健康・医療

50代が太りやすく、やせにくいのはなぜか? 「栄養素」「食べ方」の問題を管理栄養士が解説

やせないのは「食物繊維不足」も

そうした栄養素の一つに、「食物繊維」も含まれます。

「ダイエットをしてもやせにくい人は、食物繊維が足りないのかもしれません。50代以降は、腸内細菌のバランスが崩れ、腸内環境が乱れてくる年頃です、しっかり食物繊維をとって腸を元気にし、短鎖脂肪酸ができるだけ減らないように心がけ、適正な体脂肪率をキープしましょう」

腸内細菌によって作られる短鎖脂肪酸には、胃腸の動きをゆるやかにする働きがあります。短鎖脂肪酸が体内に十分にあると、食事をしたときに食べ物がゆっくり胃腸を通過していくため、満腹感を得やすくなって、自然と食事の量が減ると考えられているそうです。

太る人に多い「食べ方」とは

クリニック勤務当時に4500人近くの患者の栄養指導を行った森さんは、それらの経験から「太っている人は食事の食べ方にある共通点がある」とわかってきたそうです。どんな共通点でしょうか。

食事のときに食べる順番が大事(Ph/photoAC)
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とにかく「ごはん」が好き

「太っている人のほとんどが、(食事を)炭水化物から食べているのです。その際には味の濃いおかずや“ごはんのお供”が欠かせず、さらにひと口の量が多いので、お茶碗のごはんがすぐになくなります。

おかずを食べ終わる前にごはんをお代わりし、最後に野菜を食べるが、残してしまいます。こうした食べ方を、後先考えずに無意識のうちに続けているのです」

和食や洋食、中華を問わず、どんなメニューでも、自分の食欲を満たすために自由奔放な食事を続けていたら、やがて太るのは当たり前かもしれません。

「おかずから先に」が食べやせの基本

基礎代謝が落ちて誰しもが太りやすくなる50代以降は、「食べ方」に注意が必要です。

おかずから先に食べる(Ph/photoAC)
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「お腹がすいていると、つい炭水化物から手を付けがちですが、空腹時に炭水化物を食べると、血糖値が急激に上がるため太りやすくなり、糖尿病や動脈硬化の原因になります。まずは、野菜か肉・魚などのおかずから先に食べる習慣をつけていきましょう」

これが、バランスのとれた食事を上手にとって体脂肪を落としていく「食べやせ」の基本なのです。

◆教えてくれたのは:管理栄養士、日本抗加齢医学会指導士・森由香子さん

管理栄養士、日本抗加齢医学会指導士の森由香子さん
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東京農業大学卒業、大妻女子大学大学院修士課程修了。医療機関での栄養指導、食事記録の栄養分析、ダイエット指導、フレンチの三國清三シェフとともに病院食や院内レストラン「ミクニマンスール」のメニュー開発、料理本の制作などを経験。抗加齢医学会指導士の立場からは〈食事からのアンチエイジング〉を提唱し、独自の食事法の普及に努めている。著書多数。2023年1月、『一生、元気でいたければ 50歳からは「食べやせ」をはじめなさい』(青春出版社)を出版。https://moriyukako.com/

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