「かんで」セロトニン神経を元気に
セロトニン神経が活動するのは、起きているとき。太陽の光でさらに活発化すると知られていますが、他にもこんな活動によりセロトニンが元気になるそうです。
「リズム運動」が大切
「“幸せホルモン”であるセロトニン神経を増やし活性化させるためには、呼吸・ウォーキング(歩行)・自転車こぎ・水泳、そしてかむこと(咀嚼)などのリズム運動が大切です。
リズム運動は対(つい)になる運動で、呼吸では『吸う』と『吐く』、ウォーキングでは『右足を出す』と『左足を出す』の対。かむことも、口を『開ける』と『閉める』というリズム運動(厳密にはあごを「持ち上げる」と「緩める」)なのです」
セロトニン神経が活性化する呼吸・歩行・咀嚼は、原始の頃から人間が生きるために続けてきた古くからの営みそのもの。「コロナ禍で定着した部屋から出ないリモート生活は、それを大きく変えている可能性がある」と生澤さんは警鐘を鳴らします。
ガムを20分かむだけで効果あり
そうした生活のなかでも、セロトニン神経を活性化させる方法があるといいます。
「セロトニン神経はガムをかむことでも活性化されます。研究では、ガムをかむと脳にある前頭前野の特定の場所の脳血流が増えることが視覚的に示され、血液のセロトニン量も増えていたことから、セロトニン神経が活発になっていることが推測されました。
また、心理テストでは緊張・不安・抑うつなどのネガティブな気分が改善されました。
リズム運動でセロトニンの神経の活発化が始まるのは開始から5分後。その後、活動レベルが上がって20〜30分でピークとなり、効果は2時間ほど続きます。
コロナ禍で続いた在宅生活や、よくかまない食事はセロトニンの元気がなくなる生活。『ガムを20分かむ』という簡単なアクションを日常生活にプラスすると、お手軽に有意義な効果が得られるので、ぜひ実践してほしいと思います」
歯の健康を考え、ガムはキシリトールなどのノンシュガーにすることが大事です。
◆教えてくれたのは:歯科医師、歯学博士・生澤右子さん
株式会社Dental Defense 代表取締役、明海大学歯学部客員講師、日本歯科麻酔学会認定医、日本口臭学会・米国歯内療法学会所属。こどもはいしゃアカデミー主宰。東京医科歯科大学歯学部・同大学院博士課程卒業。ペンシルバニア大学歯学部マイクロサージェリーコース修了。フリーランス歯科医として複数のクリニックで診療を行う。講座、セミナー、商品開発などを通じて世界標準のオーラルケアを発信。2023年2月、『歯と口を整えるアンチエイジング』(ビジネス社)を出版。