たばこからもギャンブルからも足を洗ったが…
ギャンブルは勝てばうれしい、負ければ悔しい、なんてやっているうちはまだまだ序の口でね。ズブズブとハマるにつれて、負けて負けて真っ逆さまに落ちる、もうダメ。明日からどうやって生きていくのと追い込まれていくと、「私、生きてるわ~」だって。ギャンブル依存症の怖さは自分の力ではこの魔窟(まくつ)から抜け出せないことよ。正直、これを人に話せる日が来るとは思わなかったもんね。
私がすっかり麻雀から足を洗ったのは52歳のとき。『チャンピックス』という禁煙補助薬をのんだら、たばこを吸えなくなり、そうしたらギャンブル熱もすっかり冷めちゃった。あんまり劇的に興味を失ったからかえって体に悪いんじゃないかと心配したくらいよ。
でもそうなるまでの20年間は睡眠時間、無茶苦茶。食生活はでたらめ。加えて運動不足、資金不足。健康とは無関係の生活をしていたわけよね。
思い出す「若いうちはいいわよ。年をとったら出るわよ」
あれは私が健康そのものだった20歳の冬のまっ最中のこと。私が素肌にブラジャーだけでセーターを着ていることを知った50過ぎた職場のおばさんが、つつつと寄ってきて、「あなた、まだ若いからいいけどそんなかっこうをしていたら年をとったら出るわよ。ちゃんと下着をつけて冷えないようにしなさい」と真剣に忠告してきたの。
「そうしまーす」と口では言ったものの、おばさんの話なんか聞けるもんじゃない。20代後半まで下着はスキーに行くときくらいしかつけなかったんじゃないかしら。
「若いうちはいいわよ。年をとったら出るわよ」
その言葉はときどき思い出したけれど、何せ「年をとったら」の言葉に実感がない。私は体に負荷をかけ続けた。そうしたらどうなったか。
昨年秋、境界悪性腫瘍のほうは手術をしてスパッと卵巣を切り離して、その後は順調に回復していたはずだったのに、年末年始にコロナにかかり、そのぶり返しがやっと抜けたあたりで、今度は心臓の調子が思うようじゃないんだよね。なにせ心房細動の持病がある。胸の中に小動物を飼っているみたいなんだよね。
「なんか出るよね」
その“なんか”の正体を、今度は病院でハッキリさせないと。あ~あ。
◆ライター・オバ記者(野原広子)
1957年生まれ、茨城県出身。体当たり取材が人気のライター。これまで、さまざまなダイエット企画にチャレンジしたほか、富士登山、AKB48なりきりや、『キングオブコント』に出場したことも。バラエティー番組『人生が変わる1分間の深イイ話』(日本テレビ系)に出演したこともある。昨年10月、自らのダイエット経験について綴った『まんがでもわかる人生ダイエット図鑑 で、やせたの?』を出版。
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