夏の食べ物といえば、スイカを思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。「スイカは叩いて甘さを見極めるといわれますが、もっと簡単にわかりやすく、よりおいしいものを選ぶ方法があります」と話すのは、野菜ソムリエプロの福島玲子さん。その方法と、正しい保存の仕方を教えていただきました。
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叩くよりも、模様と付け根で見極め
完熟したスイカは低い音でボンボンと鳴る…と聞きますが、慣れていないと聞き分けは難しいもの。叩いて比べるよりも、より簡単においしいスイカを見分けるポイントをお話しします。
しま模様がくっきり&模様に凸凹があるものを!
表面にある緑色と黒色の縦しま模様がくっきりとしていて、境目がはっきりしているものが、甘くておいしいスイカの証拠です。さらに、触ったときにこの模様に凸凹があるると、熟していて甘みが強いといわれています。
付け根やツルも確認
また、ツルの付け根も見てみましょう。熟しているものは、付け根の部分が少しくぼんでいて、周りが盛り上がっています。付け根がくぼんでいないものは、未熟なサインなので避けてください。
なかなか見かけないですが、付け根にツルがついていたら、ツルが緑色のものを選ぶといいでしょう。ツルが枯れていると鮮度が落ちている証拠です。スイカは追熟しないので、新鮮なものを見極めて買うのがおすすめです。
スイカの保存は冷やし過ぎNG
暑い季節は冷たいスイカを食べたくなるものですが、実は冷やし過ぎに注意が必要です。正しく保存しておいしくいただきましょう。
丸ごと保存は常温が鉄則!食べるときは1時間前に冷やす
スイカは冷やしすぎると甘みが減り、おいしさが半減してしまいます。丸ごと保存する場合は、冷暗所や風通しのよい日陰で常温保存しましょう。丸ごとであれば1週間程度は保存できますが、スイカは新鮮なほどおいしいので、できれば当日中に食べるのがおすすめです。
ひんやりと冷たいスイカをいただくならば、食べる1時間前に冷蔵庫へ入れておくとちょうどよく冷え、甘みも減らさずに食べることができます。
傷みやすいカットスイカは冷凍保存が◎
カットスイカの場合は、切り口にしっかりとラップを密着させてから、冷蔵庫の野菜室で保存しましょう。傷みが早いので、翌日までには食べきってください。
もしカットしたスイカをすぐに消費できないときは、冷凍保存がおすすめです。皮と種を取り除いてから、食べやすいサイズにカットして冷凍用保存袋に入れておけば、シャーベット感覚で食べることができます。また、冷凍したスイカのスムージーも、暑い時期のデザートやおやつにぴったりです。
スイカをおいしく食べるカットのコツ
スイカは中心部が一番甘いのをご存じですか? 中心部に大量の水分と甘みが詰まっていて、外側になるにつれて糖度が下がっていきます。ですから、上下半分に切ってから、半分になったスイカを中心から放射線状にカットすると、甘い部分を均等に配分できるんです。
ちなみに、縞模様に対して垂直にナイフを入れ、横半玉にカットしたスイカの中心を見ると、「維管束」という放射線状に3本、渦を巻いたような繊維が見えます。実は、この維管束のまわりにスイカの種が集まっているんです。維管束の周辺でカットすれば、断面に種が集中して、取りやすくなりますよ。
◆教えてくれたのは:野菜ソムリエプロ・福島玲子さん
ふくしま・れいこ。野菜ソムリエプロのほか、アスリートフードマイスター2級、ジュニア食育マイスター、食の検定1級、ベジフルカッティングスペシャリスト、エコクッキングナビゲーターなど多数の資格を持ち、日本野菜ソムリエ協会創立 20 周年記念事業『野菜ソムリエ名鑑 vol.1』に掲載されている。現在は、“野菜や果物から健康に”との考えを大切に講演・セミナー講師、イベント・セミナー運営サポート、コラム、料理教室、レシピ開発や監修・ジュニアアスリートの栄養指導・など、多岐にわたって活動中。https://ryufrei.com/
構成/イワイユウ