健康・医療

「1日3食とらなくてもいい」うつを経て精神科医がたどり着いた「小食」のメリット

18時間の断食で生理サイクルを促進

宮島さんが提唱する「毒出し半断食」で食事をしない時間は18時間ほど。これは、私たちの体は摂取した食べ物を消化、吸収してから排泄するまでに約18時間かかるからだそうです。

「前日の午後6時に食事をしたとして、その食事が便として排泄されるのは翌日の正午です。半断食はこの生理サイクルを滞りなく進めるプログラムなのです。もっとわかりやすくいえば、一度食事をしたら、後は胃腸を邪魔せず胃腸の働きに任せて、しっかりウンチを出してもらう、そのためのプログラムといっていいでしょう」

半断食では朝食を抜くのが最もおすすめ

18時間の断食のためには、朝食を抜くのが最も簡単でオーソドックスな方法です。例えば、午後6時に夕食を終えた場合は、翌日は12時以降に昼食をとります。

「食事を抜くといっても、まったく何もとらないわけではありません。水はたっぷり飲んでください。水の代わりにお湯を飲んでもかまいません。水をしっかりとることは、細胞の代謝力を落とすことなく、排泄効率を高める一つのテクニックになります」

グラスに入った水
水をたっぷり飲むことで排泄効率がアップ(Ph/photoAC)
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半断食中の栄養補給はNG

半断食中は、固形物はもちろん、栄養のあるものはドリンクであっても避けるべきと宮島さんは言います。断食中に栄養を補給してしまうと、胃腸は働かざるを得なくなるからです。消化から排泄に至る連続的な流れが乱れ、断食の効果が薄れてしまいます。

「断食中は、お腹が空いたら『毒出し、毒出し』と心に念じ、水をゴクゴク、お湯でホッと一息つくようにしましょう」

また、夕食が遅くなりがちな人などは“午後8時以降は食べずに、朝食を抜く”というやり方でもいいそうです。無理をしない範囲で行ってみましょう。

半断食はうつ状態の負の連鎖を断ち切る

胃腸の調子を整える半断食ですが、うつ状態の改善にも効果があると宮島さんは話します。うつ症状があるときは心身がリラックスできず、何もできずにぼーっとしていてもネガティブな感情と思考が終始続き、心と体はますます疲弊していきます。しかし、断食はこうした負の連鎖を断ち切る機会となります。

「その一番の理由は、胃腸を休めることによる心身への効用です。消化のプロセスは、運動や仕事で体を動かすよりも多くのエネルギーを消費しています。私たち現代人は、この感覚が麻痺しがちです。本当は疲れているのに、食べてしまう。胃袋は『休ませて』といっているのに、食べてしまう。これは、日常的なストレスにより、身体感覚が少し麻痺した状態といえるでしょう」

食欲がなさそうな女性
食べたくないときは食べずに胃腸を休ませることも必要(Ph/photoAC)
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日々の生活で心も体も疲弊し、疲れを癒やすつもりの食事で体はさらに疲弊します。

「半断食は、この流れを絶ちます。18時間、食を控えることにより、消化のプロセスを助け、その分、たくさんの体内酵素が体の修復に向かいます。また、断食中、水をたっぷり飲むようにすれば、細胞の毒である老廃物が尿や汗として排出されるようになります」

疲れたときに大切なのはしっかりと休むこと。肉体的に休むだけでなく、胃腸もしっかりと休ませてあげることが、心と体の健康のために大切なのですね。

◆教えてくれたのは:精神科医・宮島賢也さん

白衣を着た男性
精神科医の宮島賢也さん
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みやじま・けんや。精神科医・産業医。防衛医科大学校卒業。研修中、うつ病の診断を受ける。自身が7年間抗うつ剤を服用した経験から「薬でうつは治らない」と考え、食生活と考え方、生き方を変え、うつ病を克服。その経験を踏まえ、患者が自ら悩みに気づき、それを解決する手伝いをする方向へと転換。うつの予防と改善へ導き、人間関係を楽にする「メンタルセラピー」を考案する。著書に『メンタルは食事が9割』(アスコム)など。

●精神科医が語るうつ克服のために実践した食事術「午後8時以降食事をしない方がいい」「食事はバランスよく食べなくてもいい」

●「1日3食」は不要?医師が健康のためには「空腹でなければ食べなくていい」と語る理由

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