果物の中で、意外にもビタミンCなどの栄養が豊富に含まれている柿。秋を感じる食べ物として、食卓に並べるかたも多いかもしれません。そこで、柿をおいしく長持ちさせるための保存方法を、野菜ソムリエプロの福島玲子さんに教えてもらいました。さらに、柿の栄養価にまつわる豆知識も紹介します。
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追熟する柿は保存方法で食べごろを調整できる
品種によってかたさは変わりますが、柿は追熟するフルーツなので、時間が経つと甘くやわらかくなります。買ったときに触感がかたいなと思ったら、少し置いて、好みのかたさのときに食べることをおすすめします。
柿の保存方法によって追熟のスピードを調整できるので、食べたいタイミングに合わせて試してみてくださいね。
早く食べたいときは柿が発するエチレンガスで追熟を促す
柿は、涼しい時期なら常温の冷暗所でも、また、野菜室に入れて保存することもできます。ただし、柿が発するエチレンガスが他の野菜や果物に影響することがあるので、冷蔵庫にしまうときはビニール袋に入れましょう。
エチレンガスに“フタ”することで常温保存1か月も
柿を長く保存したいときは、水分を含ませたティッシュやキッチンペーパーをヘタのくぼみにつけて、ヘタ側を下にして置きましょう。
エチレンガスはへたのところから出るので、こうしてフタをすることで蒸散作用を弱めることができます。さらにラップでくるめば、よりエチレンガスの影響を受けにくくなり、長いと1か月ほど冷暗所で保存することができます。
ビタミンCをたっぷり摂るなら生柿を!渋柿と甘柿の違いは?
最後に、生柿と干し柿、渋柿と甘柿の栄養価の違いについて、豆知識をお教えします。
干し柿と生柿の大きな違いはビタミンCの量
きのこや魚などは、干すことで栄養価が高まると言われていますが、柿の場合は干すことによってビタミンCがかなり減ってしまいます。
ビタミンCは水溶性のビタミンなので洗うことで減少するうえに、酸化しやすいビタミンでもあるので、空気にさらされたり加熱したりすることでも減っていきます。100gあたりビタミンCが70mgある生柿ですが、干し柿100gになると2mgと大きな差があります。
β-カロテンやタンニンなど、ほかの栄養素は生柿と干し柿でそう大きく変化はありません。
渋柿と甘柿はタンニンの種類が違う
渋柿と甘柿の違いは、渋みをともなうタンニンによるものです。甘柿のタンニンは不溶性で、口の中に溶けださないので、渋みを感じにくいといいます。
一方、渋柿は水溶性のタンニンのため、口の中でタンニンが溶け出し、渋いと感じます。つまり、タンニンの違いが味の違いとなっているということ。栄養価はそれほど変わりません。
◆教えてくれたのは:野菜ソムリエプロ・福島玲子さん
ふくしま・れいこ。野菜ソムリエプロのほか、アスリートフードマイスター2級、ジュニア食育マイスター、食の検定1級、ベジフルカッティングスペシャリスト、エコクッキングナビゲーターなど多数の資格を持つ。現在は、“野菜や果物から健康に”との考えを大切に講演・セミナー講師、イベント・セミナー運営サポート、コラム、料理教室、レシピ開発や監修・ジュニアアスリートの栄養指導など、多岐にわたって活動している。https://ryufrei.com/
構成/イワイユウ