豊かな香りと酸味が食事の味を引き立てる、ゆずやすだち、かぼすなどの香酸柑橘(こうさんかんきつ)類。旬を迎える秋には、鍋や焼き魚などに使っておいしくいただく人も多いのではないでしょうか。「食事をワンランクアップさせる香酸柑橘類を、ぜひ取り入れてみてほしい」と話す、野菜ソムリエプロの福島玲子さんに見極めのコツや保存の方法を教えてもらいました。
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香酸柑橘類3種類の違いとおいしいものの見分け方
低カロリーでビタミンCやクエン酸が豊富な香酸柑橘類は、美容や健康面からも人気の食材です。ジャムやスイーツに加工したり、果汁を調味料やジュースにしたりする食用のほか、香りを楽しむアロマ素材として、化粧品や入浴剤などの原料にもなります。冬至の”ゆず湯”も、風習として根づいていますよね。
そんな香酸柑橘類から、スーパーなどで見かける機会の多いゆず、すだち、かぼすの3種類について、違いやスーパーで買うときの選び方のポイントなどを紹介します。
ゆず、すだち、かぼすの3種類の違いは?
3つの違いは、まず大きさです。一般的な大きさで大きい方から順に、ゆず、かぼす、すだちです。3つともビタミンCなど含まれている栄養素には共通しているものも多いですが、クエン酸をもっとも多く含むため酸味が強いのがかぼすで、甘みと酸味のバランスがよいです。ゆずは特有の華やかな香りと風味が楽しめます。
すだちはクセのない酸味と強い香りで、松茸やさんまと相性抜群の柑橘と言えます。また、すだちは皮が薄く皮ごと食べることができます。
風味がよく、おいしい香酸柑橘類を選ぶポイント
香酸柑橘類を選ぶときは種類に関係なく、実にハリがあるものを選びましょう。鼻を近づけたときにしっかり香りがして、実がずっしりと重いものはよく育っている証です。鮮度はヘタの部分を見てチェックします。茶色くなっているものは時間が経っているので、避けた方がいいでしょう。
ゆずは熟した証である鮮やかな黄色のものを選びましょう。かぼすとすだちは熟すと黄色くなりますが、そうなる前の緑色のものがさわやかな酸味を感じられます。黄味がかっているかぼすとすだちは熟して酸味が落ちているので、酸味がまろやかになっているほうが好みであれば、こちらを選ぶとよいかもしれません。緑色のものを買って、自分の好みまで追熟させることもできます。