
昔ながらの湯たんぽに代わり、昨今では布団乾燥機で寝具を暖める人も増えてきています。家電ライターの田中真紀子さんも、「布団乾燥機は、今や一家に1台はほしい便利家電」と話します。改めて、布団乾燥機を買うメリットや選び方を、田中さんに教えてもらいました。
布団乾燥機なら布団がふっくら!冬の必須アイテム
「布団乾燥機はあるとかなり便利。特に冬場は、日照時間が短かったり、風が冷たかったりして、思うように布団がふっくら干せない場合がありますし、そもそも寒い日に外に干すのはつらいですよね。また布団にはいる前に、中を30分ほど温めておくと、はいった瞬間幸せな気持ちになれます。“布団干しは天日派”という人でも便利に使えるシーンが多いので、ぜひおすすめしたい家電のひとつです」(田中さん・以下同)

布団乾燥機には大別して、付属のマットを広げて使うタイプと、マットを使わずに布団を乾燥できるタイプの2種類があります。
マット式はしっかり乾燥したい人に、マットレス式は手軽に使いたい人に
「もともと主流だったのは、マット式。布団の中心から隅までムラなく熱が届くため、布団乾燥の効果をしっかり出したい人には、マット式がおすすめです。
ただし、マットを広げるのが面倒で、次第に使わなくなった人が増えたことから、今から10年ほど前に登場したマットレスタイプが爆発的にヒットした経緯があります。
例えば普段は天日干ししたいけれど、たまにガッツリ布団乾燥機で布団をケアしたい人はマット式を、多少はムラがあってもいいから、面倒なくこまめに使いたい人は、マットレスタイプを選ぶといいのではないでしょうか」
マットレスタイプに「ホースなし」の布団乾燥機も
マットレスタイプは近年さらに2つに大別され、ホースタイプ(1本または2本)とワイドな送風口を備えたタイプがあります。
もっとも主流なのはマットレスのホース式タイプ
現在もっともシェアが多いのは、マットレスのホース式タイプ。
「ホース式は、布団の中心にホースを差し込み、ノズルについたスタンドで布団を持ち上げ、できるだけ遠くまで温風が届くようセットして使います。ただし、吹き出し口が狭いため、機種によっては隅々まで行き届かない場合も。
一方ワイド送風口タイプは、送風口を布団の端に差し込むだけ。パワフルな温風を布団の中に送り込みます。パワフルなので、足元まで届きますが、そのぶん消費電力が高い傾向にあります」
いずれにしても、布団乾燥機はいちいちしまい込むと、使うのが面倒になるため、「出しっぱなしにしておいても気にならないデザインのもの」を選ぶといいそうです。
布団乾燥機を差し入れる場所は布団のどこから?
さて、布団乾燥機は、どのタイミングでどう使うと効率的なのでしょうか。
「布団乾燥は基本的に週1~2回使えばよいとされていますが、汗をかいたり、じめじめが気になるときは高頻度で使ってもOK。ただし布団の素材によっては、高温が苦手なものもあるので、あらかじめチェックを。家族で毎日順に使っていくのがいいかもしれません。
本体については、ホースタイプは横から入れ、左右に温風が広がるように使うと効率的。ホースが2本ある場合は、ノズルの先を『V』字型のように左右に広げて使うと、温風がまんべんなく行き渡ります。
一方ワイド送風口タイプは、顔まわりで汗で湿りやすい枕側から差し込みましょう。温風が真っすぐ広がるので、足元へと送るイメージでセットするといいと思います。電気代は製品によって異なるため、消費電力をチェックしましょう」
ホースが劣化して修理交換を迫られた場合、買い替えるほうが吉
なお、ホース仕様の布団乾燥機を愛用している人の中には、毎日のように使うとホースが劣化するため、毎年買い替えているという人もいます。
「確かにホースが裂けるトラブルは多いようですが、これは無意識に無理な方向に引っ張ったり、同じ方向に向けることが原因であることが多いです。ホースを交換するのもいいですが、本体価格に比べて修理価格が高く感じそう。家電の中でも、ヒーターを搭載した製品は故障が早いので、5年過ぎていたら買い替えを検討してもいいかもしれません」
以下は田中さんおすすめの、マットレスタイプとマット式、それぞれの布団乾燥機です。
【1】 象印マホービン『ふとん乾燥機「スマートドライ」RF-FA20』

2012年に、布団乾燥機から初めてマットとホースをなくし、布団乾燥機を使いやすく身近な存在にしたのが象印。
マットもホースもなし! 広げてすぐ使える布団乾燥機

「ホースを採用する製品が多い中、ホースなしの独自の方式を貫いています。布団の端に吹き出口を差し込むだけで使え、使い始めるまでもっとも手間がかからない布団乾燥機です」
乾燥性能もお墨付きです。

「ツインファンによるパワフルな温風がワイドな吹出口から吹き出し、枕元に置いておけば布団の足元付近までしっかり乾燥し、寝るときもスピーディーに暖めます。
さらに本体を立て、吹出口の向きを変えることで、床に置いた靴や、上に干した洗濯物の集中乾燥にも使えます」
【2】三菱電機『フトンクリニック AD-X80』

布団の隅々までしっかり乾燥させることができる、マット方式のモデル。
隅々までしっかり乾燥&ダニ対策したい人に

「敷布団の上に乾燥マットを広げ、その上に掛け布団をかけたうえで、布団乾燥機のホースをマットに差し込んでマット全体を暖めます。ダニ対策をする場合は、敷布団に乾燥マットを巻きつけ、その上に掛布団2枚をかけて、『ダニパンチ』コースを選択。布団乾燥以外にも使えて、例えば乾燥マットに衣類を挟み込めば、少量の洗濯物の乾燥も可能です」
【3】アイリスオーヤマ『ふとん乾燥機カラリエ インテリアタイプ KFK-501』

今主流の、ホースを採用した布団乾燥機。
置きっぱなしにしても違和感ない木目調のデザイン


「ホースを伸ばして布団の中心部分に入れ、立体ノズルを立てて布団の間に空間を作ることで、温風を効率よく布団全体に広げます。ホースが80cmと長いので、ベッドサイドに置いたまま、ホースだけ布団に差し込むことも可能。インテリア調のデザインなので、使いやすい場所に出しっぱなしにしても違和感がありません」
朝は、汗で湿った布団を乾燥させて、夜は寝る前に10分程度サッと暖める。雨の日や洗濯物が乾かないときは、スポット乾燥にも使える。まさに一家に1台、持っていて損はないですね。
◆教えてくれたのは:家電ライター・田中真紀子さん

白物家電や美容家電を中心に家電に詳しいライター。雑誌やウェブなど多数のメディアで、新製品などをレビューしている。https://makiko-beautifullife.com
取材・文/桜田容子
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