ソウルミセスは「エヌブネイル」にどう対応?
この「エヌブネイル」、10~20代の間ではかなり浸透しているようなのですが、中高年にはまだまだ抵抗があるようです。40代後半女性の意見を聞いてみると、「私達の年代だと割り勘自体に、ちょっと抵抗があります。昔からの友人に会う時なども、基本、誘った人が食事代を払ったり、今日はいいことがあったから私が払うね、なんて感じが普通。大人数での会食の場合は誰かがまとめてカードで支払って、あとからカカオペイかネットバンクで送金します。全員でカードを出して割り勘にしてもらうというやり方はさらに抵抗があるので、やったことはないですね」という回答でした。
日本のPayPayやLINE Payのように韓国では「カカオペイ」 を利用している人が多く、使える店舗も多くてとても便利です(※韓国の携帯番号がないと使えません)。登録のある相手と簡単に送金しあうことができるので、割り勘にも便利。モバイルバンキングも送金手数料がかからないか、かかってもとても安いので、払ってくれた人の口座にその場で割り勘の金額を送金することも多いです。韓国では、日本のようにテーブルの上に現金を出して精算をすることはまずありません。
余談ですが、日本にはない 店舗での支払い方法として、「ケジャイチェ/口座振込」も盛んに使われています。韓国は日本以上にクレジットカード大国なので、ガム 1個からクレジット払い可能と言われていますが、それでもカードで支払うのがちょっとはばかられる屋台や市場など、少額の支払い相手に多用されているのが「ケジャイチェ/口座振込」で、自分の銀行から店舗の銀行にその場で直接振り込みます。市場などで買い物をする際、お店の壁に銀行情報が書かれているのを見ることができますし、もちろん「カカオペイ」で支払える場合も多いです。
留学生は無条件に割り勘
私が通っている大学の語学堂のクラスメ-トとは20~30歳ほどの年の差がありますが、クラスランチに行く時などは、“無職の留学生”として堂々と割り勘にしてもらっています(笑い)。 先日も10人でランチに行きましたが、会計はそれぞれがカードを出して順番に支払っていく「エヌブネイル」でした。
韓国に来てから実際、毎日の生活の中で食事をおごってもらったりお茶をおごってもらったり、また自分がおごったりする回数は圧倒的に増えました。「アニョハセヨ」の挨拶の次に、「ご飯、食べた?」と聞くのが日常の韓国。日本だと「元気だった?」と同じようなニュアンスですが、こんな挨拶同様、食事をおごったりおごられたりを繰り越しながら、相手との距離をどんどん縮めていくのが食事を大切にする韓国らしい文化だなと感じています。
◆ライター・田名部知子
『冬のソナタ』の時代からK-POP、韓国ドラマを追いかけるオタク記者。女性週刊誌やエンタメ誌を中心に執筆し、取材やプライベートで渡韓回数は100回超え。韓国の食や文化についても発信中。2023年1月、韓国ソウルで留学生活と人生初めての一人暮らしをスタート。大学が集まる新村(シンチョン)にある西江(ソガン)大学の語学堂に通う。twitter.com/t7joshi