
ダイエットをしていると、どうしても悪役の印象が強い「糖質」。累計会員者数800万人超えのダイエットアプリ「あすけん」に参画する管理栄養士・道江美貴子さんによると、大事なのは選び方だと言います。そこで、道江さんに、簡単にできるアラフィフにおすすめの「食べ痩せ術」を教えてもらいました。
「セカンドミール効果」を味方につけるが勝ち
道江さんの著書『国内最大級の食事管理アプリ『あすけん』公式 結局、これを食べるが勝ち』(ワニブックス)には、累計会員数800万人超、国内最大級の食事管理アプリ『あすけん』のビックデータから導き出した、「やせている人が食べているもの」が解説してあります。その中で、スルーできないのが「セカンドミール効果」という言葉。

「セカンドミール効果とは、その日の1回目の食事が、2回目の食後の血糖値の上がり方によい影響を及ぼす効果のことを言います。
通常私たちが、食事をしたあとの血糖値は20~30分かけて徐々に上昇します。しかし空腹時間が長かったり、一度に大量に食べたりすると一気に上昇。すると、体は血糖値を下げるために、インスリンというホルモンを大量に分泌し、必要以上に余った糖を体内に取り込み、脂肪として蓄えるのです。また、血糖値の急上昇は不安やいらいらなど、メンタルにも悪影響。つまり、血糖値の急上昇は肥満を招き、メンタルも悪化させる、最悪の習慣なのです。
食後の血糖値の上昇率は食品によっても異なり、GIとして数値化されています。このGI値を提唱した博士が、朝食を食べた場合の昼食後の血糖値が、朝食を抜いた場合に比べて上昇しにくくなるセカンドミール効果を発見しました。
食後の血糖値の上昇を緩やかにできるかどうかが、健康に過ごすためのカギ。朝食は本当に大切です」(道江さん・以下同)
セカンドミール効果を得るための3つのコツ
セカンドミール効果を正しく得るには3つのポイントがあるそうです。

「1つ目は、『低GI値の茶色い主食を選ぶ』こと。玄米、雑穀米、全粒粉パンなど未精製の穀物は、食物繊維が多く、血糖値の上昇は白米に比べて緩やかです。
2つ目は、『野菜・おかず→主食の順で食べる』。『カーボ・ラスト』とも言いますが、主食の前に食物繊維が多い野菜やたんぱく質が多い肉・魚を食べると、糖質の消化吸収が穏やかになり、血糖値は上がりにくくなります。
3つ目は、『体にいい油をとる』こと。実は、油と糖質を一緒に食べることで、血糖値の上昇を抑えられることがわかっています。選びたいのは、健康効果が高く、体内で作れないオメガ3などの不飽和脂肪酸。アマニ油やエゴマ油、ピーナツやクルミなどのナッツ類に豊富です」
糖質は悪者ではなく、燃焼スピードに優れたエネルギー源
糖質は、ダイエット中も摂るべき栄養素のひとつだそうです。むしろ、極端に不足すると痩せにくい体になることも。
「糖質(炭水化物)は、たんぱく質や脂質とともに私たちの体に欠かせない3大栄養素のひとつ。極端に不足すると健康に悪影響を及ぼします。
糖質は、筋肉や脳、神経系などの活動には不可欠で、筋肉を合成する際にも欠かせません。もし、極端に糖質が不足すると、筋肉がうまく作られなくなる上に、筋肉を分解して糖を作る糖新生が起こり、筋肉量が減少します。すると、代謝が落ちて痩せにくい体に」
ダイエット中も最低1日130gの糖質を
それではどのくらいの量の糖質を摂るべきなのでしょうか。太りにくい糖質量をうかがいました。

「食事で摂る3大栄養素の理想のバランスがあります。ダイエット中でも糖質(炭水化物)は、3大栄養素の35~40%を維持すべき。糖質量は最低でも1日130g、ごはん小盛り2~3杯程度は食べてほしいところです。特に意識したいのは、量よりもどの種類の糖質を選ぶか。
理想は、米や麺、イモ類などの食物繊維が含まれる糖類(炭水化物)です。炭水化物は、糖質+糖の吸収を遅らせる食物繊維で構成されています。米や麺、イモ類などは、食物繊維が含まれる他、多糖類(糖が10個以上つながったもの)のでんぷんが主成分で、糖が2つつながっている砂糖に比べてゆっくりと体内に取り込まれるため、肥満の原因となる血糖値の上昇も砂糖と比較すると緩やかです」
◆教えてくれたのは:食事管理アプリ『あすけん』管理栄養士・道江美貴子さん

女子栄養大学栄養学部卒業後、大手フードサービス企業に入社。100社以上の企業で健康アドバイザーを務め、食事管理アプリ『あすけん』の企画・コンテンツ制作・開発管理などに携わる。現在、株式会社asken取締役としてあすけん事業統括責任者を務める。近著に『国内最大級の食事管理アプリ『あすけん』公式 結局、これを食べるが勝ち』(ワニブックス)がある。『あすけん』公式サイトhttps://www.asken.jp/