気温も上がりウォーキングも楽しい季節になりました。ですが、長時間履いて蒸れてしまった靴や、突然の雨で濡れた靴をそのまま玄関に置いておくと、雑菌の繁殖や悪臭のもとに…。そこでおすすめなのが、靴専用の脱臭、除菌機器。また、濡れた靴を乾かす靴専用の乾燥機もあります。それぞれ、どう使い分けたらよいか、家電ライターの田中真紀子さんに教えてもらいました。
濡れた靴を放置するとカビ、輪ジミ、型崩れ、ひび割れのリスクも
突然の雨で濡れてしまった靴。お手入れをしないままだと、「悪臭のもとになる」と、田中さんは警告します。
「ただでさえ靴の中は、足から出る汗と体温によって菌が繁殖しやすい環境。そこに足の皮膚にいる菌が付着して繁殖すると、悪臭の原因物質を発生させます。代表的なのは『イソ吉草酸』と呼ばれるニオイで、ツンとするニオイが特徴。
このニオイの原因物質が、靴にも付着しているため、濡れた靴を放置していると、一気に増殖してしまうのです。環境によってはカビが生えてしまうこともありますが、これは空気中に浮遊するカビ菌が高温多湿化で繁殖してしまうもの。これから暖かくなる季節、特に雨の日は要注意です」(田中さん・以下同)
濡れた靴を放置すると、衛生面だけでなく、靴そのものの外見も損なわれる恐れがあるそう。
「雨に濡れた部分が輪ジミになって落ちなくなったり、革靴の場合は、型崩れを起こしたり、硬くなってヒビ割れてしまったりする可能性も。靴はできるだけ濡らさないようにし、万一濡れてしまったら早めに乾かしてお手入れする必要があります」
濡れた靴には布団乾燥機などの靴専用ノズルのほか、靴専用の乾燥機を
では、濡れた靴はどう乾かすのがよいのでしょうか? まず自然乾燥は、乾くまで時間がかかり、その間に菌を増殖していることになるのでNG。そうなると、手持ちの布団乾燥機などで手早く乾かしたいところですが…。
革靴に高温の風を当てると傷む原因に
「布団乾燥機に、靴専用のノズルなど、靴に特化した乾燥機能がついていれば、もちろんそれを使用してもOK。ただし、それはあくまで付加機能ですし、布団乾燥機をわざわざ玄関に持って行くのはやや面倒に感じる人もいるでしょう。
その点、靴乾燥機は、靴乾燥に特化しているからこその使いやすさもあります。たとえば、靴をそのまま履かせるようにひっかけるだけでセットできたり、ホースが2本あり、それぞれ足先まで突っ込めるようになっていたり。さらに熱に弱い革靴のための専用モードを備えている場合もあります。ちなみに私が調べたところ、なめした革製品は、濡れると熱に弱くなり、60℃から100℃で変質してしまう場合もあるそうですので、注意が必要です」
汗で蒸れた靴には除菌脱臭機を
一方、濡れてはいないものの、1日履いて汗で蒸れてしまった靴もお手入れは必要だと言います。そのニーズに応えるのが、靴専用の除菌脱臭機です。
「私の知る限り、靴の除菌脱臭機自体は5年以上前からあり、徐々に注目されてきています。
除菌脱臭方法はさまざまで、たとえば紫外線(UV)やオゾン、光触媒を使用したものがあります。また、メーカー独自のイオンであるパナソニックのナノイーやシャープのプラズマクラスター自体は、菌の抑制や脱臭効果があるとされており、空気清浄機やエアコンなどさまざまな製品に取り入れられています。その中で、靴の脱臭にも着目した製品が出ています」
このように、靴の乾燥機と除菌や脱臭を行う機器は、それぞれ作用が異なるため、1台2役というわけにはいかないようです。
「靴乾燥機はその名のとおり、主に靴を乾燥させることを目的としています。そのため雨でしっとり濡れてしまっただけでなく、洗ったスニーカーや上履きを短時間で乾かすこともできます。ですので、お子さんがいるご家庭などに便利に使えると思います。もちろん濡れたらすぐに乾かすことは、雑菌を繁殖させないためにも重要です。
一方の除菌脱臭機は、温風を使わず、前述のような紫外線やオゾン、光触媒、イオンを利用して除菌脱臭します。菌にアプローチするのが主目的ですので、帰宅後に1日履いた靴をセットしておけば、ニオイや菌を抑えて翌日スッキリした状態の靴が履けます。こちらは温風ではないので、濡れた靴を乾燥することはできませんが、送風タイプなら蒸れた靴の対策は可能です。
なお靴乾燥機の中には、オゾンで消臭するものもありますが、多くはありません」
濡れた靴はしっかり乾燥させたうえで、除菌や脱臭、蒸れを軽減するケア製品は別に用意したほうが長持ちするようです。
田中さんに、今注目の靴ケア家電を3種、教えていただきました。いずれも脱臭機能があり、製品によっては靴蒸れを軽減する送風機能、濡れた靴を乾燥できる機能があります。