
乾燥は肌荒れや風邪の原因に。エアコンでさらに乾燥した部屋は加湿器でしっかり潤わせたいですね。ただ、もしこれから加湿器を買う場合、どの大きさのものを選んだらよいか悩む人もいるでしょう。6畳以下の寝室なら枕元に小型の加湿器を置くだけでいいのか、どうせ買うなら「大は小を兼ねる」でどの部屋にも使える中・大型を選ぶべきか。家電ライターの田中真紀子さんに、アドバイスをいただきました。
加湿方式によってメリット・デメリットが異なる
田中さんはまず、こう話します。
「加湿器は、加湿方式によって空中に放出される水分の種類が異なり、それによってメリット・デメリットが異なります。まずは加湿方式から違いを知っておく必要があります」(田中さん・以下同)
加湿方式は大きく分けて、超音波式、スチーム式、気化式、ハイブリッド式の4種類です。
超音波式:コンパクトで安価だが、加湿範囲が狭くこまめなお手入れが必須

「超音波式は、超音波振動によって水を細かく砕き、ミストにして空中に放出しています。構造がシンプルなため、コンパクトで価格が安いものが多く、手軽に取り入れられます。ただしその反面、水の粒が大きいため落ちやすく、広い範囲を加湿するのが苦手。またタンク内の水をそのまま空気中に広げるので、タンク内に雑菌が繁殖しないよう、こまめにお手入れする必要があります」
スチーム式:短時間で加湿できるが電気代がかかるなど難点も
「スチーム式は、電気ポットのようにお湯を沸かし、湯気を放出するタイプ。加湿量が多く、短時間で加湿できるほか、お湯を沸かすことで雑菌は除菌されます。その一方で、過加湿状態になりやすく、結露を起こす場合も。またお湯を沸かしているので電気代がかかり、本体や内部が熱くなるので取り扱いに注意が必要です」
気化式:自然に湿度を上げる。本体が大きくなりがち
「気化式は、フィルターに染み込ませた水に風を当て、気化させることによって加湿する方式です。フィルターを通過するので雑菌を空気中に飛ばしにくく、水の粒も非常に細かいため、自然に湿度を上げることができます。一方で、気化量を増やすためにはパワフルな風を当てるための大きなファンを搭載する必要があり、本体が大きくなりがちです」
ハイブリッド式:超音波式や気化式を必要に応じて切り替え、効率的に加湿

「ハイブリット式は、上記の超音波式や気化式に温風やお湯を利用することで、加湿効果を高めるもの。価格は少し高くなりますが、必要に応じて切り替えてくれるため、効率的に加湿することができます」
以上のように、一口に加湿器といっても、加湿方式によって加湿の質やデメリットは異なります。見た目や値段だけでなく、方式も確認しましょう。
ミニ加湿器と中・大型加湿器の使い分けは?
では、ミニ加湿器と、中・大型加湿器は、どの加湿方式を使っているのでしょうか?
「ここでいうミニ加湿器のほとんどは、超音波式を採用しています。水の粒子が大きく空気中を浮遊する時間が短いため、自分の周囲を加湿するのに向いています。一方で周囲を濡らしてしまう可能性もありますので、パソコンや家電など濡れたら困るものに直接ミストが当たらないようにしましょう。こまめなお手入れも忘れずに。
中・大型加湿器には、いずれの加湿方式タイプも用意されていますので、使いたい部屋をじゅうぶん加湿できるかどうか、適用畳数を確認しましょう。
傾向として超音波式は、リビングのように広い部屋に対応できるものは少なく、広くても6畳や8畳までの対応が多いです。それ以上の畳数の部屋に使いたいなら、気化式を選ぶことになります。水の粒子が細かく軽いので、空中を浮遊して広範囲を加湿できるからです。
大空間対応となると、ファンの音が大きくなる懸念もありますが、寝室で使いたい場合は静音モードを備えていると安心でしょう」
結論としては、就寝時や作業中などに自分の周囲だけを加湿するなら超音波式のミニ加湿器でじゅうぶんですが、8畳程度の部屋全体を加湿したいなら中・大型の超音波式か気化式。家族が集うリビングなど広い部屋で使うなら中・大型の気化式やハイブリッド式が適しているようです。ほか、価格やデザイン、アロマの香りを楽しみたいか、といった視点も含めて選ぶとよいでしょう。
最後に、田中さんが今季特におすすめのミニ加湿器と中型加湿器を挙げてもらいました。
【1】リズム『コンパクト加湿器 MIST Mini』

まずはミニ加湿器から。
直径9cmのコンパクトサイズながら約8時間の加湿が可能

「スタイリッシュで、本体サイズも高さ約20cm×幅9cm×奥行9cmと場所を取らないパーソナル超音波加湿器。外装・回路設計を最適化することで、シルクのように細かくやわらかいミストを生成します。コンパクトながら、最大約8時間加湿できるため、就寝中の使用にも便利です。水を取り込む流路内に抗菌剤を搭載。菌の繁殖も抑制してくれます」

寝室で使う際はベッド脇に置き、本体内部のアロマポケットにお気に入りのエッセンシャルオイルを垂らせば、お肌や喉を潤しながら心地よい眠りへと誘ってくれそうです。
【2】ダイニチ『ダイニチプラス LXタイプ』

次は、中型サイズのハイブリッド式を。ハイブリッド加湿器を20年前から作り続けてきたダイニチによる新製品です。
適用畳数は最大33畳!使い捨てカバー&フィルターでお手入れも激減

「LXタイプは気化式と温風気化式を湿度に応じて自動で切り替える『ハイブリッド式』を採用。目に見えないほど細かい水の粒子が空間を潤します。適用畳数は最大33畳(HD-LX1222・プレハブ洋室の場合)と大空間に対応するパワーを備えていながら、サイズは高さ約41cm×幅39cm×奥行約25cmとコンパクト。さらに静音性も実現し、静かな図書館での音の大きさが40dBなのに対し同製品の標準運転時は34dBです」
加湿器に必須のお手入れの手間を省くため、「使い捨て」を採用したことも大きな注目ポイントです。

「水を溜めるトレイは、使っているうちにぬめりが生じて雑菌やカビが発生しやすい場所。定期的なお手入れが必須ですが、本製品はトレイの内側に、6か月おきに取り替えるプラスチック製の使い捨てカバー(別売・3枚1650円(税込))を採用。また、気化フィルターも3か月おきに交換可能(別売・2個3300円税込)にしました。これによって、普段のお手入れは、給水タンクのほか、トレイの仕切り板を洗面所でサッと洗うだけに」

どちらも、インテリアになじむデザインでコンパクトサイズのため、部屋に取り入れやすいと好評です。乾燥に悩まされているかたは要チェックです。
◆教えてくれたのは:家電ライター・田中真紀子さん

白物家電や美容家電を中心に家電に詳しいライター。雑誌やウェブなど多数のメディアで、新製品などをレビューしている。https://makiko-beautifullife.com
取材・文/桜田容子
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