マスク生活が定着し、顔の半分がマスクで隠れていることからノーファンデで過ごす人も増えているようです。しかし、このノーファンデはマスク時代だからこそ肌にとってリスクがあると言います。そう語るのは、『医者が教えるすごい美肌循環』(アンノーンブックス)の著者で、テレビや美容雑誌など多くのメディアで話題のアンチエイジングドクター・日比野佐和子さん。ファンデーションが果たす役割やノーファンデのリスクについて教えてくれました。
「時間を長めにすれば効果倍増」は間違い!「ながら」のシートマスクは効果減
肌にとってオアシス的なイメージの強いシートマスク。効果を倍増させようとついつい規定の時間よりも長めにパックしてしまうという人も多いようですが、それは逆効果だと日比野さんは待ったをかけます。
「『お風呂に入りながら』『歯磨きをしながら』など、ついつい時間をオーバーしてしまう“ながらシートマスク”。こういった長時間のシートパックの使用は、肌細胞の水分バランスを乱し、バリア機能を衰えさせてしまうのでNGです。
また、比較的低価格で何枚も重なってはいっている大容量のシートマスクは、細菌だらけの素手で触ることを想定して作られています。そのため、より強い防腐剤が使われていることも多く、肌に負担がかかることでかえって肌をくすませたり、シミやそばかすの原因をつくることもあるのでおすすめできません」(日比野さん・以下同)
シートマスクは素材選びも大事。新素材「バイオセルロース」がおすすめ
いろいろな種類のシートマスクがありますが、素材選びも美肌を左右するそうです。
「シートマスクはいろいろなものがありますが、使い方や素材選びを間違えると肌トラブルのもとになります。まず意識したいのはシートの素材。一般的に使われている不織布は密着性が低く、動いたらずれやすいので、効果も半減。
一方、植物(ヤシ)由来の原料にナタ菌(酢酸菌の一種)を植えつけ、培養発酵することで作られた新素材『バイオセルロース』は、触感も皮膚のようになめらかで高密着するのでおすすめです」
ノーファンデはエイジングを加速させるリスクも
ファンデーションは肌にとって負担というイメージもあり、またマスク時代だからこそ、「マスクの下はノーファンデ」「在宅時はノーファンデ」という人も増えていますが、これはかえって肌にとってはNGだと日比野さんは言います。
「ファンデーションは、皮膚呼吸を妨げることなく、肌の水分量や皮脂量をコントロールします。エイジングケアにとって大切なのは、肌が十分な水分を保っていることと、皮脂量の分泌過多を抑えられていること。ファンデーションはこの2つを叶える役割を果たします。
また、ファンデーションを含むメイクアップは、マスクの摩擦を低減し、肌の保護効果を持つので、マスク生活に欠かせません。さらには、乾燥やウイルス、大気汚染物質などから肌を守り、体内から水分が逃げることを防ぐバリア機能をサポートしてくれます。紫外線対策としても、UVカット機能のあるファンデーションを選びましょう」
ファンデーションをエイジングケアの味方にするコツはこまめな塗り直し
ただ塗ればいい、というわけではなく、ファンデーションの役割を最大限に活かすためのコツがあるそうです。
「ポイントは、こまめに塗り直すこと。汗をかいて崩れたファンデーションと皮脂が混ざり合って酸化すると肌トラブルの原因になるからです。日焼け止めが配合されているものも多く、紫外線防御効果を維持するためにもこまめな塗り直しが有効です。私も薄づきですがファンデーションはいつも塗っています。それはマスク着用時も室内での仕事のときでも変わりません」
◆教えてくれたのは:アンチエイジングドクター・日比野佐和子さん
内科医、皮膚科医、眼科医、アンチエイジングドクター(日本抗加齢医学会専門医)。アンチエイジングの第一人者として、基礎研究から最新の再生医療の臨床にいたるまで幅広く国際的に活躍。テレビや雑誌などにも数多く出演。2022年3月、美肌になるためのエイジングケアについて解説した『医者が教えるすごい美肌循環』(アンノーンブックス)を出版。10月には、フェムテックと女性のからだについてまとめた『医者が教えるすごい生理循環』を発売。https://yss-clinic.jp