
豊かな香りと酸味が食事の味を引き立てる、ゆずやすだち、かぼすなどの香酸柑橘(こうさんかんきつ)類。旬を迎える秋には、鍋や焼き魚などに使っておいしくいただく人も多いのではないでしょうか。「食事をワンランクアップさせる香酸柑橘類を、ぜひ取り入れてみてほしい」と話す、野菜ソムリエプロの福島玲子さんに見極めのコツや保存の方法を教えてもらいました。
* * *
香酸柑橘類3種類の違いとおいしいものの見分け方
低カロリーでビタミンCやクエン酸が豊富な香酸柑橘類は、美容や健康面からも人気の食材です。ジャムやスイーツに加工したり、果汁を調味料やジュースにしたりする食用のほか、香りを楽しむアロマ素材として、化粧品や入浴剤などの原料にもなります。冬至の”ゆず湯”も、風習として根づいていますよね。

そんな香酸柑橘類から、スーパーなどで見かける機会の多いゆず、すだち、かぼすの3種類について、違いやスーパーで買うときの選び方のポイントなどを紹介します。
ゆず、すだち、かぼすの3種類の違いは?
3つの違いは、まず大きさです。一般的な大きさで大きい方から順に、ゆず、かぼす、すだちです。3つともビタミンCなど含まれている栄養素には共通しているものも多いですが、クエン酸をもっとも多く含むため酸味が強いのがかぼすで、甘みと酸味のバランスがよいです。ゆずは特有の華やかな香りと風味が楽しめます。

すだちはクセのない酸味と強い香りで、松茸やさんまと相性抜群の柑橘と言えます。また、すだちは皮が薄く皮ごと食べることができます。
風味がよく、おいしい香酸柑橘類を選ぶポイント
香酸柑橘類を選ぶときは種類に関係なく、実にハリがあるものを選びましょう。鼻を近づけたときにしっかり香りがして、実がずっしりと重いものはよく育っている証です。鮮度はヘタの部分を見てチェックします。茶色くなっているものは時間が経っているので、避けた方がいいでしょう。

ゆずは熟した証である鮮やかな黄色のものを選びましょう。かぼすとすだちは熟すと黄色くなりますが、そうなる前の緑色のものがさわやかな酸味を感じられます。黄味がかっているかぼすとすだちは熟して酸味が落ちているので、酸味がまろやかになっているほうが好みであれば、こちらを選ぶとよいかもしれません。緑色のものを買って、自分の好みまで追熟させることもできます。
香酸柑橘類の冷蔵&冷凍保存の方法
香酸柑橘類の保存は基本的に冷蔵がおすすめです。冷凍保存するときは、香りを逃さない剥き方のコツを実践してみてください。
保存は野菜室へ!冬場は室内でもOK
香酸柑橘類は種類を問わず、気温が高い時期は乾燥しないようにラップで包むか、ビニール袋に入れるかして野菜室で保存しましょう。気温の低い冬場なら室内に置いてもよいです。

時間が経つにつれて、香酸柑橘類はだんだんと香りがなくなるので、なるべく早く使うことをおすすめします。1~2週間ほどで使い切りましょう。
冷凍保存をするときは剥き方にコツ
香酸柑橘類を使い切れない場合は、冷凍保存もできます。ただし、冷凍だとどうしても風味が落ちてしまうことを念頭におきましょう。
冷凍するときはそのままではなく、皮を剥き、皮の部分と実の部分をわけて保存した方が使い勝手がいいです。なぜなら、皮だけ使いたいとき、実をそのまま冷凍すると皮が実と密着し、硬く剥きづらくなるからです。冷凍するときは、皮の組織がなるべくつぶれないよう、できるだけ幅を広めに取りながら縦方向に皮を剥きます。
皮は刻まずにラップでぴったりと包み、果肉は半分にカットしてラップで包みます。それぞれ、フリーザーバッグなどに入れて冷凍すればOKです。
なお、皮は白い部分が皮側にも残るように厚めにむくことで、香りが飛びづらくなります。

皮を使うときは、凍っているうちに苦みのある白い部分を削ってから、細かくカットしましょう。果肉は自然解凍してから、絞って使ったり、ジャムにしたりするといいですよ。
◆教えてくれたのは:野菜ソムリエプロ・福島玲子さん

ふくしま・れいこ。野菜ソムリエプロのほか、アスリートフードマイスター2級、ジュニア食育マイスター、食の検定1級、ベジフルカッティングスペシャリスト、エコクッキングナビゲーターなど多数の資格を持ち、日本野菜ソムリエ協会創立 20 周年記念事業『野菜ソムリエ名鑑 vol.1』に掲載されている。現在は、“野菜や果物から健康に”との考えを大切に講演・セミナー講師、イベント・セミナー運営サポート、コラム、料理教室、レシピ開発や監修・ジュニアアスリートの栄養指導・など、多岐にわたって活動中。https://ryufrei.com/
構成/イワイユウ