「私たちは誰もが『疲れず、痛めず、力を発揮できる体』を持っています」——『図解でわかる! 古武術式 疲れない体の使い方』(三笠書房)の著書で理学療法士の岡田慎一郎さんはそう指摘します。岡田さんに、日常生活に役立つ「古武術式の体の使い方」について聞きました。
吊り戸棚、天袋にあるものを取る楽ワザ
「激しい動きは一切していないのに、腰が重くなったり、妙に疲れが取れなかったりと、地味に困り続けているという声はよく聞きます。腰に負担をかけないよう全身を連動させて動くには、腰のポジションをしっかりと決めて動くことが大切です」(岡田さん・以下同)
日常生活のちょっとした動作が、体の疲れや痛みに影響するのはよくあること。例えば、自宅の高いところにあるものを、腕を伸ばして取る時などです。
「高いところにあるつり戸棚や天袋にあるものを取る時、腕だけ伸ばそうとしてもうまく持てません。しかし、ワザを使えば、腕を5〜10cmは長く使うことができるようになります」
腕だけ伸ばさず、肩甲骨を使う
「普通に腕を伸ばすと、肩中心の動きとなり、腕の長さはそのままです。そこで、『肩甲骨を左右に』広げながら、『背中を後ろに』引くようなイメージで腕を伸ばすようにすると、肩甲骨が動いた分だけ、腕が伸びるのです」
肩甲骨がスライドする分だけ腕が長く使え、高いところにあるものを持つことができるようになるといいます。
靴の脱ぎ履きは「つま先の向き」がポイント
玄関などでの靴の脱ぎ履きをする際は、姿勢が悪いとよろけてつまずいたりしてケガの原因となることがあります。
「中腰で靴の脱ぎ履きをする際、つま先が前を向いた状態では、土台となる面積が狭いため、足元がぐらつきやすく、不安定です」と岡田さんも指摘します。では、どうすると楽に、安定させることができるのでしょうか。
両足の向きを「T字型」に
「前足のつま先をやや広げ、後ろ足はしっかりと広げ、外側に向けます。そのように足の向きをT字型で構えるようにすると、土台の面積が広がり、安定した体勢となります。前足の太ももの前側と内側の筋肉を使えることも有利です」
座り姿勢では「逆ハの字型」
玄関の上り口に座った状態ではどうでしょうか。
「座った場合には、足をT字型ではなく、逆ハの字型にしてみましょう。安定して構えることができます」
つま先の向きを変えるだけで靴の脱ぎ履きは大きく変わります。ぐらつく不安のある人はぜひ試してみてください。