと穂先で、調理法を変えるのも◎
根っこに近い部分は硬いので、炒める・茹でる・揚げるなどの加熱調理が◎。逆に、穂先はやわらかいので、軽く茹でてサラダに添えたりするのがおすすめの食べ方です。また、生食には皮の薄いミニアスパラガスが向いています。
白や紫のアスパラガスはどう違う?
緑色のグリーンアスパラガスだけでなく、白色のホワイトアスパラガスや紫色のものも旬の時期に出回ります。栄養素はあまり変わりませんが、ホワイトアスパラガスのほうが少しだけ皮が厚く、甘みがほんのりと増しているといわれています。紫色のアスパラガスは、加熱すると緑色になってしまうので、鮮度が良ければ生食をおすすめします。
また、「さぬきのめざめ」という品種は大きいものだと50cmもの長さがあり、甘みも強いそうです。見かけたらぜひ味わってみてください。
◆教えてくれたのは:野菜ソムリエプロ・福島玲子さん
ふくしま・れいこ。野菜ソムリエプロのほか、アスリートフードマイスター2級、ジュニア食育マイスター、食の検定1級、ベジフルカッティングスペシャリスト、エコクッキングナビゲーターなど多数の資格を持ち、日本野菜ソムリエ協会創立 20 周年記念事業『野菜ソムリエ名鑑 vol.1』に掲載されている。現在は、“野菜や果物から健康に”との考えを大切に講演・セミナー講師、イベント・セミナー運営サポート、コラム、料理教室、レシピ開発や監修・ジュニアアスリートの栄養指導・など、多岐にわたって活動中。https://ryufrei.com/
構成/イワイユウ