
全身のコーデをバッチリ決めたはずなのに、コートを着た途端「アレ?」と思う経験をしたことがありませんか? そこで、冬のコーディネートに欠かせないコート、特に上品見えを狙えるウールコートの選び方のコツをパーソナルスタイリストの杉山律子さんに教えてもらいました。
コートは「丈の長さ」が重要。ロング丈が断然使いやすい!
ショップにはさまざまなデザインや丈のコートが並んでいて、どれを選んだら迷ってしまうものですが、杉山さんによると「コートは丈選びが重要」と話します。
「コートを着た途端に、全体のバランスがおかしく見えるのは、コートの丈に原因があります。一番多く見かける膝丈くらいのコートは、実はテーパードパンツのラインでないとバランスが悪いので、着回しの幅が狭くなってしまうんです」(杉山さん・以下同)
では、どんな丈がおすすめなのでしょうか。
「どんなボトムスとも相性がいいのは、ロング丈。膝とくるぶしの中間くらいの長さがベストです。スカートをはいた場合、コートの裾から見えるスカートの長さは10㎝以内がバランスよく見えるので、アウターは長いほど使いやすいといえます。スカートよりもコートの方が長ければ、前を留めて着てしまえば裾の差も気になりません。
ワイドパンツも同様で、コートの裾から見えるワイドパンツの面積は少ない方がバランスよく見えます」
形は首元がまっすぐに落ちたローブコートが万能
他のアイテムとは違って、コートはワンシーズンに何着も買うのではないので、できればどんな服にも合うデザインを選びたいもの。

「おすすめは襟がなく、首元がまっすぐに落ちたデザインのローブコートです。クルーネックのコートにVネックのインナーを合わせるなど首元の形状によってケンカしてしまうことがありますが、襟がなく首元がまっすぐに落ちたデザインのローブコートなら、どんな襟元のインナーとも相性がいいので安心して着こなせます。形はゆったりしたものを選べば、中に厚手のニットを着たときも着膨れしません」
ベーシックカラー1色のコートを選ぶのが正解
では、どんな色を選べば失敗しないのでしょうか。
「コートは、どんな服にも合わせやすいベーシックカラーを選びましょう。グレーやベージュなど中間色のトップスを多く持っている人は、黒やネイビーなど締め色のコートがおすすめです。黒っぽいボトムスが多い人は、グレーやベージュなど中間色でもいいでしょう。
また、リバーシブルのものなど複数の色を使っているコートは、コーデの難易度が上がります。チラリと見える色もコーデの色味としてプラスされてしまうので、その色のことも考えて全体のバランスを考えなくてはなりません。ですから、コートは1色のものを選ぶのがベストです」
大人女性はリーズナブルなコートを選んでもいいの?
コートを選ぶときに重要なのが価格ですが、リーズナブルなものがたくさん出回っているのでどんな価格帯のものを選んだらいいのか迷ってしまいます。
「素材は軽くて温かいウールがいいと思いますが、値段の違いは素材の違いとも言えます。同じウールでも良質なものはツヤ感があったり、柔らかくてゴワっと見えないなどの違いがあって、大人女性の肌もキレイに見せてくれると思います。
5年くらいは着ると考えれば、一概には言えませんが5万円くらいはかけてもいいでしょう。定番のデザインで上質なものを選んで、長く着ることをおすすめします」
日々のこまめなケアで長持ちさせる
最後にコートを長持ちさせるコツを教えてもらいました。
「コートはこまめに手入れをすることが大切です。着用したら洋服ブラシでほこりを取って、毛流れを整えましょう。それだけで毛玉ができにくくなります。シーズンの終わりにはクリーニングに出しますが、日々のケアをきちんと行うことでコートが長持ちします。ブラシはしまっておくと使わなくなってしまうので、目につきやすいところに置いて、コートを脱いだらすぐにお手入れできる環境を整えておきましょう」
冬のコーディネートに欠かせないコート。大人女性だからこそ上質なものを長く愛用しておしゃれを楽しみましょう。
◆教えてくれたのは:パーソナルスタイリスト・杉山律子さん

一般社団法人スタイリストマスター認定協会代表。映画や広告、音楽業界など幅広い分野でスタイリストとして活躍後、結婚・出産を経て、2016年よりパーソナルスタイリストとして活動開始。顔立ちや体型、内面からのぞく雰囲気に合わせた「一番、素敵に見えるスタイル」の提案に定評がある。著書に『手持ちの服でなんとかなります』(サンマーク出版)などがある。https://ameblo.jp/stylejiyugaoka719
取材・文/青山貴子