
3月になり、NHKの朝ドラ、連続テレビ小説『舞い上がれ!』も佳境を迎え、次の作品が気になる頃です。2023年春からは、高知県出身の植物分類学者、牧野富太郎博士をモデルとした神木隆之介さん主演の『らんまん』がスタート。そこで今回は、旅行ジャーナリストの村田和子さんが、牧野博士が生まれ育ったゆかりの地・高知を訪ね、とっておきのスポットを紹介します。
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まもなくスタートする2023年前期の連続テレビ小説『らんまん』。モデルは、世界的な植物分類学者の牧野富太郎博士。高知県出身の知人に聞いたところ「高知県で知らない人はいない」と言い、“日本の植物分類学の父”として知られる偉人です。

今回は牧野博士が生まれ育った高知県を舞台に、ゆかりの地、足を延ばしたいスポットを紹介。植物が好きなかたはもちろん、牧野博士の植物図は、学術的にも評価が高いのですが、アートとしても見ごたえ十分。アート好きなかたも必見です。

【1】高知駅から30分!時間をかけてゆっくり見学「高知県立牧野植物園」
「高知県立牧野植物園」は、JR高知駅南口から、MY遊バスで約30分。生前、牧野博士が、「植物園を造るのなら五台山がええ」と言われたのをうけ、標高140mの五台山に1958年に開園した四国で唯一の植物園です。広さ約8ヘクタールの園内では、博士ゆかりの野生植物など3000種類以上が育てられ、牧野富太郎記念館、図書館、温室、レストランなどが点在します。
エントランス、そして土佐の植物生態園を抜けると、特徴的な建物が現れます。


建築家の内藤廣氏設計の「牧野富太郎記念館」は、「サスティナビリティ」がテーマ。本館にはショップや図書館、展示館には、牧野氏の生涯を紹介する展示や4Kシアターなどもあります。


南園は起伏を生かした庭が広がり、牧野富太郎博士の像もあります。


温室は物語の中に迷い込んだかのような幻想的な空間に珍しい植物もあり、見ごたえがあります。園内は常に花が咲いていますが、3月はさくら、4月になるとツツジが見ごろを迎えます。ホームページには見ごろを迎えた花や植わっている場所の案内があるので、参考にされるといいですね。しっかり時間をかけて牧野博士が「ここがええ」といわれた周辺の環境とともに、味わいたいスポットです。

■高知県立牧野植物園 https://www.makino.or.jp/
■牧野日本植物図鑑(デジタルで閲覧できます) https://www.makino.or.jp/fixed/?page_key=dr_makino-book
【2】牧野氏の生家跡には資料館も。酒蔵見学や散策が楽しい「佐川町」
牧野博士は、高知の佐川町の生まれ。酒造業を営む裕福な商家「岸屋」に生を受け、生家跡には「牧野富太郎ふるさと館」があり、牧野博士ゆかりの品々を展示しています(入館無料)。

佐川町は酒蔵も多く、上町エリアにある「酒蔵の道」は、白壁の酒蔵が続き風情ある街歩きが楽しめます。「仁淀ブルー」で知られる造り酒屋「司牡丹酒造」も、佐川町にある酒蔵の一つ。
江戸時代中期から酒造業を営んでいた浜口家は、「旧浜口家住宅」としてリノベーションされ、カフェや土産物の販売もあり休憩にぴったりです。

牧野公園は、牧野博士が最も好きだったという「バイカオウレン」の群生地があるほか、四季折々の花を見ることができ、ガイドウォークもあります。

急こう配のところも多いので、歩きやすい靴と体力に合ったコースの選択をおすすめします。

■さかわのしおり(観光協会)HP https://sakawa-kankou.jp/
【3】高知で乗りたい観光列車「志国土佐 時代(トキ)の夜明けのものがたり」
紹介した高知―佐川間は、JR土讃線が運行しており所要は1時間ほど。週末なら観光列車「志国土佐 時代(トキ)の夜明けのものがたり」が、高知駅と佐川駅の先、窪川駅まで運行しています。(※運転日・ルートはホームページで確認)
各地の観光列車に乗っていますが、車内に足を踏み入れた瞬間、「すごい」と思わず声を上げたほど、驚きのあるユニークな観光列車です。

「志国土佐 時代(トキ)の夜明けのものがたり」は2両編成。「クロフネ」は、幕末の歴史の象徴であり、仲間達と新たな時代への「志」を語りながら大海をゆく蒸気船がデザインモチーフ。

一方「ソラフネ」は、龍馬たちが水平の向こうに夢見た新しい時代の夜明けに着想を得たといい、明るいブルーに白が基調の内装は、異次元のような不思議な空間。

列車のネーミングから、勝手に重厚なイメージを持っていたのですが、JR四国の観光列車の中でも、特にソラフネの車両は柔らかい印象で女性好みです。
食事も、高知からの下り列車では、「土佐の食材を使用した創作料理 ~皿鉢(さわち)風~」が、上り列車では「高知家満喫“土佐流のおもてなし”コース」がいただけます(いずれも要予約:5000円)。


■JR四国 観光列車「志国土佐 時代(トキ)の夜明けのものがたり https://www.jr-shikoku.co.jp/yoakenomonogatari/index.html
佐川町とともに、沿線でぜひ観光したいのが、カツオの一本釣りでしられる港町「久札」。土佐久礼駅で下車したら、昭和レトロな看板など懐かしさがあふれる街を感じつつ、ぜひ活気ある久札大正町市場へ。


お土産を買ったり、おなかに余裕があれば、「かつおのタタキ」を食するのもいいですよ。新鮮な「かつおのタタキ」は絶品で、高知県内からもわざわざ足を運ぶ人が多いといいます。
■久札大正町市場 http://xn--3iqz5v2uac6ljot32netg.com/
いかがでしたか?連続テレビ小説の舞台は、放映が始まると混雑する傾向があるので、一足お先に、この春が狙い目です。
◆教えてくれたのは:旅行ジャーナリスト・村田和子さん

旅行ジャーナリスト。「旅を通じて人・地域・社会が元気になる」をモットーに、旅の魅力を媒体で発信。宿のアドバイザー・講演なども行う。子どもと47都道府県を踏破した経験から「旅育メソッド(R)」を提唱、著書に「旅育BOOK~家族旅行で子どもの心と脳がぐんぐん育つ(日本実業出版社・2018)」。現在は50歳を迎え、子どもも大学生となり、人生100年時代を楽しむ旅を研究中。資格に総合旅行業務取扱管理者、1級販売士、クルーズアドバイザーなど。2016年より7年間、NHKラジオ『Nらじ』月一レギュラーを
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