
暮らしのプロが実際に使ってみて「これ買ってよかった!」と実感した便利グッズと、暮らしに役立つテクニックを教えてもらうこの企画。今回は、備え・防災アドバイザーとして活動する高荷智也さんがクッションとしても使える多機能寝袋について教えてくれました。
収納時には一般的なクッションと同じサイズになる寝袋
高荷さんがおすすめするのは、プロイデアの『SONAENO クッション型多機能寝袋』(1万2800円・税込)。クッションにすると45×45cm、寝袋にすると全長200×幅80cmになり、重さは約1.3kg。やや重ためではありますが、収納時はサイズ的には一般的なクッションと同じサイズです。
「災害発生時には避難所へ行けばなんとかなる、と思われている人もいるかもしれませんが、避難所の環境は決してよくはありません。学校や公民館などの避難所はホテルでも宿泊施設でもないので、床は硬く、夜は寒く、支給される可能性がある毛布1枚でどうにかなる場所ではないのです。そのため、衣食住は持参、特に『寝るための道具』が必要になります。
この寝袋は、普段はクッションとして自宅や車の中で使用し、広げれば寝袋として使用できるアイテムです。クッションサイズにすると45×45cmの市販のカバーにはいるので、デザインも好みに変えることができます。寝袋状態では幅80×長さ200cmのサイズになるため、老若男女を選ばずに使用することができます」(高荷さん・以下同)
普段は好みのカバーをして、非常時にはすぐ持ち出せる場所に
この寝袋がクッションとして使えることのメリットは、防災グッズなのに普段から目につく場所、わかりやすい場所に出しておけるということです。

「非常時にすぐ使ったり持ち出したりする防災グッズは、目立つところで保管をするのがいちばん。でももろに防災グッズというデザインの物は悪目立ちするため、見えない場所にしまいたくなります。その点、この寝袋はクッションになり、かつ好きなカバーをつけられるため、日頃から目につく場所に置いておくことができ、非常時やすぐ避難しなければならない時に素早く持ち出せるのが画期的です」
自宅や職場、車などに置いておくと備えとして安心
災害はいつ起こるかわからないもの。そこで、高荷さんは自宅だけではなく、職場にも置いてあるそうです。

「わが家は5人家族ですので、リビングに5つのクッション寝袋を転がしてあります。それぞれ自分が好きな柄のカバーをかけており、まさに“非常時の自分の寝床”を日頃から認識しつつ準備をしている状態です。普通の雑貨屋で売られているクッションカバーを掛けられるため、アレンジがしやすいのは利点です。
職場にもひとつ置いてありますが、泊まり込みになった場合は寝袋として何度も利用しています。車の中にも積んでおくのもよい対策になります。例えば雪の降りやすい地域に行く場合は、大雪による閉じ込めなどが生じた際には大いに活躍すると思います。また、広げればブランケットになるので、アウトドアにも便利です」
寝袋時、クッション性は低いのでコットやエアマットがあればより快適に
快適性については、実際に何度も使っている高荷さんはこう評価します。


「避難所で寝袋として使う機会はまだ訪れていませんが、部屋の中においてあっても違和感が皆無であるのがよいです。春~秋ならば寝袋単体で、冬場は寝袋の中に毛布を入れて使うことで、夜中でも暖かく眠ることができます。ただ、直接床の上に敷くと硬いため、できればコット(簡易ベッド)やエアマットなどと併用した方がより快適になります。
避難所ではたくさんの知らない人たちとともに過ごさなくてはならず、ひと目が気になり眠れない人も多くいます。こちらの寝袋は大きなフードが付いていて、顔を隠すことができます。また、貴重品を心配される人も多いですが、寝袋の内側にはポケットが付いているので、スマホや財布などの貴重品もしまえて便利です」
◆教えてくれたのは:備え・防災アドバイザー・高荷智也さん

合同会社ソナエルワークス代表。「備え・防災は日本のライフスタイル」をテーマに「自分と家族が死なないための防災対策」のポイントをロジックで解説するフリーの専門家。難しく思われがちな防災を分かりやすく伝える活動に定評があり、講演・執筆・メディア出演も多数。防災YouTuberとして動画も配信中。著書に『今日から始める本気の食料備蓄』(徳間書店)など多数。https://sonaeru.jp