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65歳オバ記者が綴る「婦人科診察」 かつて医師から信じられない「ドクハラ」経験も

診察イメージ
信じられない診察体験とは…?(Ph/photoAC)
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昨年、入院と手術を経て境界悪性腫瘍であることがわかった、ライター歴30年を超えるベテランのオバ記者こと野原広子(65歳)。今後も婦人科に通い、経過を見ることになった。これまでも婦人科でさまざまな医師の診察を受けてきたというオバ記者だが、かつてとある婦人科で信じられないドクターハラスメント(ドクハラ)を受けたという。

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手術後、「経過観察10年」

昨秋、卵巣がんの疑いで、某大学病院で6時間の大手術をして、子宮と卵巣を全摘出した話は何度かここで書いたけれど、大手術するとその時だけでは終わらないのね。幸い、卵巣がんの疑いの“疑い“は晴れて境界悪性腫瘍という、良性腫瘍ではないけれど悪性腫瘍でもないという、なんともハンパな診断をいただいたけれど、それでも経過観察10年だって!

オバ記者
6時間もの手術を受けたオバ記者
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その間、ず~っと定期的に婦人科に通い続けなければならないって、気の遠くなるような話よ。

で、大学病院を退院してから3週間後の診察では、「異常ありません。今日からお風呂もスポーツもいいですよ」とお墨付きをいただき、次は3か月後。まだ先だね、なんて思っていたら、あっという間。実はその日が迫っているの。

オバ記者
自転車に乗れるまでに復活!
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思い起こせば大決心して区の婦人科検診を受けたのは昨年8月の暑い日のこと。お腹が異様にふくれてきて自分でも見過ごせなくなってきたのよ。そしたら右の卵巣が12cmに腫れていると診断されて、さあ、それからよね。婦人科の専門病院から大学病院を紹介されて検査に次ぐ検査。そうなるとこっちも「はい、はい、次は何の検査」と半ばヤケクソ。

男性の医師がいいか女医がいいか

「なんじゃこりゃあ~」と叫び出したくなる検査もあれば、「ちょろいぜ」と思ったのもあったけれど、過ぎてしまえばなんてことはない。婦人科の内診台だって屁のかっぱ、だったんだけどね。実は今、迫りくる次の3か月検診は気が重いんだよね。決して人様には見せない姿を医師の前にさらすのかと思うと、ため息が出ちゃう。

親しい女同士の鉄板話に「婦人科は男性の医師がいいか、女医がいいか」がある。まあ、聞くと人それぞれだよね。ある友だちは、「私は断然、男性医師がいい。しょせん男にはわからない器官だからという謙虚な気持ちがあるからか、冷静な判断をしてくれる気がするのよ」と言うの。

かと思えば、別の友達は「男の医師でもいいけど若くてハンサムな人はイヤ。かといってブ男ならいいというものでもなくて、男だけど男を感じない医師がいい」と、めんどうくさいことを言うんだわ。ふたりが女医がイヤなのは「意地悪だから」だって。それって担当した女医がたまたまそうだったというだけでしょ。

面倒くさそうにお腹にエコーを当てた医師は…

で、私はというと男も女もない。てか、40歳まではロクな婦人科の医師に当たらなかったの。30代初めのこと。当時、借金を押し付けられて別れた男からクラミジアをうつされたのよ。

クラミジアはよく名前の聞く性病だけど、とにかく発症するまでに時間がかかるらしくて、しばらく何の症状も出なかった。夜中に突然、とんでもなく下腹部が痛くなって近所の総合病院にかけこんだの。そのとき、私のお腹に面倒くさそうにエコーをあてながら同世代のスリムな女医が、信じられないことを口走ったのよ。

エコーのイメージ写真
エコーをあてながら女医に「性病! 性病!」と言われた(Ph/イメージマート)
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「あ~あ、こんなにぜい肉がついていると画像がハッキリしないんだよねぇ」と。あげく、「クラミジア。性病ですね。性病!」って。身の置き所がないくらい恥じている患者をさらに追い込んでどうするのよ。その病院には二度とかからなかった。

とはいえ忘れっぽい私。気を取り直して、次に住んだ東京都のとある区で、区の婦人科検診を受けたら、もっとひどい目にあったの。

老齢の医師が言った「あんた、未婚だろ」

区の検診を受ける前に、これまでかかった婦人科の病気を書く問診用紙を渡されたから正直にクラミジアと書いた。すると老齢のじいちゃん医師はちょっとしたやり取りのあとで内診をして、「あんた、未婚だろ。未婚なのにクラミジアになるのかね」と言い出したのよ。

ちょっとしたやり取りというのは、私が検診をうける診療所はここじゃないだろうと、老医師が言うから、私は「それは承知しているが、私の地域の診療所は今日は閉まっている。区役所に電話したらここを案内された」と説明。そのときの私の言い方が気に入らなかったみたい。

だからといって人の大事なところを診察した後で説教はないでしょうよ。「まさか区の検診で道徳の話をされるとは思わなかったわ」と言うと、「道徳も何も当たり前の話じゃないかっ」と老医師。

病院男性医師のイメージ
男性医師からは説教をうけたことも(Ph/photoAC)
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とっさに「クラミジアを私にうつしたのは婚約者でしたっ」と言い返したけれど、惨めさと腹立ちはおさまらない。翌日、区役所に電話して洗いざらい話したら、老医師に伝えてくれた。老医師は「感情的になって申し訳なかった」と謝罪したとか。老医師は翌年の区の婦人科検診の担当から降ろされていたっけ。

なーんてことも20年以上前のこと。今回は迷わず「女医希望」にしたわよ。そしてそれは大正解でドクハラなんて1mmも感じなかったし、どんなことでも明快に答えてくれたE医師に対する信頼感といったらない。

だからE医師には会いたいのよ。でも次の検診が楽しみかといったら激しく首を振っちゃう。あの宇宙船の中で姿勢の診察は、やっぱりヤなんだよ。

◆ライター・オバ記者(野原広子)

オバ記者イラスト
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1957年生まれ、茨城県出身。体当たり取材が人気のライター。これまで、さまざまなダイエット企画にチャレンジしたほか、富士登山、AKB48なりきりや、『キングオブコント』に出場したことも。バラエティー番組『人生が変わる1分間の深イイ話』(日本テレビ系)に出演したこともある。昨年10月、自らのダイエット経験について綴った『まんがでもわかる人生ダイエット図鑑 で、やせたの?』を出版。

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