
紫外線対策として欠かせない夏のアイテムといえば帽子ですが、帽子選びは難しいと思っている人も多いはず。大人女性が帽子を被るなら、つば広帽? それともキャップ? おすすめの帽子について、パーソナルスタイリストの杉山律子さんに伺いました。
大人女性にキャップはNG ! エレガントなつば広帽がおすすめ
紫外線対策はもちろん、外出時にヘアスタイルを隠せるのにおしゃれ感が出ると思われがちな帽子ですが、「大人女性にとっては実はハードルが高いアイテム」と杉山さん。
「特にキャップは、雑誌などでモデルさんが被っていると素敵に見えるし、手軽に購入できるため取り入れやすいと思っている人が多いかもしれません。ですが、アラフィフ女性には難しく、似合う人は少ないと思います。
キャップはつばのカーブひとつで印象が全く違うので選ぶのが難しく、ファションや髪型などトータルでコーディネートを考えないといけません。いつものファッションにいきなりキャップを被ってしまうと、変に若作りしているようで痛々しく見えてしまう可能性大!」(杉山さん・以下同)
では、大人女性が帽子を被るなら、どんなものを選ぶのが正解?
「おすすめはつば広帽です。エレガントな雰囲気なので大人女性が取り入れやすいアイテム。比較的コーディネートもしやすいですよ」
つばの広さは8cm程度、ベーシックカラーを選ぶと失敗なし

「夏の紫外線対策として考えるなら、折りたたんで持ち歩けるタイプが便利。つばの広さは広すぎるとフォーマルな雰囲気になってしまうので、8㎝程度が使いやすいでしょう。
素材がストロー系の帽子だと色はベージュが多いかもしれませんが、布製なら白や黒、ベージュといったベースカラーのものが使いやすく、デニムをよく着る人ならデニムと似たようなブルー系の帽子を選ぶのもアリです。
帽子を購入するときは、お店でパッと気に入った色を選ぶのではなく、自分のワードローブを見渡して、相性のよい色を選ぶことが大切です。
大人女性におすすめのブランドは『ヘレン・カミンスキー』。少しお値段が張りますが、大人に似合うデザインがそろっています。特に『デスモンダ』という帽子は折りたためるタイプで、つばの広さもちょうどいいと思いますよ」

余計な装飾のないシンプルなデザインがベスト
つば広帽を購入するときに、もうひとつ気をつけたいのが「できるだけシンプルなデザインを選ぶこと」だと杉山さんは言います。
「リボンなどの余計な飾りがついていないほうが断然使いやすい。もしリボンがついている場合は、帽子本体とリボンが同色のものを選びましょう。色が増えない方がコーディネートの邪魔になりません。多くの人は、『せっかく購入するなら違う色のリボンがついているほうがかわいい』という感覚で選びがちなのですが、コーディネートは帽子だけじゃなく、トップスにボトムス、バック、靴などさまざまなアイテムの集合体。ほんの少しの主張がコーデ全体の足を引っ張ることになってしまうんです。
それに、違う色のリボンがついた帽子を選ぶ人は、帽子だけに限らず、バッグや靴にも何かしらの主張があるものを選んでいる可能性が高いんです。そうなってくると、手持ちのアイテムでコーディネートするとバランスを取るのはとても難しくなります。もちろん、その主張のあるアイテムを主役にしたコーデをする場合は別ですが、基本的にはシンプルなデザインの帽子を選んでおくほうが使い回ししやすいですよ」
ワンピースなどシンプルなファッションに合わせるのがおしゃれ
大人女性がつば広帽を被る場合、どんなファッションに合わせるとおしゃれに見せられるのでしょうか。

「帽子自体が主張の強いアイテムなので、その他のアイテムは引き算を心掛けましょう。
帽子というアイテムが増える分、服はワンピースにして統一感を出したり、トップスとボトムスの色味をそろえたりするとバランスが取りやすいですよ。または、トップスかボトムスのどちらかを白にするといいでしょう。帽子の色がベージュ系なら、服は黒や白、ネイビーに。帽子とメリハリのある色を選ぶとキレイにまとまります。また、洋服と帽子の色味をそろえるというのも手で、手軽にまとまり感が出せます」
髪の毛を結ぶなどして顔周りをすっきりさせるとバランスよく見える
帽子は被り慣れていないせいか、「しっくりこない」「似合わない」という敬遠する人もいますが、コツはあるのでしょうか。
「帽子は、実は顔と喧嘩することもあるんですよ。私たちのいちばんの個性というのは顔になるので、顔まわりがごちゃごちゃするとバランスが悪くなるんです。髪の毛との相性もあります。帽子を被ったら、鏡の前で髪を耳にかけてみたり、耳を隠してみたり、結んでみたりと試してみることも大切。ちょっとした違いですごく印象が変わります。
もちろん、洋服とのバランスも大切。例えば、首元がシャツカラーで髪が長いと帽子をかぶったときにもっさりとした印象になるので、髪はまとめたほうがスッキリして帽子とのバランスが取れたりするもの。最終的に全身を鏡で見ながら整えることが大事なんです」
帽子をかぶる機会が増える夏。単なる紫外線対策と考えず、杉山さんのアドバイスを参考して、帽子を取り入れたエレガントなおしゃれを楽しみましょう。
◆教えてくれたのは:パーソナルスタイリスト・杉山律子さん

一般社団法人スタイリストマスター認定協会代表。映画や広告、音楽業界など幅広い分野でスタイリストとして活躍後、結婚・出産を経て、2016年よりパーソナルスタイリストとして活動開始。ファッション講座やプロ認定講座を開催。顔立ちや体型、に合わせたスタイルの提案に定評がある。新著に『シンプルにはじめる 大人の着こなし入門 プロが教えるセオリー&アイデア』(翔泳社)がある。https://ameblo.jp/stylejiyugaoka719
取材・文/青山貴子