ダイエットというとつらい食事制限の印象が強く、1日の摂取カロリーを気にしている人も多いはず。でもそんなカロリー計算から解放され、“黄金バランス”で食事するだけでいいと言うのは、管理栄養士の三田智子さん。著書『食べたいものを食べて一生スリムをキープする食事のすごい黄金バランス』(青春出版社)が話題の三田さんに目からウロコのダイエットメソッドをうかがいました。
栄養素の暗記もカロリー計算も必要なしの黄金バランスとは?
自身も47歳のときに運動なし、食事制限なしのダイエットで10kgのダイエットに成功したという三田さん。“黄金バランス”はそんな自身の経験から生まれたものだそうです。
「黄金バランスは私が名付けたもので、栄養ガイドラインである厚生労働省の『日本人の食事摂取基準(2020年版)』を元にしています。とはいえ、細かい栄養素を覚えることやカロリー計算は必要なし。
『食事摂取基準』には、30種類以上の栄養素の推奨量(推奨量がないものは、目安量または目標量)が記載されていますが、その栄養素の推奨量以上をすべて摂取できるようにプログラムしたものが“黄金バランス”です」(三田さん・以下同)
じわじわ増える体重…あきらめ半分「普通に食べよう」がきっかけ
40代半ばになり、食べる量は減らしているのに体重はじわじわ増えていくばかりで、必死に取り組んでいたダイエットがばかばかしくなったという三田さん。
「『ダイエットなんかやめて、健康のために普通に食べてみよう』と思い、朝から栄養バランスのいい食事をとり、1日3食しっかり食べ、おやつは1日1個だけご褒美に、ときには外食もして。するとみるみる痩せだし、なんと20代の頃の体重に戻ったんです。
実に半年間でマイナス10kg。しかも普通においしく食べられるから『これなら一生続けられる』と確信しました。特に50代以降は必要な栄養素をプラスしていく、満たされるダイエットにするべきです」
黄金バランスの基本は一汁三菜
それでは具体的に黄金バランスの食事とはどのような食事なのでしょうか。
「『日本人の食事摂取基準』にはたんぱく質、炭水化物、ビタミン、ミネラルなどそれぞれの栄養素の専門家が『日本人にはその栄養素がどれくらい必要か』という最もエビデンスレベルの高いデータを精査して設定したものが記載されています。
私は、それを忠実に実践した上で検証しました。そんな人、おそらく日本で私が初めてかもしれません。『日本人の食事摂取基準』は痩せるために作られた基準ではありませんが、そのとおりに実践してみたら、効率よく脂肪から燃焼され、代謝のいい体が作られることがわかりました。
黄金バランスの基本は一汁三菜。あらためて一汁三菜とは、主食であるごはん(穀物)に、汁物と3つのおかず(主菜、副菜、副々菜)を組み合わせたもの。黄金バランスを食品に落とし込むと、穀物、肉、魚、豆、油、乳製品、卵、野菜、果物、いもの10種類になります。この10種類を一汁三菜でとるのは簡単です」
難しく考えず感覚で一汁三菜をつかむ
何をどれだけ食べればいいか、細かな分量などを言われてしまうと難しさを感じてしまいますが、細かな分量は考えなくていいと三田さんは言います。
「まずは一汁三菜を感覚でつかんでみましょう。主食のごはんは茶碗1杯。主菜となるおかずには、肉か魚か豆を選びます。主菜には野菜を付け合わせます。トマトやキャベツなど何でもOK。味噌汁やスープなどの汁物で野菜をとります。
そして副菜でもなにか野菜をとります。おひたしでもOK。一般的にはこれに副々菜として漬物などの野菜をプラスして一汁三菜が成立しますが、副々菜はなくてもよし。汁物や副菜に豆腐などのたんぱく質が少しはいってもいいです。
このくらいアバウトでOK。それから調理に使う油は1食につき小さじ1を目安に。間食は補食と考え、チーズやヨーグルトなどの乳製品、果物こぶし1個分、さつまいもやじゃがいもなどいも類をこぶし1個分。この3種類とも1日にすべて摂取します。
実践した塾生の90%以上もの人が効果を感じ、結果を出しています。『日本人の食事摂取基準』は実はすごい“魔法のダイエットバイブル”だったのです」
◆教えてくれたのは:管理栄養士・三田智子さん
2010年モデル体型ダイエット塾をオープン。ダイエット研究のために女子栄養大学短大へキャリア入学し、卒業後、栄養士の資格を得て一般社団法人日本栄養バランスダイエット協会を設立。同時にモデル体型ダイエットインストラクター養成講座を開講。さらに、2020年58歳で「管理栄養士国家試験」に合格。著書に『食べたいものを食べて一生スリムをキープする食事のすごい黄金バランス』(青春出版社)がある。https://modeltaikei.com