
3Gサービスを利用した携帯電話、いわゆる「ガラケー」がもうすぐ使えなくなります。自分はスマホを使っていても、例えば親がガラケーを使っているという人もいるでしょう。そこで、ガラケーを使う年老いた親がスマホに機種変更する際に気をつけたいポイントを節約アドバイザー・ファイナンシャルプランナーの丸山晴美さんに教えてもらいました。
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親御さん用スマホの選び方
3G回線サービスについて、auは2022年3月31日、ソフトバンクは2024年1月下旬、NTTドコモは2026年3月31日にそれぞれ電波供給の停止を予定しています。auユーザーの人はすでに乗り換えを終えていると思いますが、ソフトバンクユーザーは早めに、ドコモユーザーはそろそろ4G回線、5G回線への乗り換えを検討しましょう。
有人窓口のある大手キャリアが安心
ahamoやpovo2.0といった新料金プラン、UQmobile、Y!mobileといったサブブランド、IIJmio、OCNモバイルONE、mineoといった格安SIMなども選択肢に入る昨今ですが、現在ガラケーを使っている人は大手キャリアのままでの乗り換えがおすすめです。

格安プランは設備費用や人件費、店舗費用などを削減して通信費に還元しているため、有人店舗窓口が限られている場合や、問い合わせ対応がコールセンターやオンライン限定というものが多いです。シニアやスマホを使い慣れていない人は、ドコモショップなどの有人窓口がある大手キャリアを選ぶのが何かと相談できて安心です。
スマホの取り扱いに慣れている人やインターネットの情報や事象を正しく理解し、それを適切に判断、運用できる能力のあるネットリテラシーの高い人が同居していたり、近所にいたりする場合は問題ありませんが、スマホの扱いになれていない親御さんだけでは問題が解決しない可能性もあります。行き来するのが大変な距離に住んでいると、何かあるたびに会いに行くというわけにもいかないと思います。

契約はなるべく内容などを理解できる人が一緒に
また、シニアがスマホを契約するときにはできるだけ、ご家族など身内で契約が理解でき、スマホに対しての理解がある人が同行してください。場合によっては不要なオプションやタブレットの契約、提携の電力会社への乗り換え、クレジットカードの入会、ウォーターサーバーの申し込みなどをすすめられる場合もあります。判断ができ、ノーと言える人が一緒に行くことで、不要な契約をせずに済みます。帰省するタイミングなどに一緒に行って契約を済ませるのも一つの手ですね。
もしどうしても親御さんひとりで行かなければいけない場合、納得いくまで話を聞いても判断がつかないときは「これは強制ですか?」などと確認するように事前に伝えておきましょう。強制でなければ断るのがベターです。実家の親がスマホを買ったら不要なサービスがたくさん付属していたことを後に知った、というようなトラブルを防ぐためにも、これは覚えておくことをおすすめします。
家族と同じ機種にする

また、契約の際はすでに使っている人が身近にいるキャリアやOSを選ぶと良いでしょう。スマホのOSはAppleが供給する「iOS」と、Googleが開発した「Android OS」がメインです。OSが異なると操作方法も大きく変わってきますし、逆に同じ機種であれば操作も同じなので困ったときに教えやすくなります。
ガラケーと同じ操作性の進化型ケータイ(ガラホ)も選択肢に
スマホに切り替えるのに抵抗があるという人におすすめなのは進化型ケータイ(https://k-tai.sharp.co.jp/support/changeguide/guide5/p01.html)と言われる「ガラホ」(au)「spモードケータイ」(docomo)「進化したガラケー」(ソフトバンク)。「ガラケー」と「スマホ」を合わせた造語の「ガラホ」は、スマホと同じ回線で使うことができるガラケータイプの携帯です。

高齢者向けには「らくらくホン」など機能制限があることでより簡単に扱えるスマホもありますが、ガラホの機能はほぼガラケーと同じなので、今までガラケーを使っていた人には抵抗がないでしょう。
ただし「家族とLINEでやりとりがしたい」など、使いたいアプリがある場合はガラホでは対応していない場合もあります。ドコモショップやソフトバンクショップなど、大手キャリアショップではスマホ教室なども実施しているので、スマホに切り替えることを検討してもいいでしょう。
60歳、65歳以上は自治体の補助金制度をチェックして
各自治体では、マイナンバーの普及や高齢者の活用促進等を目的として、スマホの購入に対する補助金の支給が進んでいます。条件は自治体によって変わってきますが、60歳、65歳以上は対象になっていることが多いので、お住まいの自治体の制度を調べてみてください。
また、新年度の始まりはスマホ買い替えキャンペーンなどが各社で実施されることが多いタイミングでもあるので、買い替えにベストなタイミングを逃さないようにしましょう。
◆教えてくれたのは:節約アドバイザー・丸山晴美さん

節約アドバイザー。ファイナンシャルプランナー。22歳で節約に目覚め、1年間で200万円を貯めた経験がメディアに取り上げられ、その後コンビニの店長などを経て、2001年に節約アドバイザーとして独立。ファイナンシャルプランナー(AFP)、消費生活アドバイザー、宅地建物主任士(登録)、認定心理士などの様々な資格を持ち、ライフプランを見据えたお金の管理運用のアドバイスなどをテレビやラジオ、雑誌、講演などで行っている。https://www.maruyama-harumi.com/
構成/吉田可奈