50代から増えるのが、障害物がない平坦な場所でつまずいてしまうこと。今は気にならなくても、将来的につまずきをきっかけに転倒し、けがをしてしまう可能性もあるので、注意が必要です。「つまずきやすくなっているのは、加齢による足腰の筋力低下が考えられます」と話すヨガインストラクターの高橋かなこさんに、つまずきづらい体を作るためのアドバイスをもらいました。
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50代から「つまずき」に注意!
少しつまずいても、すぐに体勢を持ち直すことができれば、大きな問題はありません。しかし、そのせいで転倒してしまうと、骨折などの大きなけがにつながることもあります。
厚生労働省が行った労働者の労働中の事故やけがの発生数などの調査によると、転倒による事故の発生割合が、50代以降の女性ではほかの世代に比べて高くなっています(厚生労働省「平成 30 年労働災害発生状況の分析等」https://www.mhlw.go.jp/content/11302000/000555711.pdf)。
転倒の理由は歩き方(すり足、ひざが曲がっていないなど)が原因に挙げられることもありますが、50代以降は加齢や運動不足などの影響によって、筋力が低下していることが大きく関係していると考えられます。
筋力が低下してしまうと、脚を上げられなかったり地面についている脚がうまく踏ん張れなかったりします。これにより、脚の上げ下ろしがスムーズにできず、小さな段差にもひっかかりやすくなったり、何もないところでつまずきやすくなったりするのです。
つまずき防止エクササイズ
歩く際に脚を上げるために働くのが大腿直筋や外側広筋など太ももにある大腿四頭筋、上半身と下半身をつなぐ腸腰筋、すねの前側にある前脛骨筋です。
これらの筋肉が弱ってしまうと脚を上げる力が低下し、つまずきやすくなります。そこで、これらの筋肉を鍛えて筋力を上げるエクササイズを実践することをおすすめします。
家でも簡単にできるエクササイズですが、日頃の運動習慣がない場合などに無理をすると、けがをする可能性もあるので、自分のペースでゆっくり実践しましょう。
片足立ち
【1】背筋を伸ばして立つ。体が前後左右に大きく傾かないように、姿勢をまっすぐ保つ。バランスが取りにくい場合は、机や壁に手をついて体を支える。
【2】片脚を自分が上げられる位置までゆっくり上げて、無理のない秒数キープする。このとき、目線はしっかり正面に向ける。
余裕があれば、ひざを90度に曲げて、太ももが床と平行になるまで持ち上げましょう。
これを各脚10回を1セットとし、慣れるまでは1日1セット、慣れてきたら2〜3セット行います。
スクワット
【1】脚を腰幅から肩幅に開いて立つ。
【2】手は胸の前で軽く組むか、前に伸ばす。机などに手を添えてもOK。
【3】ひざを曲げて腰を落とす。このとき、ひざがつま先より前に出ないように。
【4】ゆっくり立ち上がる。
余裕がある場合は、太ももが床と平行になるまで重心を下げて、お尻は後ろに突き出します。無理のない回数で行って、徐々に回数を増やしていくのが理想的です。