ソン・スンホンら脇を固めるベテラン俳優
5-8やサウォルたちと対立する立場であるリュ・ソクを演じたのは、ソン・スンホン。日本でも人気の韓流ドラマ『秋の童話』(2000年)や『夏の香り』(2003年)などに出演していて幅広い世代にファンがいる。
リュ・ソクは、父親がつくり出した「チョンミョングループ」のために、難民区域に住んでいる人びとを排除しようと画策する。人の命を奪うことに戸惑いがなく、ときには命をもてあそぶような素振りすら見せる恐ろしい人物だ。父親からの承認を欲しがっているような一面もあり、ソン・スンホンがさまざまなリュ・ソクの感情を表現している。
サウォルにとって姉のような存在のソラは、軍の情報司令官を務めている。5-8には敵対意識を持っていたが、サウォルが5-8と関わるようになり、少しずつ認識を変えていく。
ソラを演じるイ・ソムは、173cmの高身長。それでも、5-8の前に立つと小さく見えてしまう。今作では、彼女の美しいスタイルは軍服に隠されてほとんど見ることができないが、ショートカットで強調された強い瞳が存在感を放っている。
このほか、荒れ果てて砂漠となった韓国の女性大統領役に、『クイーンメーカー』(2023年)や『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』(2022年)など話題作への出演が続いているジン・ギョン。リュ・ソクの父親・リュ会長役を『愛の不時着』(2019年)のナム・ギョンウプが務め、脇を固めた。
作り込まれたSFの世界観は、一体どこからどこまでがCGなのかと見入ってしまう。観光地として訪れたひともいるであろう韓国の江南(カンナム)や狎鷗亭(アックジョン)駅などの風景や、朽ちたソウルタワーなどの美術も楽しめる。
アクション、美術で引き込まれ、5-8と出会ったサウォルの成長していく姿に胸打たれる、休日の一気見におすすめのドラマだ。
Netflixオリジナルシリーズ『配達人~終末の救世主~』
脚本・監督:チョ・ウィソク
原作:イ・ユンギョン『配達人』(原題:Black Knight)
出演:キム・ウビン、ソン・スンホン、カン・ユソク、イ・ソム
◆ライター・むらたえりか
ライター・編集者。ドラマ・映画レビュー、インタビュー記事、エッセイなどを執筆。宮城県出身、1年間の韓国在住経験あり。https://twitter.com/eripico