美容や健康面でも人気のある香酸柑橘(こうさんかんきつ)類。ふんわりとした芳醇な香りが好きな人も多いのではないでしょうか。野菜ソムリエプロの福島玲子さんによると、香酸柑橘類にはたくさんの栄養が含まれているそうです。ゆず、かぼす、すだちの3種類をピックアップして、栄養やおすすめのレシピを教えてもらいました。
* * *
健康にも美容にも効果的な香酸柑橘類の栄養
香りを薬味として楽しむ香酸柑橘類のゆず、かぼす、すだちは、食事に取り入れることで、さまざまな栄養素を摂ることができます。そこで、それぞれの特徴を解説します。
体にも心にもよい働きのあるビタミンCの多さが共通
ゆず、すだち、かぼすなどの香酸柑橘類は、風邪の予防や疲労の回復、肌荒れなどに効果のあるビタミンCをたくさん含んでいるのが特徴です。
免疫力をアップさせるビタミンCはウイルスに対抗する働きがあり、風邪や感染症の予防に役立ちます。さらに、ストレスをやわらげる副腎皮質ホルモンと、気持ちを落ち着かせるGABAなどの神経伝達物質の合成をサポートするので、リラックス効果も期待できます。さらにメラニン色素の沈着を防ぐ働きもあるので、シミやそばかすの予防につながり、美肌にも効果的です。ビタミンCは、果汁よりも皮に多く含まれています。
ほかにも、疲労回復効果やカルシウムの吸収を助け、骨を丈夫にする働きがあるクエン酸、食欲増進効果のあるリモネンが豊富なことも共通しています。
ゆずは免疫力アップにとくにおすすめ
寒い時期は体調を崩しがちですが、ゆずには免疫力を高め、風邪などの感染症を予防し、病気の回復を早める効果があるといわれています。果皮に含まれるヘスペリジンにはビタミンCの吸収を促進する働き、さらにβ-カロテンには粘膜を丈夫にして、免疫力をアップさせる働きがあります。
さらに、ゆずに豊富に含まれているペクチンは食物繊維の一種で、腸内でビフィズス菌や乳酸菌、腸球菌などの善玉菌のエサとなり、腸内環境を整える働きがあるので、便秘の解消に効果が期待できます。
すだち&かぼすに含まれる栄養素にもそれぞれ特徴あり
すだちの皮にはポリフェノールの一種であるスダチチンが含まれており、体重増加の抑制や、糖・脂質代謝改善などへの効果が期待されています。
かぼすはゆずとすだちよりも、さらに多くのクエン酸を含んでいます。また、血糖値の上昇を抑える働きがあるといわれるノビレチンの含有量も多いです。
日持ちする”万能調味料”「塩ゆず」レシピ
ゆずは、日持ちもし、万能な調味料としても使える「塩ゆず」にするのもおすすめです。
「塩ゆず」の作り方
《材料》
ゆず…3個 塩…ゆずの重量の30%
《作り方》
【1】ゆずはよく洗い、輪切りもしくはくし切りにして半分に切る。
【2】ゆずをボウルに入れて塩を合わせてよく揉みこむ。
【3】清潔な保存袋に入れて1週間程度漬け込んだらできあがり。長く保存するときは、冷蔵し、ときどきもみほぐす。2~3か月ほど保存することができます。
塩ゆずの活用レシピ
塩ゆずは、鍋のおとも、炒め物の風味付けのほか、お好みの分量で酢やオイルと混ぜてドレッシングにしてもおいしくいただけます。
とくにおすすめの調理法は、鶏もも肉の塩ゆずソテーです。塩ゆずを鶏もも肉にまぶしてから30分程度置き、適量の油で焼くだけで完成。鶏肉以外に、豚肉や魚でアレンジしてもおいしいです。
◆教えてくれたのは:野菜ソムリエプロ・福島玲子さん
ふくしま・れいこ。野菜ソムリエプロのほか、アスリートフードマイスター2級、ジュニア食育マイスター、食の検定1級、ベジフルカッティングスペシャリスト、エコクッキングナビゲーターなど多数の資格を持ち、日本野菜ソムリエ協会創立 20 周年記念事業『野菜ソムリエ名鑑 vol.1』に掲載されている。現在は、“野菜や果物から健康に”との考えを大切に講演・セミナー講師、イベント・セミナー運営サポート、コラム、料理教室、レシピ開発や監修・ジュニアアスリートの栄養指導・など、多岐にわたって活動中。https://ryufrei.com/
構成/イワイユウ