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66歳オバ記者が “捨て活”を始めて気づいた「今まで片付けられなかった」ワケ

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ただいま絶賛「捨て活」中のオバ記者(写真は講演会をした時の一枚)
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ライター歴45年を迎えたオバ記者こと野原広子(66歳)。ここ数年、愛猫や身内の死を相次いで経験。昨年は自身の大病で手術、入院をした。それから意識し始めた“終活”。そして重い腰をあげてモノを捨てる「捨て活」を始めたのだったがーー。

* * *

「まずベッドメイク」が重要?

毎日、毎日、何かを捨てる。捨てるものはないかと目で探すことが習い性になって、その成果がさっそく現れて、ある朝、目が覚めたらきれいな部屋になっていましたとさ、なんてことになったらどれだけいいか。そう思いつつ、とにかく朝起きたらベッドメイクをしている私。

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ベッドメイクするだけで気分が違う(写真は昨年の入院時。ものを捨てるなんて考えもしなかった)
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これだって「捨て活をする!」と志を立てる前はいい加減だったけれど、今はちゃんと毎日している。捨て活とベッドメイク、何の関係があるかというとこれが大アリなんだって。ベッドって部屋の中で結構大きなスペースをとっているじゃない? そこをちゃんと整えると、さぁ、片付けるぞという意欲が湧くと、YouTubeの片付け師匠は言うわけよ。それでやり続けているんだけど、部屋の中の一部だけでも目の行き場があるとないとではこんなに気持ちが違うのかと、ちょっとびっくりよ。

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昨年、卵巣がんの疑いで手術を受けたオバ記者
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麻100%のシーツを“自作”

ベッドといえばずっと掛け布団カバーはグリーン基調だったのね。別に理由はないけど、落ち着くかなと思って。あとフリマで買ったポップな柄のクリーム色と交互に使っていたの。そんな私に「それはダメ」と言ったのが、雑誌の開運メイク企画で知り合った木村玲子さん。

「野原さんね。女性のベッド周りはピンクがいちばんなのよ。女性ホルモンを活性化させてすごくやさしい気持ちで眠りにつけるから、だまされたと思ってやってみて」

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ピンクが女性ホルモンを活性化させてくれるんだとか(写真は手作りのバック)
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木村さんからそう言われて最初に用意したのが麻のシーツ。あのね。これは私の実体験から言うんだけど体に触れるシーツは麻100%以上のものはないからね。綿麻も悪くはないけれど綿が混じると熱の吸い取りが甘い気がするんだわ。

デパートで見ても麻100%のシーツは値段が綿の倍くらいするけど、そこは私。シーツとして売っているのを買うんじゃなくて、生地の街、日暮里で買う。で、上と下を三つ折りにしてミシンをかけるんだけど、切りっぱなしでも大丈夫。と、裁縫好きの私はつい力が入ってしまうんだけど、実はこのベビーピンクの布団カバーも私のハンドメイドなの。

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シーツと布団カバーはオバ記者の手作り
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日暮里で1メートル110円で5メートル買って、長方形の袋に縫って、布団を入れる口を100均で買ったインスタントボタンをくっつけただけだから、材料費650円。ちなみに枕カバーとクッションカバーはパリで買ってきた生地で作ったものなの。パリにも日暮里みたいな生地問屋街があってね。さすがに1メートル110円なんて生地はないけど、日本より柄がエグくて面白いの。

66歳の今日まできれいに整頓された家に住んだことがない

で、何の話をしていたかというと、そうなんだよね。私が66歳の今日まできれいに整頓された家に住んだことがないのは、この悪癖のせいよ。片付けを始めて手を動かし出すとなぜか制作意欲がむくむくと湧き上がって、気がつくとミシンの前に座っている。またはちょっと凝った料理を作り出す。ここのところハマっているのがレンチンで作るプリンで、って、こんな回り道しているうちに、片付けはいっこうに進まず日が暮れるという、この繰り返しだったの。

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最近ハマってるレンチンプリン
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ちなみにこれはいらなくなったポップな柄の掛け布団カバーで作った湯たんぽ入れ。これを布団の足元に入れて寝ると、数年前に亡くなった愛猫のことを思い出すんだよね。ああ、こうやって冬になると私の足を温めてくれたっけな。でも、油断していると思いっきり噛みつかれたっけな、とか。

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こちらも手作りの湯たんぽ入れ
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ほんとにもう、こういうことをしているから一歩進んで2歩下がることになるんだけど、今回はそういう自分の性癖を承知の上で、歩を進めると心に決めたわけ。不整脈や心房細動の発作で暴れ出す心臓を抑えながら、「物だらけの部屋を残してあの世に行くのはイヤ」と決意を新たにするわけよ。と、まぁ、そこまで深刻になることはそうそうないけれど、とにかく前進あるのみよ。

エルメスのニットジャケットも放出!

で、先日は、ここ数年、クローゼットの奥から冬になると取り出してはまたしまうを繰り返していたエルメスのニットジャケットを処分することにしたの。これ、私のデッドストックの上位3番目なんだけど、長身のちょっと細身の人向けだから、いくら伸びるニットとはいえ、私が着ると老狸になる。

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エルメスのニットジャケットも処分することに!
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きっと定価は目の球が飛び出すような値段に違いないけど、人から頂いたものだから手放すのに抵抗はないの。誰か長身で似合いそうな人がいないかと思っていたら、最近知り合った司法書士のSさんの顔が浮かんだ。さっそくLINEで写真を送って聞いたら、「いただきまーす」と2つ返事。よっしゃ、一歩進んだぜ。

あと、昭和6年生まれの建築家のボーイフレンドからいただいた、数寄屋建築の大家の写真集。これをどうするか。私の部屋よりふさわしい場所はきっとあるはずで、今その行き先を探し中。

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写真集、ほしい人いますか?
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そうそう。前回、「床に物を置かないと運気が上がります」と聞いてその気になったと書いたけれど、とてもじゃないけれど独身用のワンルームマンションでそれをするのは至難の業だって、片付けをしながら骨身に沁みた。だからこそ、床置きゼロになったら運気が爆上がりすると言われたらひと言もないんだけどね。

思えば理想のピンクの寝具作りも、素材探しから数えたら一年がかりだったんだし、ちょっとずつ、ちょっとずつだね。

◆ライター・オバ記者(野原広子)

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1957年生まれ、茨城県出身。体当たり取材が人気のライター。これまで、さまざまなダイエット企画にチャレンジしたほか、富士登山、AKB48なりきりや、『キングオブコント』に出場したことも。バラエティー番組『人生が変わる1分間の深イイ話』(日本テレビ系)に出演したこともある。昨年10月、自らのダイエット経験について綴った『まんがでもわかる人生ダイエット図鑑 で、やせたの?』を出版。

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