
暮らしのプロが実際に使ってみて「これ買ってよかった!」と実感した便利グッズと、暮らしに役立つテクニックを教えてもらうこの企画。今回は、備え・防災アドバイザーとして活動する高荷智也さんが『踏み抜き防止インソール』について教えてくれました。
普段の靴やスリッパにセットして“足下の防災“に
高荷さんがおすすめするのは、モリトの『イズフィット踏み抜き防止インソール』(1320円・税込)。一般的な金属鋼板を使用している踏み抜き防止インソールと同じように、JIS規格の耐踏み抜き規定に準ずる値をクリアしたインソールです。高荷さんはこちらを普段履く靴にセットしているというのですが、なぜこちらがおすすめなのでしょうか。

「災害時には屋内・屋外共に足下に危険物がばらまかれます。割れたガラス、崩れたガレキ、ばらまかれる釘やネジや刃物、こうした危険物から足下を守ることがとても重要です。足を負傷すると移動に支障が生じ、避難が遅れると命にかかわる状況においては生死を左右する要素となります。
この『踏み抜き防止インソール』は、普段履いている靴に入れるだけで、ガラス・ガレキ・釘といった鋭利物を踏み抜かなくなる靴の下敷きです。いつもの靴やスリッパに入れるだけで、特に意識することなく“足下の防災”を常時実行することができます。JIS規格(JIS T 8101)により『耐踏抜き性能』が定められており、1100N(ニュートン)の力で釘を押しつけても貫通しない性能を持ちます。具体的には、体重112kgの人が釘の上に片足立ちしても問題の無い頑丈さです」(高荷さん・以下同)
金属鋼板を使わないから自分のサイズに合わせてカットできる
こちらのインソールには、特殊ポリエステル生地積層材「エル・プロテクション」を使用したフリーカットタイプ。一番小さくて男性用24cm~になりますが、カットできるので女性でも使いやすいといいます。
「防災効果を高めるためにも普段よく履いている靴に入れっぱなしにするのがおすすめです。この踏み抜き防止インソールは、軽くて柔軟性の高い特殊ポリエルテル生地積層材を使用しているので、自分の足や靴のサイズに合わせてカットできるのもメリットです」
クッション性はないため通常のインソールとの2枚重ねもOK
心地よさを売りにしたインソールではないので、普通のインソールとの2枚重ねもおすすめだそうです。

「私は、通勤で履いている革靴や、よく履くスニーカーなどに、このインソールを入れています。クッション性などはないため、このインソールの上に、普通の機能性インソールを重ねて二重にして使っていますが、特に問題は生じていません。靴を新調する際には、このインソールをお店に持参して、インソールを入れてから試し履きするとサイズ合わせがラクです」
初めての使用時には“重さ“を感じるが、慣れてくると違和感なし
高荷さんのこのインソールの使用歴は長く、その心強さから手放せないと言います。
「もう長いことこのインソールをあらゆる靴に入れていますが、特に違和感はありません。初めて使う際には多少重さを感じるかもしれませんが、3日もあれば慣れます。特に何もせずに足下の防災が完了している、というのは大変心強いことです」
夜のゲリラ豪雨など足下が見えづらい場面でも安心
高荷さんはこちらのインソールを使って実験をし、その丈夫さを確認したそうです。

「夜中のゲリラ豪雨で、足下が見えなくなった屋外を歩いたことがありますがこのインソールを入れた革靴を履いていたため、水中に何か危険なものが落ちていても大丈夫、という安心感がありました。
また実験という形で、インソールに大きな釘を打ち付けたことがありますが、思い切りガンガン打ち込んでも、わずかに穴が開きましたが完全な貫通はしませんでした。災害時に靴に釘をガンガン打ち込むというケースはないと思われますので、実際の利用では問題なく足を守ってくれそうです」
なお、災害後の復旧現場や、水害後の片付けなど危険度が高い場所で使用する場合は、別メーカーですが、「鉄板」タイプのインソールがおすすめ。高荷さんいわく「こちらは釘を思い切り打ち込んでも傷ひとつつきませんでした」とのことです。
◆教えてくれたのは:備え・防災アドバイザー・高荷智也さん

合同会社ソナエルワークス代表。「備え・防災は日本のライフスタイル」をテーマに「自分と家族が死なないための防災対策」のポイントをロジックで解説するフリーの専門家。難しく思われがちな防災を分かりやすく伝える活動に定評があり、講演・執筆・メディア出演も多数。防災YouTuberとして動画も配信中。著書に『今日から始める本気の食料備蓄』(徳間書店)など多数。https://sonaeru.jp