人生100年時代――その折り返し地点となる50代で、恋愛に身を燃やすことも特別ではなくなってきました。そんな中、2万人以上の女性の恋愛や結婚を取材する、恋愛コラムニストの夏目かをるさんは「50代の恋愛症候群が増えている」と言います。その理由とは? 夏目さんが40代、50代女性の恋愛の特徴である「ファンタジー症候群」について教えてくれました。
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40代後半から50代の女性たちの「恋愛症候群」が増加?
「50代の恋愛症候群が増えている」と感じるようになったのは、コロナ禍の3~4年前です。恋愛症候群とは、恋愛したいという願望が高ぶり、実際に婚活アプリで相手を探すなど行動を起こしている状態のことです。恋愛コラムニストの私に相談してくる40代後半以降がここ3~4年ぐらい前から増え続けています。その理由は「周囲のほとんどが既婚者、恋愛に興味のない独身者のため、相談する人がいない」というものが圧倒的に多いのです。
女性の友情が長続きするために重要なのは、「互いに共感する」こと。そのため相手が恋愛に興味がないとわかると、話題を避けるようになります。さらに不倫を毛嫌いする既婚者も少なくないため、独身女性たちは慎重に打ち明ける人を選んでいるのです。SNSでアラフィフ女性たちの恋愛に関する発信が目立つようになったのも、「知ってもらいたい」という願望の表れだと思います。
「50代女性の恋愛」というと既婚女性の不倫を想像し、50代の独身女性の恋愛は「ごく一部」と考える人が多いかもしれません。でも50代独身女性の恋愛は、ごく普通になってきています。藤吉久美子さんや原田知世さんといった、アラフィフ芸能人の恋愛や結婚が話題となり、「いくつになっても恋する女性は世代を超えて綺麗」とSNSで称賛され、それに続こうとする一般女性も増加しています。もはや「50代で恋愛!?」と驚愕する時代でもないのです。
人生のセカンドステージの問題とも絡んでいる?
さらにアラフィフ女性の恋愛は、60代以降の熟年世代を見据えた「人生のセカンドステージ」の問題と絡んでいます。
既婚女性の場合は、子育てが一段落した後の「やりがいのある人生」を求めて起業やボランティア、地域活動、さらに学びの場を増やすなど、次なる人生のステージを模索する時期に入ります。
一方、恋愛や結婚をあきらめていない独身女性たちは、次のステージへの準備期間中にパートナー探しを積極的に行い、パートナーとの愛のある生活を含めた終盤までの人生のプランを練っています。そのため40~50代をターゲットにした婚活市場が活気を帯びているのです。
また令和2年の結婚に対する国勢調査によると、女性は「30~34歳」までの間に結婚している「有配偶者」の割合が最初のピークを迎え、そのあとは40歳まで緩やかな上昇、40代以降はほぼ横ばいになり、その後上昇しながら「60~64歳」で再びピークとなることがわかります。50代で恋愛や婚活がある程度盛んになっているため、60代前半で一気に結婚が上昇していると予想されます。
50代女性の「恋愛症候群」の問題点は“ファンタジー症候群”
そんな中、今回注目したいのが、40代女性の恋愛の特徴である「ファンタジー症候群」。若い頃に男性からちやほやされたり、複数の男性に愛されたりなど恋愛の醍醐味を知っている女性が今の自分が置かれている現実を直視できず「輝いている私よ、もう一度」と過去回帰をしたまま理想の男性を追い求めてしまった結果、空振りの恋が続いてしまっていることを指します。
この40代女性のファンタジー症候群の延長線上に、50代の恋愛症候群があるといえます。そうしたことから、パートナー探しが困難になっているといえるでしょう。理想を捨てきれない彼女たちの恋愛の先に待ち受けている風景とはどんなものなのでしょうか。