成分表を確認するときのポイント
成分表を確認するときのポイントは、炭水化物、たんぱく質、脂質の3大栄養素だといいます。
「基本をおさらいしておくと、犬に必要な5大栄養素は炭水化物、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラルです。食物繊維も入れて6大栄養素と呼ぶこともあります。中でも重要なのが炭水化物、たんぱく質、脂質で、この3つは犬の生命や健康の維持と直結しています。
炭水化物に含まれる糖質が脳や神経組織のエネルギー源になります。『犬には肉(たんぱく質)が大事で、炭水化物は必要ない』というのは誤解です。3大栄養素だけの比率では、炭水化物60%、たんぱく質25%、脂質15%が犬の摂取量として理想的なバランスです。
たんぱく質は、血液、筋肉、各種臓器を構成する成分です。たんぱく質が不足すると、ホルモンや免疫にもネガティブな影響が出て、被毛の質が悪くなったり、筋力が低下したりします。脂質も体温の維持や臓器の保護、細胞膜の生成という重要な役割を果たします。皮膚や被毛の健康維持にも大切です」
おやつはあげすぎると塩分の過剰摂取に
健康な犬の食事は、総合栄養食(一般的なペットフード)を適量与えること、年齢に合わせたものを与えることが一番のポイントであり、加えて、塩分の過剰摂取を控えることも大切だと山本さんは言います。
「塩分摂取量が多い状態が続くと、高血圧になったり、心臓疾患のリスクが高まったり、腎機能が低下したりします。総合栄養食のドッグフードを決まった分量をあげていれば問題ないはずですが、おやつのあげすぎに気を付けてください。おやつは少量にするか、市販品ではなく、おいもなど塩分を含まないものに変えると安心ですね」
病気をわずらった場合には普段の食事を療法食に切り替えも
また、愛犬が病気をわずらった場合には、普段の食事を療法食に切り替えると、病気の治りが早くなったり、病気の進行を食い止めたりできる可能性があります。
「療法食とは、特定の病気の治療のために栄養バランスを調整した食事のことです。例えば、腎臓疾患の療法食であれば腎臓に影響が出るようなたんぱく質やリンの含有量が減らしてあったり、心臓疾患の療法食ならナトリウムを減らしてあったりします。皮膚疾患などでも獣医師が療法食を勧めることがあります」
やはり、普段も治療時もフードは犬の体づくり、健康づくりの基本といえそうです。
「サプリメントは目的食、栄養補完食などとも呼ばれますが、フードとサプリではここまで説明したように、役割が異なります。サプリに依存することなく、基本的にはフードから必要な栄養素をバランスよく摂取することが望ましいですね」
◆教えてくれたのは:獣医師・山本昌彦さん
獣医師。アニコム先進医療研究所(本社・東京都新宿区)病院運営部長。東京農工大学獣医学科卒業(獣医内科学研究室)。動物病院、アクサ損害保険勤務を経て、現職へ従事。https://www.anicom-sompo.co.jp/
取材・文/赤坂麻実
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