冬の寒さも、いよいよ本番です。「冷えは万病のもと」といわれ、便秘や肩こり、むくみ、肌荒れ、貧血、倦怠感、不眠など、さまざまな不調の原因となり、免疫力まで低下させるといいます。そこで、効率よく体を温める方法を、医学博士で健康科学アドバイザーの福田千晶さんに聞きました。
効率よく体を温めるポイントは「4つのクビ」
真っ先に冷えたと自覚する体の部位は、手や足の先ではないでしょうか? それには理由があります。
「体の中心部分の温度である深部体温は、生存活動のため内臓の働きを活発にさせる37度前後を保つ必要があります。ここが冷えてくると、体は生命維持に重要な脳や内臓を守ろうと、手足の血管を収縮させることで、体内の熱を逃がさないようにします。これが、手足から冷えていく原因です」(福田さん・以下同)
冷え対策として大切な部位は「4つのクビ」です。昔から言われている「首」「手首」「足首」に加えて、もうひとつは「くびれ」=お腹周りです。
「首、手首、足首は脂肪がつきにくく、皮膚の近くを血流の多い動脈が走っているため、外気の影響を受けやすいのです。特に首には頸動脈という大きな血管が通っているので、冷気にさらしていると、冷えた血液が脳に送られて大切な脳が冷えてしまいます。
逆にいえば、これらの首を温めると、全身を効率よく温めることができます。また、内臓が詰まったお腹周りを温めると、全身に温かい血液が流れやすくなり、胃腸などの臓器が活発に働きます」
無意識で行っている“寒さ対策”
寒くなると、私たちは熱を放出させないような行動を無意識的にとっています。
「体が冷えたと思ったら、まず首を縮めて、左右の手を胸の前でクロスして二の腕の後ろをこすりますね。さらに膝を曲げると、同時に足首も曲がります。こうすることで、熱が逃げやすい場所をカバーしているんです。誰にも教わらなくても、小さなお子さんでも無意識的に行っています。それだけ体は冷えから体を守ろうとしてるんです。そして、自ら意識してより効果的に体が冷えないようにする方法が、“4つのクビ”を意識して温めることなのです」
ストールは女性に必須の防寒アイテム
4つのクビを温めるには、自宅や野外、オフィスなどでできるさまざまな方法があります。
「防寒を優先するほど着ぶくれなどによりオシャレから遠のくため、女性はやせ我慢をして体を冷やしがちです。大切なのは、ハイネックの服やスカーフを上手に使って首を温めながら、おしゃれと防寒を両立させること。外出の時にはストールを1枚持っていると、首にも巻けるし、二の腕を覆うこともできます。膝の上にかければ膝の後ろまでくるめるので、防寒対策の強い味方になります。
就寝中は首に布団がかかりにくいので、ネックウォーマーで首が冷えないように工夫しましょう。手首や足首は、アームウォーマーやレッグウォーマーを活用するのもおすすめです。取り外しが簡単なので、鞄に入れておくと、オフィスや会食で冷えたなと思ったときに防寒できます。
お腹は腹巻をしたり、カイロで温めたりするのもいいですね。着ぶくれをしない程度に重ね着をする、肘まであるようなインナーを着る、コートやスカートは膝の後ろがしっかり隠れる長さのものを選ぶ、などの工夫をすると、ぐんと温かくなります」
根本的な冷え対策には運動も有効
体の熱産生の約6割は筋肉で行われているといわれています。筋肉が増えれば、「発熱器」を体に内蔵しているような状態になるので、根本的な冷え対策には運動も有効です。